ベリーとの別れ
「んぅ〜…んあっ…?」
ベリーの家のベッドで目が覚めた。良い香りが漂ってくるので辺りを見回すとベリーが朝食を作っていた。
「ぐっすり眠っていたね。ふふ…安心して眠れたようで良かったよ。」
ベッドから起き上がった私はまだ寝ているキグルンとメタルを起こした。
「さて…朝ご飯ができたよ。皆!ゆっくり食べてね。」
『何を食べられるのかワクワクします!』
ご飯という言葉に反応してプルンデスが出てきた。食い意地張ってるなぁ…。
しばらくして、焼いたパンらしきモノがテーブルに並べられた。全員分を作るのは大変だろうに。
「ベリーの手作りホットサンドさ!さぁさぁ召し上がれ!」
『あぁ…我慢できません!お先に頂きますね!』
プルンデスが我先にとホットサンドにかじりついた。中央の球体がモグモグと動いている。そして周りの4つの球体を輝かせている。
『なんと美味しいのでしょう!外はカリッとしていて中はもっちり…。具材の玉ねぎとポテトそれに鶏肉とチーズ!4つが見事に合わさってとても味を引き立てている!』
喜ぶプルンデスは急に食レポをし始めた。やれやれと思いながらも私はホットサンドを口に運ぶ。
「…!?」
そのあまりの美味しさに私は無言になってしまった。そして気がついたらペロリと完食していた。
「皆良い食べっぷりだね!私も嬉しいよ。美味しく食べてくれるんだもの!」
ベリーはそう言いながらクスクスと嬉しそうに笑っていた。それと同時にどこか悲しそうな顔をしていた。
しばらくしてホットサンドを皆で完食し、幸せな気持ちに包まれた。
「ごちそーさまでした。」
「美味しかったねご主人様!」
『あんなに勢い良くがっつくアカネちゃんも可愛かった…!えへ…えへへへ…。』
それぞれが一息ついていると、食器を洗いきったベリーが近づいてきた。
「お嬢さんと過ごしたのは…ほんの一日だったけど私は幸せだったよ。娘と再開できた気分だった。…でも、行くんだろう?本当は引き止めたいが、君は私の娘では無いからね。」
ベリーは悲しい顔をしていたがすぐに笑った。そして私に大きめの蓋付きのカゴを渡した。
「これは旅する皆への応援の気持ち。中にお弁当が入っているからね。お腹が空いたときに開けて食べてほしい。…さぁ街道まで送るよ。」
そう言ってベリーはついてくるように言い、森の出口へと歩き出した。
しばらく歩くと街道へ出た。最初に私達が居た街道とは違う場所のようだ。
「この先はシャルカール王国へ続く道さ。街道から少し外れた所に私のお気に入りスポットの美しい湖があるんだ。もし、歩き疲れたらそこで休憩すると良いよ。…お嬢さんさえ良ければ、またいつか私の家に遊びに来てくれないか?」
「うん!また遊びに行くね!」
私はベリーと約束して街道を歩き出した。後ろを振り返ると、ベリーは手を振っていた。私は別れる寂しさを我慢して、前へ進みだした。