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ダルセリア

兵士に連れられてお城へやって来た私達は応接室の椅子に座っていた。


「アークライン王子はともかくゼノニスまで私達を呼ぶなんて…何かあるのかしら…。」


不安な気持ちの私をプルンデスは心配そうに見ている。


「やぁ。来てくれてありがとう。」


そう言いながらアークラインと銀髪の見知らぬ男が応接室へ入ってきた。


「お初にお目にかかります…いえ、どうもこんにちは。俺の名前はゼノニスと言います。どうやら俺は皆様に迷惑をかけたと…兄上から伺っています。」


「…キャラ変わりすぎだよ〜!?」


キグルンが思わずツッコんだ。そこでアークラインが口を開き…語った。


「僕の弟がおかしかったのは…あの魔剣ダルセリアという禍々しい剣が原因でした。弟の身体と意識の主導権はあの剣が握っており、弟を利用してモンスターや精霊を無差別に狩り…力を得ていたようなのです。」


「西の国から来た商人が売っていた白く輝く剣…それがまさか魔剣だったとは気づかず俺は買ってしまい…愚かなことを繰り返していたなんて知った時、俺は…俺は…。」


俯くゼノニスをアークラインは慰めながら私達に話した。


「今は剣を我が国の研究機関に預けて解析している。しばらくすれば、解明できるかもしれな…」


突然城が大きく揺れ、慌てた兵士が応接室に勢い良く入ってきた。


「アークライン様!ゼノニス様!大変です!カロオ様が解析中の剣を盗み、城の中で暴れています!」


「何だって!?」


ゼノニスにカロオとは誰か尋ねると、シャルカール王国の次期国王になる第1王子だという。


「皆様!この城はもう危険です!すぐに避難してください!私達は兄を止めます!」


アークラインはそう言ってゼノニスと共に応接室を出ていった。兵士は私達に頭を下げてきた。


「お客様…お願いがあります。どうか…私達に力を貸してください!実はアークライン様は知恵はあるのですが…あまり腕っぷしは強くないんです。ゼノニス様も本当は対して強くなく…。」


兵士がもごもごと申し訳無さそうに言うが、私は頷き、兵士に教えてもらった場所へ急いだ。


「…ご主人様!言われた場所はここだよ!」


キグルンはそういって玉座の間の扉を思いっきり開けた。すると、倒れた王子2人と魔剣ダルセリアを持ったカロオが立っていた。


「ククク…遅かったではないか。我を待たせるなど礼儀がなっておらぬなぁ?それに…我の本体がこの剣だと気づいたようだな?」


カロオは…いや、ダルセリアはニヤニヤしながらこちらを見ている。


「我が前に利用していたこの男と…我の邪魔をしていたこの男…そして、今のこの身体…これらの力を全て吸い取ってやったわ。さすが王族と言ったところか。力がみるみる溢れてくるぞ。モンスターと精霊以外の力も悪くはないものだなぁ。」


ダルセリアは笑いながら魔剣をこちらに向けた。


「あとはその下級精霊を吸収すれば、我は本当の姿になる。さぁ…我によこすのだ!」


ダルセリアは素早い動きで斬り掛かってきたが、私も負けじと剣を取り出し、一撃を防いだ。


「前にも言ったけど…あんたなんかに友達を渡すわけにはいかないね!」


さらに猛攻をしかけてくるダルセリアを防ぎながら私は叫んだ。


「貴方はここで倒す!これ以上友達や罪の無い精霊達を吸収させない!」


私がそう言った瞬間、キグルン達が走ってきた。


「プルンデス!メタル!ボク達もご主人様に加勢するよ〜!」


『もちろん!アカネちゃんと…仲間の精霊の為にね!』


「キシャーッ!」


ダルセリアは高笑いしながら素早く一歩引いてきた。


「ククク…!飛んで火に入る夏の虫とはまさにこの事だな。まとめて吸収してやろう!」


ダルセリアは左手を構えた。あの構えは間違いなくデスタッチの構えだった。ダルセリアは勢い良く距離を詰めようとしてきた。


「デスタッチ!」


「そうはさせない!パペットパンチ!」


キグルンがダルセリアのスネを素早くぶん殴る。しかしダルセリアは止まる気配が無い。


「無駄だ!我は前の反省を活かしてあらかじめ防御魔法を掛けておいたのだ!ちょっとやそっとの攻撃ではまともにダメージなど受けんぞ?」


「何だと!?ボクの着ぐるみはドラゴンと同等のパワーのハズ…あっ!しまった!今のボクは【ステージⅠ】のキグルン…!そこそこ硬いだけだった!」


キグルンは焦っていたが、今度はメタルがダルセリアに攻撃を仕掛けた。


「キシャーッ!」


まるでドリルのように回転しながらダルセリアの身体に突撃するメタル。


「無駄だと言っているだろう?我の防御魔法は中級!その程度の攻撃では痛くも痒くも無いわ!バカな奴らだな!さて…力を頂こうか…ん?」


メタルの回転スピードがどんどん早くなり、ガリガリという音をたてながらダルセリアの防御魔法を貫いてゆく。


「何だと!?何故…我の防御魔法で防げぬ!?たかが【ステージⅡ】のモンスターのクセに…!ぐわぁぁぁぁ!」


ダルセリアは体制を崩して膝をついた。


「おかしい…何故…はっ!さてはそのドラゴンはメカンドラだな!?メカンドラの回転攻撃は鋼鉄の鎧すらも貫くと言うが…まさか本当だったとは…!」


メタルは休ませまいともう一度素早い回転攻撃をダルセリアに向けて放った。しかし、ダルセリアはニヤリと笑っていた。


「同じ手にはかからぬ!デスタッチ!」


なんと回転するメタルを左手で掴み、力をどんどん吸い取っていく。メタルは苦しみながらもがくが脱出できない。そして途中で投げ捨てられた。


「キュウゥ…」


そして、鉄くずのような姿のモンスターになってしまった。


『ガラクタ…【ステージⅠ】のモンスターです…。メタルは力を吸われてキグルンと同じくクラスダウンしてしまったようですね…。』


「いやだぁ!メタル!」


キグルンがメタルの方へ向かって走ってきた。そしてメタルを抱きしめている。


「キュ…キュウ…。」


メタルは力無く鳴き声をあげている。そして不気味に笑っているダルセリアはこちらに向かって叫んだ。


「時は来た!まさか【ステージⅡ】のモンスターだけでエネルギーが完全に回復するとは!これで我の野望である本当の姿へ戻ることができるぞ!ククク…アーハッハッハ!」


不気味に笑うダルセリアの身体から紫の霧が吹き出ている。そしてダルセリアを包み込み、どんどん大きくなっていく。そして霧が晴れた時…私達の眼の前には…


「グルルル…我が名は破壊竜ダルセリア…。どうだ?これこそが我の本当の姿だ。」


禍々しい姿の巨大な黒いドラゴンが佇んでいた。

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