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第9章

 ラメルは教会の礼拝堂の扉をそっと押して、隙間から覗き見た。

最前列の長椅子に、喪服姿の店長、マリア、そしてアデリアの姿があった。

3人とも少しうつむき加減になって、講壇に立つ牧師の話を聞いているようだった。

牧師は聖書の話をしているが、時折誰かの話を織り交ぜて話しているようだった。

ラメルは思わず躊躇してしまう。常連客のマダムに言われて勢いで教会に来てしまったが、何の事情も知らないまま、この場に入って行っていいものなのだろうかと。

教会や礼拝そのものは開かれている場とはいえ、礼拝堂にいるのも夫妻とアデリア、そして教会の関係者のみだ。


「行かねぇのかよ」

ぼそっと後ろからささやかれて、ラメルは肩をびくっと震わせた。

振り返ると、それはカミーユだった。

反射的にラメルについて来てしまったのだろうか。いつの間にかラメルに身を寄せるようにして、扉の隙間から礼拝堂を覗き見ている。


「でも、何の事情も分からないのにノコノコ入っていくわけには……」

「あれじゃね? あの、女将さんが抱えてるの。よく見えねぇけど、たぶん遺影だな。

 誰かの記念礼拝だろう」

カミーユが指差した方を見ると、マリアが確かに、何か四角い物を腕に抱きしめているのが見えた。

記念礼拝というのは、故人を覚えて行われる礼拝のことだ。異国の宗教では法要というものが行われるようで、恐らく似たようなものなのだと思われる。


すると、ラメルが少しだけ開けていたはずの扉が、中からぐっと開かれる。

そして、扉の影から女性が現れた。


「あの、よろしければお入りください。ブラウンさんのお知り合いの方ですよね?」

ふと見ると、オルガンの前に座っていた女性がいない。

つまり、ラメルたちを見かねたオルガン奏者がわざわざこちらに来て、声を掛けてくれたのだろう。

その声に気が付いたのか、3人が振り向いた。3人は、なぜここにいるという驚愕の表情をした。しかし、マリアの頬には涙が流れていて、それまで泣いていたことが分かる。


「ラメルちゃん、どうしてここに……」

「すみません、常連さんからここにいると聞いて……今日はご夫妻についていてと言われました……」


すると、アデリアがカミーユに向かって話す。

「なんでアンタもここに?」

「臨時休業だって知らなかった。たまたまコイツについて来ただけだ」


そこで、牧師が咳払いをしたことで、5人は我に返った。礼拝の途中だったのだ。

マリアが手招きをして、ラメルの隣に座るように促して来た。ここまで来たのなら、もう礼拝が終わるまで共にいるようにと割り切ったのかもしれない。ラメルが礼拝堂に入り、マリアの隣に掛けるのを見て、カミーユは場違いだと思ったのだろうか、礼拝堂には入ることはなく、静かに去って行った。

隣に座ったことで、マリアの抱えていたものが何だったのか、初めて分かった。カミーユの言った通り、それは遺影と思われる写真だった。小学生くらいだろうか、写真の女の子はこちらを向いて、はにかんだような表情をしている。牧師が説教の中で話していたのは、この女の子のことだろう。しかし、ラメルはその女の子の顔を、どこかで見たことがあるような気がした。


――そうだ、わたしだ……


間違いない、それは時々皆で繰り返し見ていた、孤児院の子どもたちのアルバムの中の、過去の自分にそっくりだった。

牧師の説教を聞いていると、どうもその女の子は店長とマリアの娘らしかった。

理由は分からないが、10年前に亡くなったことも、ラメルは説教の内容から推測できた。

なぜ、店長とマリアの娘が、過去の自分とよく似ているのか。しかも、10年前にこれくらいの年ならば自分と同年代ということだ。

常連客のマダムの言葉を思い起こす。10年前に起こったことをラメルは知らないのだと言った。話の雰囲気的に、それは病気や自然死ではない気がした。そして、どうしてラメルが雇われたか知らされていないのか、とマダムは言わなかったか。ラメルはもはや、説教が耳に入ってこなかった。

ふと顔を上げると、説教台の横に花が飾られていた。これが、ジャスミンが選んだ花なのだろうか。

白百合が含まれてはいたものの、それだけではない。ピンクやオレンジのバラが派手過ぎないように混ぜられているのが、ジャスミンらしいと思った。カスミソウも、その儚げな雰囲気で全体を上手く締めているように感じた。


 * * *


 礼拝が終わっても、夫妻は放心状態だった。何かを察したように、牧師とオルガン奏者は夫妻に声を掛けると、礼拝堂から出て行ってしまった。

すると、アデリアが颯爽と立ち上がって、ラメルに居直った。隣に座っているはずなのに、わざわざ立ち上がった長身のアデリアに、思わずラメルはビクついてしまう。

しかし、アデリアが何か話そうとする前に、マリアが口を開いた。


「アデリアちゃん。先に帰っていてもらえないかしら」

それは、いつも朗らかなマリアから聞いたことのないような、覇気のない声であった。


アデリアはなぜと強い視線をマリアに移したが、マリアはアデリアの方を向くことなく、写真を見つめて続けた。


「ラメルちゃんに、何があったのか、話しておきたいの」

普段の覇気を少し取り戻すような、どちらかというと決意のこもったような声だった。

今日はコック帽をかぶっていないせいか、いつもより大人しく見える店長も、黙って頷いた。マリアと同じく、礼拝が終わっても前を向いたまま、手も握り合わせたままだった。

アデリアはそんな2人を見て、仕方ないというように黙って礼拝堂を出て行った。

夫妻と共に残されたラメルは、戸惑ってしまった。

礼拝堂の長椅子に、店長、マリア、ラメルと掛けていたが、ふたりを見やっても、十字架を仰いでいるだけだった。


「今日、臨時休業にしたのは、娘が亡くなって10年経つから。

 命日の今日、記念礼拝をして貰うためだったの」

マリアがぼそぼそと話し出した。


「あのとき、わたしたちは店を出したばかりだった。物珍しさから来てくれるお客さまもいたけど、あの頃はちょうど人々の好奇心も落ち着いてしまったのか、なかなかお店が軌道に乗らなくて焦っていたわ」


マリアは、写真の中の娘を見つめた。


「サリー……娘はサリーというのだけど……本当にいい子だった。

 忙しいわたしたちをあの娘なりに気遣ってくれていたんだと思うわ。

 ひとりで何か遊びを見つけて、わたしたちを仕事に没頭させてくれた。

 でも、それがいけなかったって、この10年ずっと悔やんでいたの……」

マリアはそこから先、涙に声を詰まらせて話せなくなってしまった。

そして、店長が後を継ぐように話し始めた。


「仕事で一息つこうとしたとき、僕たちは気が付いた。

 サリーがどこにもいないってね。忘れられたように置かれた、スケッチブックにクレヨン、それだけが残されていた。街の人にも協力してもらって、やっと見つけた。

 まだ馬のいなかった厩舎に、あの娘は冷たく横たわっていた……」

マリアが堪えられなくなったように、むせび泣き始めた。

ラメルは、黙ってそれを聞いていた。

店長は、声を震わせながら続けた。


「娘は首を絞められたことが分かった。

 後ろから一瞬のうちに襲われて、抵抗する間もなく、いとも簡単に命を奪われてしまった。

 ラメルちゃんは小さかったから覚えていないだろうけど、そのときそういった不審死は多かった。ただ、僕たちは唯一の存在を失ってしまった。悪いのは犯人だろうけれども、僕たちは娘から目を放し続けていたことを、悔いても悔い切れなかった」

マリアのうめくような泣き声が、大きくなったように思えた。

ラメルは思わず、膝の上に載せていた両手を握りしめた。

常連客のマダムの言葉から覚悟していたものの、そんな無惨な死だとは思わなかったのだ。

店長の無言が続き、ラメルは思わず尋ねてしまった。


「それで、犯人……捕まったんですか」

店長は、しばらく間を置いて話し出した。しかし、ラメルはそれを聞いて戦慄することになった。


「いいや……でも、分かっているんだ。

 犯人は、盗賊ギルドの暗殺者だ」

思わず息を呑むラメルに気付いたのか気付かないのか、店長は続けた。


「あの頃、そういう事件が多かったのは盗賊ギルドのことがある。

 盗賊ギルドは当時、王国騎士団による摘発もあって勢力を弱めていたんだが、それに反発するように色んな人を手に掛けていた。特に当時の騎士団長が亡くなって、賞金稼ぎが殺されてからは盗賊の方が勢いを取り戻して行っていた。

 殺された人の中には、無惨にも切り刻まれるように殺された人や、娘のように声を発さないうちに殺された人もいた。行方不明になった人もいた。娘も、理由は分からないが、盗賊の一味によってやられたんだろうと騎士団の人が言っていた」

賞金稼ぎ、切り刻まれるように殺された……ラメルの脳裏には、クロウド・ドーランの新聞記事がよぎる。


「そう、僕たちには分からなかった。なぜ8歳の娘が殺されなければいけなかったのか。

 店の物は何も取られてはいやしなかった。強盗でもなんでもない。

 盗賊の仕業だろうと予測がついたところで、絞殺されたこと以外の何の痕跡も無い。

 だから犯人の特定もできず、僕たちは自分たちを責めることしかできなかった。

 僕たちは何も手をつけられなくなって、しばらく店を休業した。家の中に閉じこもって、ひたすら理由を考えていた。どうにかできなかったかを考えていたんだ」

店長はそこでふぅっと息をつくと、喉元に手を当てて、苦し気に話し出した。


「それだけじゃない。

 この僕が…料理人をしてきたこの僕が…味が分からなくなってしまった。

 味だけじゃない、食べ物や食材からも、何も感じなくなってしまったんだ。

 何よりも大切な存在で、自分の作る料理を一番食べさせてやりたくて、一番食べさせるのが喜びだった娘はもういないんだと。どこの誰か知らない奴に、理由もなく奪われてしまったんだと……」


マリアが再びすすり泣く声が聞こえた。

しかし、店長は少しだけ生気を取り戻したように話し出した。


「だけど、その時……アデリアには本当に助けられた。

 その時はまだ住み込みではなかったけど、営業していない店に毎日来て、泊まり込んで、僕たちの生活の助けをしてくれたり、ただ話を聞いてくれたりした。

 他人から見れば些細なことかもしれない。

 でも少なくとも僕たちには救いだった」

「アデリアちゃんは本当に助けてくれたわ。

 わたしたちが、サリーを追うかもしれないと思ったんでしょうね。

 それに、わたしたちのように、娘から目を放していたことを責めていたようだったから、罪滅ぼしのつもりだったのかもしれない。わたしたちが忙しくても、アデリアちゃんは常に娘のことを見ていてくれていたから……」


マリアが嗚咽を抑えながらも話し始めていた。途中、少し思い起こすように間を置いた。

しかし、後が続かないマリアの代わりをするように、再び店長が口を開く。


「本当は店も閉めて、アデリアには別の仕事を探すよう言い渡すつもりだった。

 僕たちも店を再開できる状態じゃなかったし、彼女も罪でここに縛り付けるわけにはいかないと思ったからね。でも……」


そこで、なぜか店長はフフッと笑い出した。


「アデリアが、僕たちに食事を用意してくれようとしたんだけど。

 ラメル君も知ってると思うけど、アデリアは料理ができなくてね。

 見かねた僕が手伝ったけど、結局失敗に終わった料理を3人で食べたんだ……でも、思い出したんだ、その時」


再び天を仰いで、店長は話し始める。


「料理人を目指した頃も、僕もなかなか思ったようにできなかったなぁとか。

 そもそも料理人を目指したのも、色んな国を食べ歩いたからだった。

 僕にとって食べることは喜びで、幸せなはずだった。それは今もそうだってね。食べることも、作ることも。こうやって人と食卓を囲むことも。

 結局それしか僕にはできない。

 だから、手を動かすことで、僕は忘れようとした。そこからすぐ、店を再開したよ」


周りの人たちは心配したけど、と、店長は涙で潤んだ瞳をごまかすように笑った。


「それでも、色んな人に励まされ続けた。励ますだけじゃない、皆待っていてくれたし、無理しないように言ってくれる人もいた。

 取引していた農家さんやパン屋さん、常連になりかけていた人たちや、街の人たちも。

 それでも僕もマリアも、アデリアもやっていこうと思ったんだ。

 10年前、ハピサンの街は、街道の宿場町としてはまだまだ発展途上の街だった。

 そこにできたのが、主に冒険者をターゲットとしたうちの店だった。僕らが店を頑張ることは、街のためにもなるし、恩返しになると思って、ただがむしゃらにやって行ったんだ」


今まで無休で店をやってきたのは、店を軌道に乗せるためにがむしゃらだったと、店長夫妻は言っていた。しかし、真実の理由をラメルは今日ようやく知った気がした。

きっと、お嬢さんを失ったことを、お嬢さんへの後悔を少しでも忙しさで忘れたかったのかもしれない。それか、せめて店の経営を通じて街の発展に貢献することで、悲しみに寄り添ってくれた人たちに、報いるためだったのかもしれないと。


「アデリアちゃんには、言ってしまったの。サリーの部屋を使って欲しいって。」

アデリアの優しさは、なんだか分かるような気がした。マリアのように柔和ではないかもしれないが、善意が無ければできないような行動が醸し出す優しさだ。当初は縛り付けておけないと思いつつも、その優しさに触れて、手放せなくなったのだろう。

そんな夫妻の気持ちの行き場のない苦しさを思った。故人の部屋は、そのまま残しておく人が多いと聞いたことがあるが、夫妻はあえて振り切りたかったのだろうか。その一方で、今店で飼われている馬の名前はサリーだということにも、ラメルは気付いていた。


「それでも、辞めないで良かったわ」

泣き崩れていたマリアだったが、落ち着いたのか話し始めた。


「そうじゃないと、ラメルちゃんに会えなかったもの。

 ラメルちゃんも、セレンちゃんも、娘と同じ年だわ。それに……」

マリアは言いかけて、やっとラメルの方を向いた。


「ラメルちゃん、覚えてるかしら。

わたしたち、ラメルちゃんに初めて会ったとき、本当に驚いたわ」

店長が隣で頷いている。ラメルは言われてピンときたものがあった。思わず返答する。


「ええ……お二人とも……お会いするのは初めてなのに、なんだか物凄く驚かれましたね」


それは、ラメルの面接試験のときだった。

エミリアとブランシュに連れられて、面接会場となったミーティングルームに足を踏み入れたとき、思わずシンとした空気が流れたような気がしたのだった。

ラメルはその日、生まれて初めての就職面接とあって、これまでにない程緊張していた。しかし、その空気に何か違和感があり、思わず俯いていた顔を上げると、驚くようにラメルを見つめる夫妻の表情があったのだ。しかし、しばらくすると、夫妻は我に返ったように面接を始め、緊張を自覚していたラメルも、あれは気のせいだったのだと思うようになった。


「本当に驚いたの。娘の面影が……あるような気がして……」

夫妻が写真に目を落とすのと同時に、ラメルも写真を見つめた。

そうだ、小さいころの自分を思い起こすということは、毎朝鏡で見つめている自分の今の顔にだって似ているということになる。思わずラメルは、自分の頬に手をやる。


「娘が生きていたら、こんな女の子になっていたんでしょう。いけないことかもしれないけれど、そう思ってしまった。夫もね。そう考えると愛おしくて仕方なかった。娘を失ったわたしたちと、親御さんを亡くしたラメルちゃんだったから、より運命を感じてしまったのかもしれないわ。

 でも、娘を知っていたアデリアちゃんはもちろんだけど、セレンちゃんも何か気付いていたみたいね。わたしたち夫婦が、あなたに特別な思いを持っていることを」

ラメルは頷いていた。トレークへ配達に行く道中、セレンが言っていた。店長は努めて平等に振舞ったのだろうか、しかし、マリアが何かとラメルを気遣うことにセレンは何か特別なものを感じたのだろうし、理由を知っていたアデリアも、それを止めることはできず、倣う形になったのだろう。


 ラメルは、荷物袋の中から壷を取り出した。先ほどジャスミンから貰った茶葉入りのポットである。それをマリアに差し出した。


「あら、カモミールティーね。良い香りね。いいの、いただいてしまって?」

ラメルが頷くと、マリアは両手でそれを優しく包み込むように受け取った。


「ラメルちゃん、ごめんなさいね。

 きっと、お花屋さんから聞いて心配になって来てくれたのね」

もともとは商品だったそれには、勿論クロシェット花店のタグがついていた。

ポットの蓋の取手に付けられたそれに、マリアも気が付いたようだ。


「いえ、ジャスミン姉さんは顧客情報は言えないと言って、店に戻るよう言っただけなんです」

本当は注文内容を一部聞いていたのだが、ジャスミンの名誉のために黙っていた。


「そう。

 カルムの……ピエール村長さんだったかしら。開店記念のお花を見て素敵だなと思っていたの。

 オリビアちゃんから、ラメルちゃんの幼馴染の方が経営されてるお店だと聞いて。

 今日のお花を頼んだとき、イメージについて尋ねる返事が来て……わたし、思わず書いてしまったの。あなたも知っているラメルさんのイメージで作ってくださいって……」

それを知っていたのか、店長も頷いて言った。


「今思えば、そう書くべきじゃなかった。すまなかった。

 お花屋さんの()だって何事だと思っただろう」

いえ…とラメルは答えながら納得すると同時に、ジャスミンを思った。

きつい態度と言葉を投げ掛けながらも、心配してくれていたのだ。彼女の言う、並行世界で幸せになって欲しいと思ってる、とはそういうことだろう。彼女らしいとは思ったが、なかなか人にできることではない。


「せっかくラメルちゃんが貰ったものなんだから、良かったらこれから一緒にいただかない?」

そう言って席を立ちあがったマリアに、ラメルは少し安堵を覚えた。


「はい、それではお言葉に甘えて」

マリアはラメルに微笑むと、椅子から立ち上がり言った。


「カモミールの花言葉は、"逆境に耐える"なの。

 きっと、お花屋さんもラメルちゃんにそう祈ってくれているのね」


その言葉とマリアの笑顔を噛みしめて、ラメルは夫妻と共に礼拝堂を出た。

夫妻が牧師に挨拶をするのを待ち、戻ってくる彼らの表情に、安堵を覚えてしまった。


――勘違いしちゃ、いけないのかもしれない……

  わたしはサリーさんじゃないんだから……


夫妻が自分に向ける微笑みを、自分からも返そうとして、ラメルは躊躇った。


――でも、遺されたわたしたちは、生きていかないといけない。それなら……


開き直ったように、ラメルは夫妻に駆け寄った。そこから、店に向かって3人歩いて行く。



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