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城下町

シャルカール王国の城下町を歩いている私達。しかし不思議な事にモンスターを見ても、町の人達は何も反応しない。


「ねぇねぇご主人様。どうして町の人達はボクとメタルを見ても反応しないのかな?それによく見たら…町中でモンスターが歩いてるし。」


『ふむ…あの人に聞いてみましょう。あの〜…すみません。』


プルンデスはベンチに腰掛けていた男性に声を掛けた。


「はい?何でしょうか?…っ!?」


男性はプルンデスを見た瞬間、硬直してしまった。どうやらプルンデスの美しさに見惚れているようだ。


『どうして町の中にモンスターが居るのでしょうか?私に教えていただけませんか?』


「あっ…えっと…きょ…去年からモンスターを仲間にする者が現れた為に世界中の国が最近新たな決まりを作ったのです。”テイムされたモンスターは国でも飼ってよい”と。」


男性はドキドキしながらそう言ってプルンデスの腕を握った。


「あの…良かったらこれから一緒に僕とデートでも…」


『教えてくれてありがとうございます。ですがデートはできません。友達がそこで待ってますので。さようなら。』


プルンデスは淡々と男性の誘いを断り、私の隣に戻ってきた。


『さっ。アカネちゃん!理由も分かったことですし…美味しい物でも食べに行きましょう!』


「え…えぇ。そうね。」


男性の方をチラリと見ると、フラレたショックで真っ白に燃え尽きていた。心の中で謝り、私達は歩き出した。するとキグルンが話しかけてきた。


「ご主人様!ボク達モンスターが大手を振って歩けるなんて夢みたいだよ!今までモンスターという存在は人間から忌み嫌われ、駆除されるだけの運命だったんだもの!」


キグルンはそう言いながらルンルンと歩いている。だからキグルンと最初に出会った時…キグルンは追い剥ぎをしていたのかな…と思いつつも、私達は大通りの方へ歩いていくのだった。


一方その頃…シャルカール城にて…


「兄上…我が処刑するために捕らえたあの者をを開放するとは…どういう事だ?」


「弟よ…貴方は己の自業自得で罪の無い人を処刑をしようとする…もっと王族の自覚を持ってください!貴方は元々そんな人では無かったハズです!」


ゼノニスに問い詰められたアークラインは強く言い返す。


「その剣を手にしてから貴方はおかしくなっている…!すぐに手放してください!」


アークラインはゼノニスの手から魔剣ダルセリアを奪い取った。すると突然ゼノニスは倒れてしまった。


「ゼノニス…?どうしたのですか…?」


「う…うぅ…。あれ?俺は一体?確か…西の国の商人から買った剣を手にしてから…それから…ダメだ…何も覚えていない…。」


ゼノニスはアークラインの手元の魔剣ダルセリアに気がついた。


「兄上!それを早く捨ててくれ!」


ゼノニスがそう言うと、素早くアークラインは手から魔剣ダルセリアを投げ捨てた。


「ゼノニス!もとに戻ったのですね!…それにしてもこの剣は一体何なんですか…?」


「兄上…それが俺にも分からないんだ。1つ言えることは…それは危険すぎるって事だけ…。」


2人は魔剣ダルセリアを見つめ、父であるシャルカール国王に相談することにした。…その現場を第1王子が見ていた事に気づかなかった。


一方その頃…アカネ達は…


「ん〜!美味し〜!」


『冷たくて甘くて…お口の中が幸せです!』


「ホント、美味しいね!ご主人様!」


「キシャーッ!」


私達はソフトクリームを食べていた。きっかけは突然冷たいものが食べたくなったからだ。私はバニラで、プルンデスはソーダ…キグルンとメタルはストロベリーを二人で1つ味わっていた。


「それにしても…大通りは当たり前だけど賑わってるわね。」


私はそう言って辺りを見渡した。モンスターを連れてる人はそれなりにいるようだった。


『ぺろぺろ…あ、クリームが無くなってしまいました。もう1つ食べたいのですが…』


プルンデスはそう言いながら瞳を潤わせてこちらを見つめてくる。…絶対買わないからね。そう思いながらソフトクリームを食べていると、兵士が走ってやって来た。


「アークライン様のお客様!アークライン様とゼノニス様がお呼びです!お城までついてきてください!」


「わかったわ。案内して。」


ゼノニスの名を聞いて不安になった気持ちを抑えつつ、私達は兵士の後ろをついていった。

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