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甘くて不味い私の日常  作者: 中村ぽっぽ
3/9

変な客

23時と言えど、コンビニは眠らない。

入店を告げる電子音に苛立ちを覚えながらも「いらっしゃいませ」を言える私、偉いぞ。


心にもない「いらっしゃいませー」を連発しながら、商品を並べる、レジ対応、並べる、レジ、の繰り返し。


『雪見さんは仕事が雑だね。もっとキレイに並べようよ。ほら、こうやって。商品を魅せる意識というかさ』


つらつらと喋る店長のドヤ顔が忘れられない。

商品の陳列が汚いと指摘を受けたのは、勤務初日のこと。

やたら長い説明を受けて習得したこの技術は、私の得意分野だ。


言い換えれば、これくらいしかできないのだが。


商品の陳列ついでに、賞味期限切れのものはカゴにまとめていく。

乱雑に商品をカゴに放り込んでいた手がぴたりと止まった。


“12月21日午後23時”と書かれた明太マヨおにぎりに目を奪われる。


ルイの大好物。

優しくカゴの中におにぎりを置く。他の商品に潰されないよう、あらゆる総菜の一番上に。

なぜかその行為に寂しさを覚えた。


彼に想いを馳せていると、おしりに感じる小さな振動。

お客さんに見えないように、棚の影に隠れてスマホを見る。

ルイの呟き通知だ。


急いで画面ロックを解除しアプリを開こうとするも、レジに並ぶお客さんの背中を無視することも出来なかった。


「あっ……いまお伺いします!」


“ 体調不良”その文字だけが私の視界に捉えた。

スマホはポケットへ滑り込ませ、足早にレジへと向かう。



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