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崩壊  作者: 林檎ドレッシング
2/7

電話

頭が真っ白になり、行政の言われたとおりにしか動けない。

目が覚めたのは、1時間後だった。咄嗟に携帯を取り電話していた。


それは、5年前から相談していたDV・虐待への相談窓口だった。いつもの担当の人が出て、安心した。

話を聞いてくれるだけでも安心する。


今の私の状態、その日、子供のおこずかいの話をしていると、突然怒鳴りだし持っていた剃刀を振り回し、その場にいた父にもその姿を見せ辞めないことだった。

父も慌てて止めに入り、しれっとした態度で、「どうしたんですか、お父さん」と言い放った。


父も「毎回あんなことをするのか、おかしいだろ。おまえだってそんなに震えて普通じゃないぞ!涙も震えも止まらないじゃないか」


父には、これまで12年間、耐えてきたこと。両親の目の前では、そうした姿を見せず、人のいないところで脅してくること、キチガイ女、クソ女と罵られてきたこと。子供が怖いと泣いても辞めないこと。

それでも私は、少しでもそうした態度は子供の教育によくないから、変わってほしいと話をしてきたこと。それでも、話は問題点から進まず、逆上して怒り怒鳴りちらし、顔面の前で寸止めされ殴るふりを毎回してくること。最初は寝ているのにいきなり起こされ殴られたこと、その後は誤って急に優しくなってくること。それでも、毎回同じことを繰り返すこと。話し合いにならないこと。


最終的には、子供たちへも同じことをし、娘には私のいないところで体中に傷を作り、幼い息子たちには一人づつ部屋へ読んで、長時間に渡り正座をさせ、頭から殴っていたこと。娘は、その度に罵られ自分はバカなんだと自傷行為を繰り返すようになったいたこと。息子たちは食事も喉が通らないようになったいたこと。私と子供たちは、夫が帰ってくるたびに、離れないように寄り添って寝たふりをしていたこと。

相談しても、ただ怒り狂うばかりで話し合いにならず、そのうち私はあきらめるようになっていた。

夫は小学校のPTA会長だった。毎晩、PTAの会合といって、毎晩午前様だった。


震えた声で、行政の人に一通り話すと、

「私の指示に従ってください。お母さん、これから、警察へ行って全て話してきてください。その後、警察の指示に従ってください。お母さん、あなたはもうこれ以上、頑張って一緒にいる必要ありません。あなたはよく頑張ってきました。でもこれ以上一緒にいたら、お母さんもお子さんも傷つくだけです。命の危険もあります。離れてください。」


既に、恐怖で一杯になった私の心は、言われたこと以外考える余地もなく、その通りに体が動いていた。

父に、言われたことを話すと、「それがいい」と言われ、警察へと向かって行った。




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