警察
ふらつきながら警察へ到着し、汗ばむ額を拭った。
中へ入ると、人の好さそうな警察官が、「今日はどうされました?」と声をかけてくれた。
私は一瞬考えて、ゆっくりと話し出すと尋常ではない話し方に驚いたのか、奥の部屋に通してくれ、座ってくださいと椅子を引かれた。
2人組の警察官がきて名乗ってくれたが、すっかり頭に入っていない。
今にもあふれ出そうな涙をこらえながら、言葉を選ぶように話し出した。
「何がありましたか?」
「…、行政の方に言われてきました。」
「行政には何を相談されていましたか?」
「…、夫からの暴力と罵声と脅しと…、私だけならと我慢できたんです。でも、子供たちにもしていて…。もう、一緒にいては行けない、警察へと行ってくださいと、言われたとおりにしてくださいと…。何も考えられなくて、言われるまま、こちらへきました…。」
「ご主人のことを詳しく聞かせてください。」
「はい…、どこで怒るかわからないんです。殴られもしましたが、殴る真似もしてきます。私の顔の目の前で止めます。バカ女、キチガイ女、クソ女、もっと飯を出せ。子供の洋服なんか買わなくていい。相談しても、ゲームに夢中でゲームの邪魔をしたと、モノにあたり、私にあたり…。もう何も言えなくなりました。最初は、話し合いをしようと、会話を試みましたが、全くお酒を飲んでゲームばかりしていて、話になりません。そのうち、諦めました。でも小さい子供が三人いるんです。育てるのにお金がかかります。私だけならと、子供が大きくなるまでは我慢しよう決めていました。夫は毎晩PTAと帰りは深夜の12時を過ぎていました。何か言うと怒鳴るので、何も言いませんでした。でも…。」
涙が溢れた、止められない。声もしゃくり上がってきた。
「娘に、息子に暴力をしていたんです。私のいないところで。娘は、私が心配するからと、話すのを辞めていたと…、ある日娘の腕にあざを見つけたんです…。」
再び涙がこぼれてきた。
「桃ちゃん、これどうしたの?」と聞くと最初は、「何でもない」と。娘が着替えていた時に、肩にあざがありました。最初はいじめかと思ったんです。ちゃんと座ってお話ししようと向き合うと、パパにやられた…と。」
泣きじゃくりながら話していた。