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黎明のサンライト  作者: 陽月ウツキ
SANLIGHT OF DAWN
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第3話 過去を思い出しに

ご都合主義みたいになってしまいましたが、どうか読んで頂けるとありがたいです。

 ティンゼル、シアリィ、グレンメル、ウィルフィード、それからレイア達一行は大会議室へ向かい、長方形の机にティンゼルとレイアが、シアリィとウィルフィードが向かい合うように座り、グレンメルは国王の横に立っている。



「さて、早速本題に入るが、ウィルフィード団長。 初陣にもかかわらず、そなたの竜騎兵団は良くやってくれた」



 国王ティンゼルは頷きながら、初陣の竜騎兵団を賞賛する。



「お誉めに預かり、光栄です。 しかしながら、我々では全く歯が立たず、一層の鍛錬が必要だと感じたばかりです」



「まぁ、相手が悪かったもんね。 しょうがないよ」



 目を閉じ、悔やむ竜騎兵団の団長にシアリィは慰めの言葉を送る。そしてその言葉に反応したティンゼルは髭で見えぬ口を開く。



「そうだ、奴だ。 一体あれは何だ? 見た感じだと、飛竜種の様な気もするが……。 何かわかる奴はおるか」



 苦しい表情を見せて、何かを言おうとするウィルフィードの顔を見る。



「分かったことは一つだけですが、あの化け物を構成する物質は、剣や鎧と同じ金属でした」



 ウィルフィードの答えに国王の横にいるグレンメルも頷いて賛同する。



「そしてここからは、私の見解となりますが、金属で出来た生物など居ないのは周知の事実です。 ただ、三日前にアルヘオ大森林で発生した魔柱(まちゅう)と呼ばれる前例の無い現象。 おそらく金属で竜を形作り、それに魔力を吹き込んだ時に起きたのでは無いでしょうか?」



「それはその異形が人為的に作られた。 と言うことですか?」



「その通りです。 グレンメル様」



「仮にそうだとして、一体何の為だ?」



 国王の疑問にウィルフィードは少々苦しい表情を浮かべ、考えうる一つの理由を提唱する。



「我々ミレトス王国は竜を信仰し、竜との共存をしている世界的に見れば珍しい国です。 そんな国を良く思わない輩もそう少なくは無いはずです……」



「例えば……イオルコスとかか?」ティンゼルは視線を上にし、顎髭を摩る。



「ですが、それならば竜を形作る意味が理解しかねます。 竜を忌み嫌う集団ならば、竜を形作る必要は無いでしょう」



 グレンメルは続けてウィルフィードとは違う考えを示す。



「ただ純粋に作り上げた物の力量を測るために、魔柱の発生源から一番近いミレトスが狙われた。 では無いでしょうか?」



  不確定要素が多く、謎は深まるばかりだ。思案するために長い沈黙が訪れる。



 ティンゼルが持ち前の力強く、野獣の様な声で沈黙を破る。



「考えても駄目だ。 この件は、以降の森林調査で解明していこうではないか」



「そうですね」とグレンメルもウィルフィードも賛成する。



 ティンゼルが咳払いで場面切り替えをして、次の題の入ることを示すと、レイアの方を見る。



「次の題だが、辛くも退けた王国の危機。 それはこの少年レイアによる者だ。 改めて礼を言おう」



 ティンゼルだけでなく、全ての者の視線がレイアに集まる。



「レイアね。 私シアリィ。 よろしくねー」シアリィが手を振る。

「『竜の劔』竜騎兵団団長ウィルフィード・ゼラニウムだ。 君には助けられた。 礼を言うよ」



 調子良く「どうもー、どうもー」と言うレイアにティンゼルはいくつかの質問を開始する。



「さて、王国を助けてくれた。 それにはこの国の者誰しもが感謝しているだろう。 しかし、そなたの素性がよくわからない。 本当に味方なのか、それとも敵なのか。 見定めてもらう」



 国王が敵愾心を込めて言葉を作るだけで一気に険悪な雰囲気を帯びていく。



「そなたは家名が無いと言ったが、何処の国の者だ?」



「んー。 それもわからないっていうか、思い出せないんだ」



「思い出せない? 記憶喪失か?」



 ティンゼルはレイアを怪しむ目で見るが、レイアはそれに気づいていない。するとグレンメルは手を挙げて視線を集めたのを確認すると口を開く。



「僭越ながら、レイア殿が魔力警告により寝ている時に魔力を調べましたが、魔力による遠隔操作や、記憶をすり替えるなどといった事は認められませんでした。 純粋にレイア殿の魔力しか感じませんでした」



 黒と赤が入り混じる髪のつむじを見せて、レイアは心配そうな、苦しんでいるような、低いトーンで発した。



「正直、自分の名前も分からないんだ。 ……ただ、夢の中で『レイア』って、自分を呼んでる気がして……。 一応『レイア』と名乗ったんだ」



「では、本当に記憶喪失なのか? レイア、そなたがここへ来た経緯を教えてくれ」



 ティンゼルは目を丸め、顔を上げるレイアに見る。



「えーっと、朝起きたらなんか森にいて、デカイ音が聞こえたから向かったてみればここに来たって感じかな」



「それ以前の記憶は?」とグレンメル



「そっからが思い出せないんだよなー。 でも何かを任された? やるべき事が、ある気がする」



 レイアは首を往復して傾ける。

 ティンゼルはその言葉に険しい顔がより一層と険しくなる。そして、シアリィに気づかれずに一瞬視線を送る。 既視感。ティンゼルはそれを感じていた。そして、表情を戻し、考え込んでから言う。



「……レイア。 一つ、提案がある」



 レイアは「ん?」とその赤い目にティンゼルを映す。



「旅をしてみないか?」



「旅?」



「そうだ。 そなたの『忘れた使命』を探す旅だ」



「したいと思っているが、地形に詳しくない」



 国王は野蛮な笑みを浮かべると、ウィルフィードに親指を指す。



「?」



「ナビゲーターとして竜騎兵団の団長を連れて行け」



「ええぇ!?」



 ウィルフィードに限らずグレンメルまで度肝を抜く発言だ。

 グレンメルは反対する。



「国王様落ち着きください! そうしたら団長という立場はどうなるんです!?」



 必死の素振りで抗議するが、ティンゼルはあっさりとした口調で返す。



「ウィルフィードには悪いが、団長の座を降りてもらう。 そして今の副団長マルクスに団長を務めさせる」



「本気ですか!? ウィルフィード団長はそれで良いんですか!?」



 グレンメルはウィルフィードを見るとまんざらでも無い感じだった。次に国王はシアリィを見て、



「そして、シアリィも回復担当として連れて行くといい」



「え、私も?」と自分を指差す。



 当然、グレンメルは反対する。



「何を考えているんです!?」



 激憤するグレンメルに対し、「聞け」と返すと、



「儂はこの世界に人として生まれた以上、何か意味があると考えておる。 しかし、その意味は誰も教えてはくれない。 だからこそ、自分で見出すのだ。 それには、『過去』が必要だ。 そなたらの共通点は記憶が無い。 つまり『過去』の自分が居ないという事だ」



 ティンゼルは淡々と自らの人生観を語る。



「その過去を思い出すには、自分が居た世界を知る他無い。 だから儂はこの提案をしたのだ」



 グレンメルの反抗心は治まった訳では無いが、これ以上言っても無駄だという呆れた心と、国王の三人を想う気持ちも理解出来た。



 その国王をは三人を順々に見て、各々を表現を読み解く。 そして、真剣な眼差しをするレイアが最初に提案に対して返答する。



「頼もしい二人が来てくれるなら俺は大賛成だ」



 次にシアリィが口を開く。



「私も、行きたい。 私も私がよく、わからないから」



 そして最後のウィルフィードに注目が集まると、満を持して沈黙を破った。



「考えた末、同行すると決めました」



 ティンゼルは微笑み、それから声を上げて笑った。



「そうと決まれば、早速準備に取り掛かるか!」



小説を書くのって本当に難しい……。

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