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王国と第2王子

「…どうしてこうなった。」


私達の現在地は牢屋の中だった。


「ねぇキグルン…私達って何かしたっけ…?」


「考えられる事は2つ。1つはモンスターであるボクとメタルを連れていた事。もう1つは最悪のパターンだよ。…ほら来た。」


階段を降りてきたのは…ゼノニスだった。私はキグルンの言った最悪のパターンの意味が分かってしまったのだ。


「ククク…数時間ぶりだな。」


笑ってはいるものの目は怒りに満ちているゼノニスが牢屋の前に立っていた。


「どうして貴様達が牢の中に居るか分かるか?分かってるよなぁ?我のスネをここまで攻撃しておいて、忘れたとは言わせぬぞ!」


どうやらキグルンにスネを攻撃されまくった事が原因のようだ。


「貴様達が我のスネを攻撃しまくったお陰で我は城に帰るのがとてつもなく大変だったのだぞ!そう…あれはさっきの事…って、そんな事はどうでもいい!」


よく見るとゼノニスの片足には大量の包帯が巻かれている。氷まで巻きつけられている。


「それはさておき…我は兵士共に言い、貴様達を捕らえるように命令したのだ。王族を傷つけた者がどうなるか知らなかったのか?処刑は免れぬだろうなぁ…!」


どうやらゼノニスは負けた事を恨んでおり、自分の地位を利用して私達を消すつもりのようだ。


「しかし我とて悪魔ではない。処刑以外の道も選ばせてやろう。3つの中から選ぶと良い。1つは永遠に強制労働する事、2つは奴隷として他国に売り飛ばされる事、3つは精霊とモンスターを我に引き渡し、貴様は犯罪者のレッテルを貼られたままこの国で死ぬまで暮らすか…さぁ好きなものを選ぶが良い!」


「どれもお断りよ!」


私はつい咄嗟に叫んでしまった。ゼノニスは一瞬ビックリしながら、すぐにため息を付いた。


「…ならば処刑されることだな。生きるチャンスを自ら捨てる貴様の愚かさは何度見ても飽きぬわ…。ククク…アーハッハッハ!」


怒りの混じった声で笑いながらゼノニスは階段を上がっていった。途中、叫び声と壁を殴る音が牢屋に響いたが、私には関係ない事だと思った。


「どうするご主人様?このままだとボクたちは処刑されちゃうよ…。」


キグルンが今にも泣きそうな声で私の服の裾を引っ張っている。


その時、また階段を降りる音が聞こえてきた。ゼノニスとは別の男が目の前に立っている。


「あなた達がゼノニスの命令で取り押さえられた冒険者さんですね?」


男はこちらに質問をしてきた。


「は…はい。そうです。」


私がそう答えると、男は急に頭を下げた。


「…僕の弟をどうかお許しください。僕の名前はアークライン。シャルカール王国の第2王子です。」


アークラインは牢屋の鍵を開けると両手を縛る縄を解いてくれた。


「僕の弟…ゼノニスは自分がされたことを誇張して言い張る癖があってね…。今回の一件も恐らく弟の自業自得からきたものなんだろうと思ったんだ。」


アークラインはヤレヤレとため息をつきながら私達に言った。


「さぁついてきて。あなた達は僕のお客様という事にしてあるから、もう兵士に捕まったりはしないし、それにゼノニスも手は出してこないと思うよ。」


アークラインは私の手を引きながら地下牢の階段を駆け上がる。外に出てみると城壁が見えた事から、まだ城下町の入り口だったようだ。


「僕はこの辺で失礼させてもらうよ。シャルカール王国を楽しんでね!」


アークラインはそう言ってお城の方へ歩いていった。すると近くを通りかかった兵士は私達に慌てて頭を下げた。


「先程の無礼…申し訳ありませんでした!アークライン様のお客様だとは知らずに…」


「いえいえ…お気になさらず。」


私は兵士にそう言って町の方へ歩き出した。


「…そういえばプルンデスが出てこないね。何してるんだろうねご主人様。」


そういえば…と、思った私はプルンデスに呼びかけてみた。そしたらプルンデスは私の心から出てきた。


『精霊が居たら兵士や町の人達がビックリしてしまうかと思いまして…。』


プルンデスは申し訳なさそうにそう言った。私は少し考え込んでから、良いことを思いついた。


「それなら…形を変えて人の姿になるのはどうかな?プルンデスは水の精霊だから自由に形が変化するはず!」


『なるほど…!それなら私は皆を驚かす事はありませんね!では、少しお待ち下さい。』


プルンデスはそう言うと、形を変え始めた。すると、瞬く間に人間離れした美しさの女性へと変貌していく。


『…どうでしょうか?どこかおかしな所はありませんか?』


「…可愛い。」


私がぽつりと呟いたその時…


『え?可愛い!?私、アカネちゃんに可愛いって言われた!?にへへ…嬉しい…❤』


やっぱりプルンデスはプルンデスだった。


兎にも角にも私達は城下町を色々と巡ってみる事にしたのだった。

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