80.追試まで㊿
「じゃあね。鷹村くん、勉強頑張ってね!」
「おう。小鳥も頑張って。」
「ありがとう。」
と言って私は電車を降りました。ドアが閉まると鷹村くんは小さく手を振りました。私も手を振り返すとホームを後にしました。
「たかちゃん。こっち。」
畑中くんが手を振ります。
「ありがとう。ありがたく座らせてもらいます。」
と言うと、
「どういたしまして。で、鷹村くんと何してたの?」
と畑中くんは興味津々に尋ねます。
「レモンティーをご馳走になって、話をしてきただけだけど。」
と答えると、
「え?それだけ?」
「それだけって15分くらいしか時間なかったから遊びに行くわけにもいかないし。」
「そっか。で、次はいつ会うの?」
「明日勉強を見る約束した。」
「へぇー。あーゆっくり話を聞きたかったけど、先生が来ちゃった。」
それから、私たちは、約4時間みっちり学びました。そして授業が終わると、いつものようにしいちゃんが私たちを迎えに来ました。
「おつかれー。で、駅で鷹村くんと、何してたの?」
と畑中くんと同じ質問をしてきたので、畑中くんに聞かれた時と同じ説明をしました。するとしいちゃんは
「えー。それだけ?」
とテンション低めに言うと、ため息をつきました。
「え?何でため息なのよ。」
と私が言うと、
「なんとなく。」
と答えました。私たちはエレベーターに乗って1階に降りると、しいちゃんは私と畑中くんをおいて小走りで、外に出ました。そして戻ってくると、
「よし。流石鷹村くん。裏切らないな。」
と言って又外に出て行きました。私たちも外に出ると鷹村くんが立っていました。しいちゃんは
「鷹村くん、たかちゃんのお迎え?」
と尋ねると、鷹村くんは
「たかちゃん?」
と聞き返します。
「小鳥遊さんのあだ名。」
「そっか。」
「それより、たかちゃん迎えに来たんでしょ。」
「あぁ。」
私は
「鷹村くん、お気持ちはとてもうれしいけど、申し訳ないよ。気分転換のお散歩だとしても鷹村くんのうちからここまで遠いでしょ。疲れちゃうよ。追試もあるんだから自分のことを優先して。」
と伝えると、鷹村くんはしょんぼりしてしまいました。すると畑中くんは
「たかちゃん、鷹村くんが迎えに来ることは迷惑じゃないんでしょ。」
と言うので、
「えぇ。」
と答えると、
「それなら鷹村くんの行為に甘えなよ。たかちゃんに何かあったら、鷹村くんの追試の結果にも関わるんだから。いわばたかちゃんは鷹村くんの生命線。来週月曜日の追試を鷹村くんが無事に終えるには、たかちゃんに何かあってはまずいわけ。」
と畑中くんは言います。
「なるほど、確かに。でも、私に何があった時は、畑中くん、しいちゃん、鷹村くんの勉強見てあげてね。」
と伝えると、鷹村くんは
「縁起でもないこと言うなよ。」
と真剣に注意されてしまいました。
「ごめんなさい。」
と謝ると、しいちゃんは
「それだけたかちゃんのことが大事なのよ。ありがたく鷹村くんに送ってもらいなさい。」
と言うと、畑中くんも
「たかちゃんをよろしく。」
と言って2人は行ってしまいました。
登場人物
小鳥遊マヤ→秀華学園、高校2年生(2年A組)。アメリカに住んでいたが両親を事故で亡くし、祖父母に引き取られ日本に戻ってきた。
鷹村龍→赤髪。鬼山高校の2年生。他校の不良たちと度々問題を起こしてきた問題児。
小鳥遊巌→マヤの祖父、たかなし医院の院長
小鳥遊富士子→マヤの祖母
森田先生→マヤ(2年A組)の担任
東口先生→秀華学園の生活指導の先生
畑中昇太→秀華学園、(2年A組)
椎名歌→秀華学園、(2年A組)。あだ名はしいちゃん。
滝川 恋 (れん)→秀華学園、(2年A組)
林 頼人 (らいと)→秀華学園、(2年A組)
馬場正 (ただし)→秀華学園、テニス部、クラス委員(2年A組)
秋山淳子→秀華学園(2年A組)
木村正雄→秀華学園美術部部員(2年B組)
ひぐりん→鬼山高校の先生
菊田毅→金髪。鬼山高校(2年)
川村利明→茶髪。鬼山高校(2年)
小森健太→緑髪。鬼山高校(2年)
小川→鬼山高校




