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新天地へ②

 さて、状況を整理しよう。

 事件が起こったのは船内二階の215号室、被害者は奴隷商人で、胸に大きな爪痕のようなものがあった。

 死因はおそらくその“爪痕”によるものだろう、、

 そして同室かつ獣人のマカフィーがトイレから戻った時にはすでに奴隷商人は亡くなっており、捕まるまでそう長くはなかったとのことだ。


 もしマカフィーが犯人でないのであれば、真犯人がいるということだ。

 マカフィーが疑われている大きな要因は爪痕、だろう。よく見れば手や爪の大きさはそこまで大きくはないので話せばわかりそうだが、船員は客に不安を煽らないようにするために捕まえた事実を優先するだろう、となれば別の犯人を引き渡さないと解決にはならない、、


 こんな時は、視点を変えてみるのが一番だ。

 爪痕の傷をつけたのは誰か、ではなく、どうやって爪痕のような傷ができたか、を考えるんだ。


「だれか爪痕のような傷をつける方法に思い当る人はいますか」


 しばらく無言の時間が続いたが、なにかを思い出したようにジーニスが話し始めた。


「俺が思い当るのは二つ、魔物か“風魔法”だ」

「魔物は船内にいるわけがないので省くとして、もう一つの風魔法なら爪痕のような傷がつけられるかもしれねぇ」


「風魔法、、ですか」


「あぁ、風魔法なら鋭利な傷をつけることは可能だ」


「なるほど、だとしても風魔法使いを船内から探すのは至難の業ですね、、」


「案外そんなこともないぞ、このマジックストーンを使えば得意属性がわかる」

「それに風属性なんてそんなに多くもないからな」


 そういってジーニスはビー玉サイズの石をポケットから取り出した。


 ジーニスいわく、マジックストーンを対象に近づけると色が変わるらしい。

 火属性なら赤色、水属性なら水色、といった感じらしい。


「マカフィには俺が認識阻害魔法をかけておく、その間エマとセレンで風属性の魔法使いを探すんだ」

「俺はこの魔法をかけてる間は遠くに離れることはできない、犯人らしき奴を見つけたらすぐ戻って助けを呼べ」


「わかりました」「わかったわ」


 そして俺は一階から、エマは屋上から犯人を捜すことになった。


 探し始めて数十分経った頃、事件が起きた二階の部屋でついにマジックストーンが風属性の反応を示した、薄い黄緑色、ジーニスが言っていた通りだ。

 えっと、、どんなやつかな、、俺はマジックストーンばかりに気を取られ、周囲の警戒を厳かにしていた。

 顔を見上げると、そこにはマカフィを捕らえていた船員がいた。


「お前、、」


 船員の目つきが変わった、まずい、すぐにこの場を去らないと、、


 すると次の瞬間、船員の陰から暗闇が広がり、船員と俺の二人きりの空間に閉じ込められた。

 かなりまずい状況だ、、


「闇魔法、ブラックルーム」

「ガキが首突っ込むから命を落とすことになる」

「この空間は完全に外から遮断されている、叫んでも助けはこない」

「風魔法 神裂き!」


船員は右腕を大きく振り下ろした。


「残像剣!」


 俺は咄嗟に攻撃を躱し、反撃に備えた、


 が、次の瞬間、俺の脇腹に急激な痛みが走った。

 よけたはずの攻撃が若干かすっていた、、


「やるな、奴隷商人をあの世に送った技だが、まさか初見でかすっただけとは」


 この状況はかなりまずい、外に出ようにも暗闇の壁で出れそうにもない、、


「やるしかないか、、」


 俺は覚悟を決めた。


「纏 光!!」


 まだ完成形には程遠いが、薄っすらと纏う程度には形になった。


「ほう、纏を使えるのか」

「だがまだ浅いな、それでは俺に勝てんぞ」

「纏 風」


 くそ、こいつも纏が使えるのか、、

 この世界では必須科目かなにかか!?

 父さんには教えてもらったことがないけど同世代で使えたやつもいなかった、、

 これで死んだら世界を恨むぜ、、


 俺は目の前の攻撃に集中した。


「神裂き」


 先ほどの攻撃より速い!!


 ザシュッ!!


 腕を少しかすめたが、何とか避けられるレベルだ、、

 だが脇腹の傷が深い、短期で決めないと確実に状況が悪化する、、

 まだ練習途中だがやるしかねぇ!!


「ライトニングシャリオ!!」


 エマの技から着想を得た互換技、魔力を余すことなく振り絞り、全身全霊の必殺技だ。


 光の弾丸が船員を襲う。


「やったか?」


「喰らっていたらな」


 船員は傷一つついていなかった、、


「なぜ、、」


「メイドの土産に教えてやろう、、」

「ブラックルームは俺自身、出入り自由だ」


 そうか、、俺が攻撃した際、外に逃げ、終わったタイミングで入ってきた。


 ここまでか、、俺は先ほどの攻撃で全魔力を消耗した。

 だが大人しく死を受け入れるのも性に合わない。

 俺は剣を構え、視界がぼんやりとしながらも立ち向かった。


「その闘志に敬意を表して一撃で屠ってやろう」


「神裂き!!」


 俺は走馬灯がよぎっていた、だが、死ぬ気配もなければ脇腹と腕の痛みは続いている。

 恐る恐る俺は目を開いた、、


「よく耐えた、後は任せろ」


 ジーニスの背中が大きく見えた、、、

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