プロローグ
記念すべきかどうかは分かりませんが、初投稿となります。見切り発車で描き始めましたが、完走はしたいと思う次第であります!よろしくお願いします。
あぁ。ここで死ぬんだな、と他人事のように感じた。走馬灯というものだろうか。
世界は静止し、ゆっくりと落ちていく体はどうすることも出来ない。最期の叫びを上げることも叶わず、自分が先程まで立っていた崖とそれに重なるように満月が眼に焼き付いている。
それが切り立った絶壁に隠れると同時に俺の生命はそこで途切れた。
……はずだった。
目が覚めると、目の前には女性がいた。
意識が途切れる直前に見た満月の様な髪色だった。顔も透き通るように美しく、凛としていた。
だが、明らかに俺と同じ人間ではなかった。
人間にはないものが彼女にはあった。両側頭部に一本ずつ、「角」が生えている。
「やあ、目が覚めたようだね。」
困惑した。角の生えた人間。魔族。幼い頃の記憶で、両親からは魔族とは意志の疎通など出来ず、暴虐の限りを尽くす、まさに悪魔のような存在だと教えられたからだ。
しかし、彼女の声は優しく、なによりその慈愛に満ちた微笑は人間味しか感じなかった。
「混乱するのも分かる。目が覚めたら目の前に角の生やした女がいるんだ。だが、これから君には一つ大事な事を言わなければならない。出来れば冷静に聞いておくれ。」
「君ももう人間ではない。アンデットだ。」
読んで頂きありがとうございます。
誤字脱字、おかしな点、直したほうが良いところなどは、教えて頂きたいです。