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5、え、どっちを?

 激しい光が膨れ上がろうとして、膨らんでいる最中に止まる。それが民家二つ先から、リナの目に写る。リナはこのまま進むかどうか迷うが、スキヤキを見ると、一度足が止まったものの再び動き出している。リナはスキヤキの後を追った。


 激しい音が響く。しかし、爆発も爆風も熱もない。

 ゴミ置き場に着いた時にわかったのは、服が、いや、身体が光っているエルフと、それを取り囲んでいる猫達がいる状況だった。


「早く助けないと! 」


 リナが叫ぶ声に、スキヤキがゆっくり突っ込む。


「え、どっちを? 」


「いやいや、エルフさんですよ! 」


 猫達が唸り始める。凄い数がいるので、周りを囲まれているスキヤキとリナにはかなりの圧迫感がある。


「猫とエルフならエルフの味方をするべきなのか? いい猫も悪いエルフもいるぞ? 」


「魔法を使う猫は化け猫です」


 エルフは猫への警戒態勢を崩さずに、スキヤキ達を警戒している。


「魔法を使う人間は化け人間って事か? リナ」


 そうリナに答えると、猫達とエルフに語り出す。


「事情を聞こうか、気に入った方に味方するぞ」



 エルフが細い剣を構えたまま話す。


「この地に悪魔が生まれたと神よりお告げがあった。その猫どもは魔力を不自然に増している。魔性の猫どもだ」


 エルフの言葉は神の代理人としての言葉であった。迷いなく、嘘のない言葉だった。


「この猫達が魔性の存在だと神様は言ったのかい? 」


「……何を言っている? 合唱魔法を使える野良猫だとでも言うのか? ありえない」


「魔力が不自然に大きいのが魔性だと言うなら、お前も魔性の存在だろ」


「おかしいぞ、お前……」


「この猫どもが何かするのか、何かしそうなのか、反論があるなら聞こうか」


 エルフは怒り出す。


「神のお告げなんだ。この地に悪魔が生まれたと」


 リナも口を挟む。


「この猫達は黒魔法を使いました、悪魔の手先でしょう」


 スキヤキは笑い出す。


「では、質問を変えよう。この猫達が悪魔でなかった時はどうするつもりなんだい? 」


「神に間違いはない」


 そう言い切ったエルフにあっという間にスキヤキが近付く。エルフは光の魔法を使いながら、剣をスキヤキに向けてジリジリ下がる。

 エルフが剣を振り上げた時、さらに足を踏み入れて、彼の剣の柄頭つかがしらを左手で抑え、右足で足元を払う。尻餅をつき、悔しそうな顔をするエルフにスキヤキが話す。


「賭けをしよう。猫が悪魔かどうかの。猫が悪魔なら俺は何でもしよう。お前の好きにしていいさ。だが、悪魔でなかった時は……他のエルフを連れて国へ帰れ」


「何を馬鹿な」


 スキヤキはぐるりと猫どもを見渡すと、猫ちゃん達は黒魔法を解いている。


「猫ちゃん達は賛成みたいだが? 」


「だいたいどうやって悪魔でないかわかるんだ! 」


 スキヤキがボソッと呟く。


「魔女狩りだな」


 スキヤキはエルフを蹴飛ばして距離を取ると、再度猫達に顔を向け、大きな声で尋ねる。


「これだけの数が集まってるんだ。何か理由があるんだろ? ニャー達には。それを調べれば自然とわかるさ」


 猫達は声を揃えてニャーと鳴く。その返事を聞いてまた顔をエルフに戻す。


「それとお前、名前は何て言う? 」


「アイラト」


「アイラトよ。先に攻撃しかけたのはお前か? それとも猫か? 」


 アイラトは返事がなかなか出て来ない。


「やはりアイラトが先に仕掛けたか……」


 スキヤキは猫達をじっくり監察する。それから口を開く。


「ニャー達は何かあるんだろ? でないとこんなに集まらないし。何かヒントでもある? 」


 そうすると、色んな声で猫達が叫ぶ。ただニャーニャーと歌っている。

 そして、そのなかでも魔力を強く放っていた猫二匹が空き地から路地へ戻って行く。そして路地の先で立ち止まる。


「アイラト、リナ、行くぞ。ご案内してくれるそうだ」


 ここから先は、アイラトが想像以上にへばっていて歩みが遅かったのを除けばスキヤキの予想していた場所に進んだ。道を下っていた先には、綺麗な庭園が突然現れて、寛いだ雰囲気の邸宅が庭園の奥にある。


「うわー、手入れが凄い」


 リナのピントのずれた感想にいかがなものかと思いつつ、スキヤキは庭の作りをよく見る。

 広大な大庭園ってわけではない。大貴族や王族が持っているモノとは違う。まあ、家二軒分の広さはあるが、日本の田舎ならある程度の広さだろうか。ただ芝生と周りを彩る花々、家の側にある巨石のバランスが美しい。そしてその庭の中央に白猫がいる。

 いや、白猫?

 近付くにつれ、白い獣は猫ではなく、白い豹のように見えてもくる。大きさがよく認識できない。小さいようにも大きいようにも感じる。


 アイラトが呟く。


「あれが親玉か……強すぎる」


 白い獣を見て、アイラトは足を止める。




「お前より強いだろうけど、それが悪魔だって証拠になるのかい? 」

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