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61.追試まで㉙

「お待たせ。じゃあいこっか。」

「おう。」


私たちは

「いってきます!」

と言って玄関を出ました。

「なんか俺たち、ハモったな。」

「そうだね。」

「俺「いってきます。」とか久しぶりに言った。」

「不良だから?」

「ちげーよ。俺、親父と二人暮らしで、俺の学校の行き帰りは仕事で誰もいねーからさ。」

「そうなんだ。お父さん忙しいんだね。」

「まあ。そうだな。長距離バスの運転士だから、家にいないことも多いしな。」

「そっか。じゃあ寂しいね。」

「いや。別に。・・・ってあ。ごめん。小鳥は寂しい思いしてんのに。悪い。」

「いやいや。私こそなんかごめん。鷹村くん。私の両親のことは気を使わないでいいから。ってところでどこに行くの?」

「この近くに公園があるから、とりあえずそこを目指してる。春になると桜がきれいなんだ。」

「へぇ~。公園があるんだ。桜のある公園・・・。もしかしたら小さいころに来たことあるかもしれないんだけど。着いたら思い出すかも。」

「来年一緒に花見しねえか?そんなに人は多くなかったと思うからさ。夜はライトアップもされてきれいなんだ。・・・だめかな?」

「いいよ。でも来年のことでしょ。忘れちゃうかも。」

「俺が覚えているから桜が咲くころ小鳥を誘うから。」

「わかった。よろしく。ってあの木がいっぱいある所?」

「そうそう。」

公園に入ると私たちはウォーキングロードを歩きます。

「私みたいにジャージ着ている人が多いね。」

「威張るなよ。早く段ボールから服出せよ。公園以外も小鳥と行きたい場所あんだからよ。」

「え?」

「ほ、ほら。あれだよ、野郎一人で甘いもの食いに行けねーじゃん。あいつらとカフェなんか行ってみ。営業妨害って出禁になるだろ。だからさ。」

「いいね。行こう行こう。手始めに山徳のカフェに行きたい。ってゆうか今日持ってきてもらったデザートかなり楽しみにしてんだ~。でもさ、制服でよくない?行くタイミングって学校帰りか塾帰りしか時間とれないんだよね。」

「夏休みも毎日塾なのか?」

「うん。午前中は学校の課外、平日の午後と土日は夏期講習。お盆休みは、うち両親の初盆だから。あ。お寺関係の行事は制服なのよね。今年の夏は私服いらないわ。すごっ。」

「すごっ。じゃねーよ。服出せよ・・・。」

「そのうちやります。そんなことより鷹村くんは、夏休み課外とかないの?」

「さぁ?希望者だけじゃなかったかな。俺、バイトあるから多分夏休みはバイトだろーな。」

「引っ越し屋さん?」

「引っ越しは登録していて人手が足りない時にだけ行ってる。普通は中華屋の厨房でバイトしてる。」

「今日はお休みなんだね。」

「あぁ。追試が終わるまで休んで勉強しろって大将から言われて。」

「そうなんだね。中華屋さんでバイトしてるんだったらお料理上手なんだ。」

「上手かどうかはわからないけど、一通りはできる。俺んち親父がいない日も多いから普段から自炊するし。」

「すごいね。尊敬する。私、得意料理はカップラーメンだもん。あとは納豆ごはん。」

「カップラーメンはお湯入れるだけだろ。なんかトッピングするのか?それと納豆ご飯も・・・。あぁ薬味とかアレンジするのか?」

「え?何も入れないよ。カップラーメンはお湯を沸かして入れるでしょ。納豆ご飯はお米炊くでしょ、納豆にお醤油とからし入れて混ぜるしょ。それくらいはできるわ。」

「そっか。米炊けるだけでも偉いじゃん。」

「ハハハ。ありがと。まぁ。ご飯作れなくても日本はお惣菜とかお弁当とか栄養バランスも考えた商品が充実しているから困らないし。」

「出たよ小鳥の「困らないし。」。まあ困らないんならいいんだけど、総菜ばっかじゃ飽きるぜ。俺んち10年前、母親が出て行って、父親も仕事が忙しくって、弁当とか総菜が続いて、流石に飽きちまって兄貴と飯つくるようになったんだから。」

「そうなんだ。なんかさらっと大変なこと聞いちゃったんだけど。」

「別に母親が出てったってことは事実だし。別に小鳥が聞いて悪いことじゃないよ。」

「あ。そうなんだ。それと鷹村くんお兄さんいたんだね。」

「職場が家からちょっと遠いから一人暮らしをしてる。」

「そっか。私も大学でここから遠い所に住む場合、食事付きの寮に入れなかったら自炊しなきゃいけないのか・・・。めんどくさいなぁ。コンビニかスーパーの近くでいい物件があればいいけどな。」

「小鳥は大学になると家を出るのか?」

「第一志望の国立帝都大学だったらここから通えるんだけど、ダメだった時はね。」

「そっか。じゃあ、帝都大学に受かんねぇとな。ってお前帝大受けるのか。やっぱすげーな。小鳥、秀華通ってるんだもんな。」

「別にすごくないよ。私はご飯作ったりして自活している鷹村くんの方がすごいと思うもん。重たい段ボールも軽々持ってたし。片付けとか手際がいいし。」

「小鳥だって料理くらい練習すればできるようになるって。俺、いつでも教えるし。できなかった時は俺が飯くらいいつでも作ってやるよ。」

「じゃあ、いつか教えてもらう。」

「出た。小鳥の「いつか。」。小鳥、習う気ないだろ。いいよ。小鳥が腹減ったら俺が作ってやるよ。」

「ありがとう。それが1番助かる。」

登場人物

小鳥遊マヤ→秀華学園、高校2年生(2年A組)。アメリカに住んでいたが両親を事故で亡くし、祖父母に引き取られ日本に戻ってきた。

鷹村龍→赤髪。鬼山高校の2年生。他校の不良たちと度々問題を起こしてきた問題児。

小鳥遊巌→マヤの祖父、たかなし医院の院長

小鳥遊富士子→マヤの祖母

森田先生→マヤ(2年A組)の担任

東口先生→秀華学園の生活指導の先生

畑中昇太→秀華学園、(2年A組)

椎名歌→秀華学園、(2年A組)。あだ名はしいちゃん。

滝川 恋れん→秀華学園、(2年A組)

林 頼人らいと→秀華学園、(2年A組)

ひぐりん→鬼山高校の先生

菊田毅→金髪。鬼山高校(2年)

川村利明→茶髪。鬼山高校(2年)

小森健太→緑髪。鬼山高校(2年)

小川→鬼山高校

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