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母、転移する

初めての作品です。

文章が読みにくい、誤字や脱字が多い事があるとは思いますが、温かく見守って下さい。

苦手な方は御遠慮下さい。


有田真奈美39歳。女。

シングルマザー歴20年。

介護施設勤務、3交代制夜勤あり。

彼氏なし。


有田龍星20歳。男。

通信大学2年生。

バイトなし。自宅に引きこもり気味。

彼女なし。


有田まる7歳。女。

猫、雑種。避妊手術済。

昼寝大好き。カリカリより缶詰大好き。龍星が大好き。真奈美も好き。

彼氏なし。



毎日毎日毎日毎日、仕事仕事。

生活の為には仕方ないとは思う。

しかし、最近身体がキツい…


「あー今日も仕事かー眠い…」


現在朝の4時。

真奈美は眠い目を薄くこじ開けながらお弁当を簡単に作る。

別の皿には息子、龍星用のおかずを盛り付け、ラップをかける。

くわーっと大きな欠伸をし、コーヒーをひと口すする。

一応39歳の女だが、好きな人には見せられない姿だ。いないけど。

韓国の激安通販で1500円で購入した、チェック柄の部屋着上下は真奈美のお気に入りだ。色違いで3セットある。

昔に比べて少し…ふくよかな体型。

最近はダイエットをしても体重が減らなくなってきている。危機感は常に感じているが、疲れると甘い物が食べたくなる誘惑に負けてしまう。

髪は長いが最近細く、少なくなった気がする。白髪もシワもほとんどない為、5歳~7歳は若く見られる。

今は寝起きの為、ボサボサ。後ろで1つにゴムでまとめている。


寒くなってきて、起きるの辛いな…


今日は早番で7時に出勤。

自宅を出るのは6時だ。


4:35か、シャワーを浴びて用意をしないと。


浴室で歯磨きをしながら暑いシャワーを浴びてリセットする。

やっと目が覚めた気がする。


5:10、メイクをササッと済ませ、髪をアップにする。仕事の時は常にこの髪型だ。


「まるちゃん、ご飯だよ。」


愛猫のまるは寝ていても「ご飯」の言葉に反応し、すぐに起きて来る。


「にゃーん」


ゴロゴロと喉を鳴らして真奈美の足にスリスリと身体を擦り付ける。


まるがカリカリを食べているのを横目で見ながら、着替える。

パーカーにジーンズがいつもの真奈美の定番だ。

おしゃれな服は最近買っていない。おしゃれな服を来ていく場所もない。

近くの安い服屋か通販サイトで買うのがほとんどだ。


「あ、真奈ちゃんおはよう。」


息子の龍星が頭をガシガシ書きながら起きて来た。


「りゅう、おはよ。早起きだね。」


「にゃーん」


カリカリを食べていたはずのまるが龍星の足にゴロゴロと絡みつく。


「まるーおはよう。んー今から寝るんだよね。」


どうやら朝方まで友達とネットゲームを楽しんでいたらしい。


「そっか、じゃあ仕事行って来るね。」


パンをひとつとカバンとスマホを持って玄関に向かう。



「行ってらっしゃい。」


「にゃー」


二人に見送られ、真奈美は自宅を後にした。

車に乗り、ひと息つく。

5:55、ちょっと早いけど出発。


真奈美は運転にかなり慎重な方だ。

数年前に男子小学生が自転車で横道から急に飛び出して来て、真奈美の車と接触した事があった。

幸い、男の子は転倒はしたが、擦り傷のみで一応救急搬送されて行った。

その時に周りの人が集まり、1人の中年男性に責められた。


「子供が出てくる可能性があるんだから、スピードは出したらダメだよ!」


真奈美は制限速度30キロの道路を28前後で走行していた。決してスピードを出していたとかではない。


「子供や高齢者は弱者になるので、どんな状況でも車が悪くなりますね。」


と警察にも言われた。

出てくるかも知れないと予測して徐行しろと言うことらしいが、警察に色々聞かれている横を他の車が40キロ位でたくさん通っている。

真奈美は理不尽だったがしっかり反省もして、数日は落ち込んでいた。


その後からはかなり慎重な運転になった。




//////////////



その日の勤務が終わり、夕方。

車に乗ると黒い猫が目の前を横切った。


「可愛いけど、縁起悪いのかな?」


真奈美は嫌な予感がして気を付けよう…とゆっくり発進した。


いつもの路地が工事中で通行止めになっていた。

他の路地はあまり通った事がないが、戻ると時間が掛かるので行って見る事にした。


狭い路地だったが、少し進むと徐々に広くなり、ホッと胸をなでおろした。


その時、路地の左端にうずくまっている老人がいた。

真奈美は職業柄気になってしまい、車を停めて急いで降り、老人に話かけた。



「どうされましたか?」


白髪で80代位の上品な女性だった。


「すみません、少しよろけて座り込んで、立ち上がれなくなってしまいまして…」


真奈美は老人を立ち上がらせて床に落ちているカバンを渡した。

自宅は目の前とのことで一緒に玄関の中まで付き添った。


「本当にありがとうございました。」


老人は町田清子さんと言うらしい。


玄関の中に椅子があり、そこに座ってもらってお互いにひと息ついた。


「本当に何てお礼を言えば良いか…何か…何かないかしら。」


清子は自分のカバンの中を確認し、小さいコンパクトを真奈美に渡した。


「え?」


真奈美が戸惑うと、


「これは、お気に入りのお店で昨日購入したばかりの品なのよ。すごく気に入って色違いで二つ購入したの。こんなお婆さんとお揃いは嫌かも知れないけど、お礼にもらって下さる?」


「あ、ありがとうございます。」


清子の言葉に真奈美は断る事が出来ず、コンパクトをもらってしまった。

小さい花の模様がたくさんあり、ピンクと紫と虹色に角度で色が変わり、キラキラしてとても可愛いデザインだ。

清子のセンスはさすが、上品な方だなと思った。


なんか…高そうだけど、良かったのかな?


自宅に帰り、自室に入ると机の上にそっとコンパクトを置いた。


/////////////



夜、入浴後に自室に戻ると、清子からもらったコンパクトが照明に反射してキラキラしているのに気付く。


キレイだな…


真奈美は椅子に座り、机の上にあるコンパクトを手に取る。

パカッと音がしてコンパクトが開くと両面鏡になっていた。


「わ…」


鏡に見とれて、思わず声が出てしまった。

しかし鏡に映っているのはアラフォーの風呂上がりのオバサン。


「ふふっ…」


真奈美は自分の顔にガッカリして笑ってしまう。


「10代、20代の頃はもっと可愛いかったんだけどなー戻りたいなー」


鏡の中の自分を覗きながら呟いた。



その時。鏡が明るく光り、眩しさに目を瞑る。


「え?なに?眩しい!」


目を閉じていても眩しさを感じる位の明るさで目を開けられない。


照明機能が付いてるのかな?眩しいー




/////////////////




眩しさがなくなり目をゆっくり開けると、自分の部屋ではないどこかの部屋にいた。


「え??」


見た事もない家具や壁。窓からは木々が見える。


森の中?明るいから昼間?どういう事?


頭の中が整理が出来ない。ゆっくりと少し前の事を思い出してみた。


お風呂から出て、部屋に行ってから…どうしたっけ?

夕食はカレーライスとサラダを作って龍ちゃんと食べた。

まるちゃんには今日は大好きな缶詰めを開けて、すごく喜んで食べていた。

その後、30分だけテレビのバラエティー番組を観て…

つまらない内容だったから、お風呂に入ったんだよね…

そうしたら、そうしたら…どうしたっけ?



「あ!!」


思い出した!あの人にもらったコンパクト!鏡を見ていたら光って…光ったら…どこ?ここ。








とにかく、現在地の確認をしないと。


「スマホ…ない…」


着ている服はお気に入りの部屋着。

スリッパはいつもの猫の可愛いスリッパ。

髪の毛はまだしっとりしている。


お風呂に入ってからそんなに時間は経ってないみたい。

とにかくここは誰の家か、住所がわかる物を探さないと。


周りには人の気配はなさそうだ。

ふと、部屋の窓側に机があり、その上に封筒が置いてあるのを発見する。


『有田真奈美様』

と封筒には真奈美の名前が書いてあった。


あんな所に手紙なんてあったかな?



少し疑問に感じたが、とにかく確認してみる事にした。




////////////



『有田真奈美様、はじめまして。この世界の管理者です。名前はありません。そのまま、管理者とお呼び下さい。

さて、この世界は真奈美様から例えると全く異なる世界になります。この世界ではあらゆるトラブルにより、このままでは修復しないと滅びる運命になります。管理者にも修復不可能のレベルまで到達してしまいました。最後の救済として、他の世界から転移召喚をすれば、徐々にバランスが取れて修復する事がわかりました。

転移方法として、あるアイテムをひとつだけ他の世界に送る事が出来ました。

そのアイテムに願い事をして下されば、転移召喚が完成します。

真奈美様がそのアイテムを利用し、願い事をして下さった為、異世界転移に成功しました。

真奈美様には大変感謝しております。

ありがとうございました。

この世界では特に真奈美様が何かをしなければならないと言う訳ではありませんので、ご安心下さい。

転移の成功のお礼として、真奈美様のお願い事を叶える事にします。

是非この世界をお楽しみ下さい。


特典としまして、便利スキル数種とこの家をプレゼントさせて頂きます。』




異世界転移?りゅうちゃんが読んでたラノベでそんなのを読んだ事があるけど…うそでしょ?………どうしよう…これが本当の事なら帰れないのかな?

龍星…まる…私がいなくなったらどうやって生きて行くの…貯金だってあまりないし…私もひとりぼっちは嫌だよ…


膝から崩れ落ちる様に床に座り込む。どうしよう、どうしようと繰り返し考えがまとまらない。


どの位の時間を床に座っていたのか、考えても答えは出ないまま立ち上がった。


この世界が滅びてしまう…私が…もとの世界に帰ったら…滅んでしまうのかな?それは出来ない。




真奈美には両親はいない。二人一緒に事故で他界したのは真奈美が28歳の時だった。親戚付き合いも全くなく、龍星と二人で頑張って生きてきた。龍星の父親とは3歳年上で真奈美が17歳の時に合コンで知り合った。初めて付き合って半年で妊娠してしまい結婚をした。浮気、暴力、ギャンブル、借金とダメな男だった。特に暴力がきっかけでお腹の中の子を守る為に真奈美は実家に逃げた。

真奈美の父親は柔道の黒帯持ちで大学で指導ををしていた。いろいろと真奈美の力になってくれて、実家に乗り込んで来た元夫を抑えて話し合いし納得してもらい、離婚が成立。真奈美は18歳だった。その後は一度も会ってない。養育費も慰謝料ももらってない。何処にいるのかもわからない。


龍星が中学1年の時に雨にうたれて震えている小さい白い猫を拾って来た。それがまるだった。まるは最初は生きられないと動物病院で言われたが何とか復活し、現在はとても元気で病気もない。里親募集を病院で言われたが、龍星にしがみついて離れない。それが可愛い過ぎて、そのまま有田家のまるになった。

前の世界には心残りが多過ぎる。




「帰りたい…帰りたいよ…りゅうちゃん…まるちゃん…パパ…ママ…」




////////////



母、真奈美が急にいなくなってから2日が過ぎた。

最初は事故か家出かいろいろ考えたが、職場も無断欠勤していると連絡があった。

真奈美はそんな無責任な事をする人ではないのは龍星は良く知っていた。


「にゃー」


まるが龍星の膝に乗りゴロゴロと喉を鳴らす。


「まる…真奈ちゃんはどうしたんだろうね…」


真奈美の部屋にはスマホがテーブルに置いてあり、充電が切れていた。

靴も服もそのままでなくなってない。

部屋着のまま外に出る可能性は低い。


事件、誘拐か?

だとしたら、警察に届けるべきか。


真奈美の部屋に入り、充電切れのスマホを充電する。

その時、龍星はテーブルの上にあるコンパクトに違和感を感じた。

真奈美は青や紺、緑系の色を好んで集める事がほとんどで、こんな派手なコンパクトを持っている事に違和感があった。


誰かにもらった?男?彼氏が出来た?



女性らしいデザインの上品なコンパクトを眺めていると、まるが抱っこをねだって来た。


「にゃーにゃー」


「おいで、まる。」


まるを抱き抱え、龍星はコンパクトを片手で開く。


「普通の鏡…だよね。真奈ちゃん…何処に行ったんだろう。心配だよ。会いたいよ。まるも寂しいって言ってるよ。」


「にゃーんにゃーん」


龍星とまるはコンパクトの鏡に自分達を映して、真奈美に話し掛ける様につぶやいた。


その時、鏡が急に光出す。

真奈美の時と同じ様に…

龍星とまるは眩しさに目を開ける事が出来なかった。

見えない状態でまるがビックリして腕の中で動いた為に身体がふらつき、龍星は近くのテーブルにしがみついた。


「なんだこれ!まぶし…」


光が収まると、机と一緒に龍星とまるの姿は何処にもいなくなっていた。


いつも読んで頂きありがとうございます。

少しずつですが、ゆっくり更新しますので、よろしくお願いします。

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