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甘くて不味い私の日常  作者: 中村ぽっぽ
2/9

とにかくこいつ嫌い

「遅くない?」


店に到着後、開口一番目に入ったのは、ふてぶてしい態度の店長だった。

言われたその言葉に「おはようございます」と答えになってない挨拶で返す。


面接の時の優しそうなあの店長は3日目にして居なくなった。


現在は22時58分。

シフトインは23時だ。


文句を言われる筋合いなどない。


まだ何かいいたげな店長の視線から逃れるように、そそくさとバックヤードへ向かう。

これでタイムカード切れなかったらそれこそシャレにならん。


スタッフオンリーと書かれた扉をあけ、すぐに閉める。


扉の向こうからわざとらしい大きな咳払いが聞こえた。



ロッカーに荷物を押し込み、制服に腕を通す。

鏡の前で軽く髪を整えて、即座にタイムカードを押した。

23時ぴったりだ。


いざ参る!



右のおしりのポケットにスマホを滑り込ませ、とんとん、と叩く。じんわりスマホの温かい熱が広がり、自然と画面の彼を思い浮かべた。頬が緩む。



よし、今日も頑張ろう!


元来た扉を開け、突き刺さった視線に気づかないフリをして、颯爽と業務にとりかかる。

3日目にしてこれからワンオペ。

簡単に店内を見回すと、商品の陳列や、ホットスナックの廃棄チェックなど、まだまだやることがありそうだった。


「……雪見さん」


「はい」


案の定掛けられた声に、返事をする。


なんだよ?遅れてねぇぞ。

文句あんのか?


ドラマみたいなセリフが脳裏をよぎるも、そんなことは言いません。言ったこともありません。


そんな脳内コントを店長は覗いたのか、呆れたような表情で


「お疲れ様でした」


たった一言告げ、消えていった。





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