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砂塵に潜む骸奇人(エリボーン)

私達は荷馬車に揺られて砂漠を進んでいた。ザラザラ…ゴトゴトと馬車が砂の上を進んでいく。


「ご主人様、熱い砂の上を歩かなくていいのってすごく楽だね!」


ドラキグルンはそう言いながらごろんと寝転んでいた。


「フーッ♪」

「キシャーッ!」


ふーちゃんとメタルも荷馬車の日陰でのんびりとしている。


しかし、その時ゴトンッ!と大きな音がした。何事かと商人に聞くと、モンスターが地中から襲撃してきたという。


『ふむふむ…あのモンスターはエリボーン!ステージⅡの死鬼型モンスターです!』


プルンデスはわずか短時間でモンスターを分析した。


「エリボーン…高い耐久力と砂の上でも落ちないスピード…骨とは思えない身体の身軽さは油断できないな…」


プランデッドが目の前のエリボーンを睨みつける。私達は荷馬車を降りて戦闘態勢をとった。


「お嬢ちゃん方、まさか戦うつもりかい!?やめるんだ!早く馬車の中に戻るんだ!」


「エリボーンは砂中を進んで獲物を狩るモンスター…馬車でも逃げるのは難しいわ。」


慌てる商人に対してプランデッドはエリボーンの危険性を説明した。


「乗せてくれた商人さんを守ろう!ボク達なら勝てるはず!」


ドラキグルンは着ぐるみの爪を構え、一目散にエリボーンに接近した。しかし、エリボーンは素早く砂に潜り、ドラキグルンの攻撃を回避したのだ。


「…どこに消えた!?」


キョロキョロと周りを見渡すドラキグルン。足元が突然爆発し、空に打ち上げられてしまった。


「ギャーッ!」


「グジャジャジャジャ!!」


エリボーンは奇声を上げ、口から紫の霧をドラキグルンめがけて吹き出した。


「うわーっ!目が…目が痒い〜!」


『エリボーンの必殺…ハガードミストです!あれを受けた者は恐ろしい目の痒みに襲われ無力化されてしまうんです!』


「痒くて目が開けられない〜!うぅ〜!」


プルンデスは慌てながら説明をし、ドラキグルンは苦しみながら悶えている。


「一筋縄じゃいかなそうね…プルンデス!ドラキグルンを回収して!」


『アカネちゃんの頼みとあらば!』


プルンデスは素早くドラキグルンを包み込み、こちらに戻ってきた。


『しばらくドラキグルンを私の中で洗浄しておきます。しばらくすればハガードミストも洗い流せるでしょう。』


「ありがとうプルンデス。さぁ覚悟しなさい!エリボーン!」


「グジャゴゴゴゴゴ!」


私はメタル、プランデッドと共にエリボーンに飛びかかった。エリボーンが砂に潜ろうとした時…


「逃さないよ!」


プランデッドの伸ばした蔦がエリボーンの身体を捉えた。エリボーンは暴れるが、プランデッドは逃さまいと蔦をさらに締め上げる。


「キシャーッ!!」


そこにメタルが急降下してエリボーンに激突!あまりの衝撃にエリボーンはフラついた。


「今だ!はぁぁぁぁ!」


私は剣でエリボーンを斬りつけた。エリボーンはおぞましい叫び声を発しながら苦しみだした。プランデッドはしゅるしゅると蔦を解き、エリボーンから離れた。


「グ…ジャジャ…ゴ…ゴ…」


エリボーンは地に倒れ、力尽きる前に突然言葉を発したのだ。


「貴様タチ…負ケ。エリ…ガ…一匹ダケダト…思ッテタ…?」


エリボーンはそう言うと今までの比にならないほどの咆哮を上げた。


「ゴジャアアアアア!グジャジャジャジャ!グゴジャアアアア!!!」


あまりのうるささに全員耳を塞ぐ。その咆哮の後、エリボーンは消滅した。私達は最期の咆哮は何だったのか考えながら馬車に戻ろうとした。その時、砂の中から巨大な何かが飛び出した。


…たくさんのエリボーンと共に。


『あ…あれは…EXエリボーン…!ステージⅢのエリボーンのリーダー的なモンスターです!』


「「「「グジャジャジャ!」」」」


私達は呆気にとられていた。ふと我に返り商人に叫んだ。


「私達を置いて逃げてぇー!」


商人はそんな事できないと慌てていたが、私達にはこの作戦しか無かった。商人までやられたら助けを呼べる人がいなくなってしまうからだ。


「アナタは国境まで戻って助けを呼んでほしいの!アカネがピンチだって伝えれば何とかなるはずだから!私たちを信じて早く逃げて!」


商人は頷き、来た道を素早く戻っていった。


「ギシャアアアア!!」


EXエリボーンは咆哮をあげると手下のエリボーン達が一斉にハガードミストを私たちめがけて吹き出してきた。


「きゃっ!」

「キシャーッ!」

『身体に張り付くっ!』


私たちの目が見えない隙をついてエリボーンは私たちを捕らえた。エリボーンが私たちを連れて行こうとした寸前にプルンデスは洗浄中のドラキグルンを空にめがけて飛ばした。


「(あれ…?そういえばプランデッドとふーちゃんは…?…もしかして!)」


私はプランデッドとふーちゃんがいない事に気づき、1人と一匹、そして商人が必ず何とかしてくれる事に賭けた。その後、私たちは意識を失い、どこかへ連れて行かれてしまった。


一方その頃、プランデッドは不死の魔竜を抱えて走っていた。


「デスマスクのお陰でハガードミストを受けずに済み、隙を見て遠ざかることには成功したけど…皆まってて。私達が必ず助けにいくから!」


プランデッドは商人の道筋を辿りながら皆を助ける決意をしたのだった。

今回から登場したモンスターの詳細を書きます。

エリボーン

ステージ Ⅱ

種族 死鬼型

分類 ムカムカ

必殺技

・ハガードミスト

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