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小さくて大きな冒険 〜序〜

森の中…アカネ達はすやすやと眠りこけていた。そこに小さな影が忍び寄っている事には誰も気づかなかった。


「あそこで眠ってる奴らが今回の遊び相手か〜。」


無邪気に口を開いたのは、豆粒程の大きさのドラゴンだった。


「せいぜい俺を楽しませてくれよ〜。キキキキ〜ッ!」


そう言うと豆粒サイズのドラゴンは口から白い霧をアカネ達に向けて放った。


そして夜が明けた…


「ん〜…良く寝たぁ…。あれ?皆はどこに…?」


「ご主人様〜!」


「フーッ!」


ドラキグルンがふーちゃんをおんぶしつつ、叫びながらこちらへ向かってきた。そして、息切れしながら話しかけてきた。


「はぁ…はぁ…大変だよご主人様…!ボク達…小さくなってるんだ!朝起きたら周りの物や草が大きくて…」


私は衝撃の事実を知り、辺りを見回してみた。ドラキグルンの言った通り、何もかも巨大だった。


「そういえば…メタルとプルンデスは…?」


『私はここですよ〜…助けてくださ〜い…。』


声のする方に振り向くと、プルンデスが巨大な蚊のようなモンスターに吸われていた。


『こんなでっかいモースキート見たことありません…【ステージⅠ】のハズなのに太刀打ちできなかったんです〜…。』


私達はプルンデスを助ける為にモースキートに一斉攻撃した。すると、何とか追い払う事ができた。


「大丈夫?」


「無事か〜?プルンデス。」


「フーッ!」


『ええ…何とか。ありがとうアカネちゃん!ドラキグルン達もありがとうございます。しかし…身体の水がずいぶんと減ってしまいました…しばらく休ませてください。』


プルンデスはお礼を言ってから、私の心の中に入っていった。


「それにしても…メタルはどこにいるんだろうか…ボク、心配だよ〜。」


私達は行方不明のメタルを探すため、歩き出そうとしたその時…


「メタルって言うのはコイツの事か?キキキキ!」


上空から声がしたので、上を見上げると不気味な体色をした多眼の竜が羽ばたいていた。そして尻尾に縛り上げたメタルを吊るしている。


「俺はカイザードラゴン!他人をどんな大きさにもできるのさ!キ〜キッキッキ!」


「カイザードラゴン!?ボク知ってるよご主人様!カイザードラゴンに小さくされた者は、本来の力の1/10しか出せなくなるって…。」


ドラキグルンはそう言って焦っていた。私とふーちゃんはカイザードラゴンを睨みつける。


「キキキ〜。よく知ってるなぁ!お前達は【ステージⅠ】以下の強さしか発揮できないはずだぜ!それに比べて俺は【ステージⅢ】!お前達に勝ち目はないんだよ!」


カイザードラゴンは高笑いしながら火球を放った。地面に触れた火球が爆発を起こす。私達は爆風に耐えられず、吹き飛ばされてしまった。


「お前達が死なずに俺の所まで来れたらコイツを返してやるよ!ま、大きさは戻してやんねーけどな!キキャーッキャッキャ!」


カイザードラゴンはそう言いながら何処かへ飛び去っていった。かくして私達は、小さいまま森の中で離れ離れになってしまった…。これから私達はどうすれば良いのだろうか…。それを考えていてもどうにもならなかった。


「キーキッキッキ!せいぜいあがいてみせろよ〜!」


吹き飛ぶ中、そんなカイザードラゴンの声が聞こえた気がした…。

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