不死の魔竜
スカルダーズと和解し、さらに旅を続ける私達。すっかり辺りが暗くなっていた為野宿をすることにしたのだった。
「それにしてもご主人様、この卵はいつ生まれるんだろうね〜?」
「キシャーッ?」
ドラキグルンとメタルは疑問そうに聞いてくる。
『そのうち生まれますよ。気長に待ちましょう!』
プルンデスはそう言いながら水を温めてお湯を沸かしている。夜は冷えるから白湯を作っているのだ。
「あれ…?」
突然卵が揺れだした。私達は何が生まれるのか楽しみになった。
「噂をすればなんとやらだね!ご主人様!」
「キシャーッ!」
『意外と早かったですね。』
「何が生まれるんだろう?わくわくするわ。」
口々にそう言うと、卵が割れ、中から見たことのないモンスターが誕生した。
「フーッ!」
オタマジャクシにもエイにも見える不思議なモンスターは元気いっぱいに飛び跳ね、私に甘えている。
「可愛い!よしよし…」
「フーッ♡」
『あ…あ…そんな…。まさか…。』
突然プルンデスの様子がおかしくなった。一体どうしたのか聞くとプルンデスは慌てて話し始めた。
『このモンスターは…不死の魔竜の幼体です!成長すると…世界を滅ぼすと言い伝えられています…。ここで幼き内に倒さなければ…』
「プルンデス!それはいくら何でも可哀想だよ〜!」
「キシャーッ!」
ドラキグルンとメタルがプルンデスを説得しようとしている。私もドラキグルン達と同意見だ。せっかく生まれてきた命なのに…。
「言い伝えが本当かどうかは育ててみたら分かるんじゃない?私が責任を取るから…ね?」
『ダメです!いくらアカネちゃんのお願いでも、それだけは聞けません!』
プルンデスは一歩も引こうとしない。私も引く気はない。
「ご主人様の言う通りだよ!もし、その言い伝えが間違ってたら…罪なき命を奪った事になるんだよ?」
「キシャーッ!」
ドラキグルンとメタルは私に味方している。プルンデスは生まれた不死の魔竜の方をちらりと見た。世界を滅ぼすという言い伝えとは程遠い姿で、私の腕の中ですやすやと眠っている。
「お願いプルンデス!この子の命を私に預けてほしいの!お願いよ!」
『…ハァ。仕方ないですね。アカネちゃん達がそこまで言うなら…賭けてみましょうか。』
プルンデスはそう言って座り込んだ。ホッとしたドラキグルンとメタルも座った。
「ありがとう…プルンデス。さて…生まれたこの子に名前をつけてあげなきゃ。鳴き声からとって…ふーちゃん!」
私は不死の魔竜にふーちゃんと名付け、頭を撫でた。ふーちゃんはすやすやと眠りこけている。
『さぁ…冷え込んできましたし、白湯でも飲んで寝ましょうか。』
プルンデスはそう言いながら皆に白湯を差し出した。
「ボク…ホットミルクがよかったな…」
「キシャーッ…。」
『贅沢言わないでください。無限に水が飲めるだけでもありがたい事なんですよ?』
私は白湯をゴクリと飲み、ゆったりと目を瞑った。




