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第45話 俺達と大物狩り

「あ……あれ……ハァハァ……まさか……」

「《大物狩り》です、よね……」



 ドロシア嬢とカカ嬢がそう言うと、《大物狩り》は自分の短槍を地面に突き刺し、パチパチと手を横にした拍手をした。


 手も手袋をはめて肌が一切出ないようにしている。正体を隠すためか、なかなかの徹底ぶりだ。


 ……なんてな、本当は俺らの前に姿を現さず、遠距離から攻撃してきた方がより確実だったような気がするぜ? 

 付け入る隙はありそうだ。



「ご名答! 自らそう名乗ったわけではありませんが……世間で言う《大物狩り》はそう、私です。なので……おや?」

「く……そ……が!」



 さっきまでうつ伏せしてたリオが、自分の剣を支えにしながら弱々しく立ち上がった。

 足元はフラフラ、全身の血管は浮き出ており、汗も滝のように流している。無理をしているのは一目瞭然だ。



「おぇ……ぐぅぅ……。こ、このクソ野郎……ふ、ふざけやがって……ッ! ぬぅおおおおおおおおおおおおお!」

「り、リオっ……!」



 彼はそのまま剣を杖代わりにし、《大物狩り》の方へ、一歩また一歩と、少しずつ近づいていこうとする。

 ただ、その一歩はあまりにも小さい。



「おやおや《勇獅子》ことリオさん。噂に違わぬ勇猛さだ。背筋がゾクゾクしそうですよ……うそです、今はしないですが。しかし妙ですね、聞いた噂によると、一人の少年の人生を台無しにしてえらく落ち込んでいるとお聞きましたが……?」

「テメェには、関係ねぇ……よっ……クソがッ……!」

「ふーむ、それにしてもよく魔力の欠乏の苦しみに耐えながら動いてるものだ。……どれ」

「おわっ⁉︎」



 リオの持っていた白い剣が、彼の手元から消え去った。

 そしてその剣が次に現れたのは、《大物狩り》の手の中。

 

 出現した時といい、どうやら人や生き物を瞬時に移動できる能力やら宝具やらをヤツは所持しているようだ。


 普通に相手したらめちゃくちゃ面倒そうな力を持ってやがるな……。

 何らかの方法で魔力を欠乏させ、自身は自由自在に移動できる……なるほど、これにあと、ある程度のステータスさえあれば、AランクやSランクの上級者達が簡単に襲われてしまうのも無理ないだろう。


 ヤツは、リオから奪った剣をのんびりと眺め始めた。



「この剣は『ブレイブ』と言うのですか、いい名前だ。光属性の攻撃を極大強化(アップ)し、所有者の勇気に呼応して強くなっていく……と。なるほどなるほど」

「か、返しやがれッ……! オレのけん……っ!」

「イヤです」



 《大物狩り》はリオの『ブレイブ』という剣を、懐に仕舞い込むような動作を取った。

 加えて中でガサゴソしているため、なにか俺の『シューノ』に近いアイテム入れがあるのだろう。


 そのあとすぐに、ヤツは素早く地面に刺していた槍を手に取った。

 支えをなくした相手に、ああいう輩が取りそうな行動はだいたい予想がつく。……雰囲気に殺気がこもってるしな。


 俺は今にも倒れそうなリオの片足を引っ張り、あえて転ばさせることにした。



「危ないっ!」

「ごわっ⁉︎ ぶへっ!」

闇波(アンハ)ッ……と。おや、残念」



 リオが地面に倒れたのを見て、槍に魔力を纏わせながら何かしらの技の動作を行なっていた《大物狩り》は、それを途中でやめた。

 ちょっと手荒だったが、貸しひとつだなこれは。

 


「邪魔されましたか。しかし意外ですね、まさかあなたが《勇獅子》を庇うとは」



 意外……。

 なるほど、俺がリオを助けたことに対してそう言うってことは、俺がさっき言ってた少年本人だってことを知ってるな?

 

 ……まず、俺やロナの知り合いはこれを把握しているわけない。なぜなら他の誰にもこのことは言ってないからな。

 

 ギルド『リブラの天秤』の関係者という線も薄いか?

 不穏な動きをしている仲間をSランクの冒険者四人が見抜けないってのも考えにくいしな。


 とならば、まあ、妥当に考えて俺達の会話を盗み聞きしていたんだろう。

 そもそもコイツは、俺たちがそろそろ会話を終わろうとしたタイミングで出てきたんだ。いつからかは分からないが、それが一番有力か。



「し、知ってるのですか……か、彼とアタシたちのこと……⁉︎」

「おや、これは私としたことが口を滑らせてしまったようで。あちゃーって感じですね。とはいえ何をされたかまでは知りませんが……ま、この際ですしついでに言うとね、私、そこの帽子の少年には感謝しているんですよ」

「お、おれに? ど……いう……? うっ、おえー」

「この状況そのものが、あなたからのプレゼントみたいなものなんですよ! はははは!」



 《大物狩り》は大袈裟に両手を広げ、嬉しそうに指をワキワキと動かしながら語り始める。

 この余裕そうな仕草……おそらく俺が全然動けることはバレていないようだ。

 ふっふっふ、やっぱり超クールな俺は演技も優れているんだな。


 リオを紳士的に助けてやった時はまずいと思ったが、これはいいチャンスだ。


 相手が瞬時に移動できる方法を持つ犯罪者である以上、下手な行動をすると気を刺激させてしまい、厄介な暴れさせ方をさせてしまう恐れもあったため、今まで相手には何もせず隙をうかがっていたが……。

 

 俺について語ってる間にテキトーに相槌うって、なるべく情報を自分から喋らせつつ、良さそうなタイミングで俺と『互角』にし、その上で不意打ちをかましてやればいいさ。

 






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