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1.ファミレスで①

 「あ。」

 何かが足元に当たりテーブルの下を見ると、消しゴムが落ちていました。あたりをみると、食事をしているお年寄りのご夫婦や、親子連れ、コーヒーを飲んでいるサラリーマンがいます。その中で制服を着た男子学生たちがノートとプリントを広げて座っていました。きっとあの人たちね。私はこの消しゴムを落としたであろう男子学生たちのテーブルに向かい、

「この消しゴムあなたのですか?」

と声をかけました。すると髪の毛を真っ赤に染めた男子学生が、

「あ。俺の。わりぃ。」

と言って消しゴムを受け取りました。その時、テーブルに広げてあるノートが目に入りました。・・・何?こんな簡単な問題が・・・。

「この問題、全部間違ってる・・・。」

しまった。心の声が口から出てしまいました。

「あん?何て?」

と髪の毛を真っ赤に染めた男子学生が私に聞き返しました。つい失礼なことを口に出しちゃいましたが、聞き返されたのであればきちんと伝えないとね。

「突然失礼なことを言ってごめんなさい。あの・・ノートに書いてある問1から5まで全部答えが間違えてますよ。」

と伝えました。すると、髪の毛を真っ赤に染めた男子学生は、

「マジで?なんだよ、お前たちが任せとけって言うからドリンクバー奢ってやったんじゃんか・・・。てかマジ留年とかやばいんだけど・・・。再試とか無理じゃん。終わった・・・。」

と頭を抱えると、彼の友人であろう周りのカラフルな髪色の生徒たちが

「俺達はお前が後輩になっても遊んでやるからな。」

と言って笑っています。この人たちは髪の毛を真っ赤に染めた男子学生に奢ってもらったくせに、まともに教えず、しかも彼を馬鹿にするなんて。私はカチンときて、

「あなたたちは彼に勉強を教えるから奢ってもらったんでしょ?だったらちゃんと役目を果たさなきゃいけないんじゃないの?」

と尋ねると、金髪の男子学生は

「ごめん。ごめんって。でも俺らなりに頑張って教えてるんだけどさ。力不足で無理だった。」

と言ってため息をつきました。

「先生には教えてもらえないのですか?」

と赤髪(面倒なので髪の毛を真っ赤に染めた男子学生から赤髪に省略。)に尋ねると、

「俺、もう見放されているから。しゃーねぇ、あきらめよ。」

と笑っています。・・・なんですと?私はこの状態で笑っている赤髪も、生徒を教え導く立場である教師にも周りで笑っている彼の友人たちにも腹が立ちました。私は赤髪に

「再試、いつですか?」

と尋ねると

「来月の9日。」

と答えました。

「試験範囲は?」

と尋ねると、

「この2枚のプリントの内容で、これと似たような問題が出るって。」

と答えました。私は

「再試はこれだけですか?」

と尋ねると

「あと英語と歴史と古典・・・。」

と赤髪は答えました。

「マジうける。」

と緑髪(他の学生たちも○髪と省略)が笑います。私は緑髪をにらむと、

「教科書は?」

と赤髪に尋ねました。

「ないけど。」

なんですと?「ないけど。」私は思わず赤髪に

「あなた進級したくないんですか?」

と尋ねると、赤髪は

「教科書読んだってわけわかんねーし、眠くなるし。」

と答えました。そして赤髪は

「さっきから、あんた何なの?消しゴムありがとうございました。 」

と言ってノートに書いたものを消し始めました。私はその手をつかみ、思わず

「私が教えてあげます。」

と言ってしまいました。



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― 新着の感想 ―
カフェで出会った赤髪の学生の危機に、思わず手を差し伸べる主人公の行動力に感服しました。陰キャの自分には多分無理です笑
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