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雑魚は後ろで震えてろよ

五話目


襲撃者は男一人に女二人。

その中で唯一の男は見た目は三十代くらいだろうか?

容姿は金髪碧眼、白い肌、少しタレ目の伊達男であった。

その綺麗な顔をボコボコにしてやると心にきめた。

そしてどっちかの女が俺を蹴りつけやがった。

後は強化役と剣山役。

どいつがどの役割かわからない。

ひょっとしたら俺みたいに一人で何役もやっている可能性もある。

もしそうだったら更に面倒な事になる。

他にも何か隠し玉があるかもしれない。


……面倒臭い。

あぁ、……もういいや。とりあえず全員ボコれば済む話だった。


土台、脳筋の俺にうだうだ考えながら戦うなんて無理なのだ。


直感勝負!


意を決して右足で地面を蹴り、初めの一歩で一気に距離を縮める。


左足が僅かに地面に埋まるほどの勢いで踏み込む。


右の正拳突き。


狙うは男の顔面。


綺麗な顔しやがって。


踏み込みの勢いを殺さない様に左足で壁を作り、腰を捻って全ての勢いを右の拳に伝える。


男は反応出来ていない。


先ずは一人目。


そう思ったが横から邪魔が入った。


女二人が同時に脚をを出してきた。


一人は俺の右拳を左に逸らそうと、もう一人は俺の左足を横から押すようにして蹴り込み、体勢を崩しにきた。


僅かに右の拳が左に逸れる。


そして男の右肩に着弾した。


だがそれでも骨が砕けた手応え。


ボキンともゴキンともつかない音が肉越しに響いた。


この感触は多分今すぐ治療しないと元には戻らないはず。


そして拳の勢いに押された男は錐揉みする様に後ろへ吹っ飛び、地面と衝突した。


「ギ……ガ……アッ……」


男が殆ど声にならない悲鳴をあげている。

俺の攻撃に全く反応出来なかったということは、おそらく奴が強化役か遠距離攻撃役。

ひょっとしたら両方かもしれない。

そして女達は二人とも近接戦闘ができる様だ。

状況判断もできるらしい。

体格差、筋力差を加味して手ではなく脚を使って攻撃を逸らしにきた事は評価できる。

まぁ、どうでもいい。

全員ボコればそれで終いだ。


「このっ!」


左側から女の一撃。


褐色の脚が俺の頭に向かってくる。


「ふっ!」


右側からも女の一撃。


褐色の脚が俺の足に向かってくる。


コンビネーションが得意らしい。


どうするか考えるまでも無く、自然と体が動いていた。


中腰になって頭上の脚をやり過ごす。


そして右側の女のローキックめがけて思いっきり踏みつける。


ゴキン。


骨が折れた感触あり。


そして女は俺に踏みつけられて逃げられない。


俺はニヤリと笑った。


外套に包まれた女はどんな顔をしているだろうか。


「メル!」


まぁ、そう簡単には決まらないよな。


とっさに踏みつけていた女を持ち上げて、もう一人の女に投げつける。


「なっ⁈」


更に蹴りを入れようとしていた女は、もう一人の女を抱きとめようとして無理な体勢になった。


「これで二人目」


右足で強く一歩踏み込むと、ズダンッ、と破裂する様な音が鳴った。


テコンドーのティッチャギ、所謂後ろ押し蹴り。


左足がメルと呼ばれた女の背中に吸い込まれていく。


「くっ!」


奥にいる女が何事が声を上げた。


当たれば即死は免れないであろう一撃があと少しで触れる時、突風と共に女達が横に弾け飛んだ。


避けられた。


何処ぞの国で悪徳宮廷魔術師が見せた、風魔法使いならではの妙技。


自身に風を当てる事による変則的な移動。


思わず舌打ちが零れた。


そして背筋がぞくりとする独特な感覚。


足元が光りを放っている。


やっべぇ。


「くたばれ!」


メルと呼ばれた女が叫んだ。


そうか、あいつが土魔法使いか。


そしてもう一人が風魔法使い。


という事は男が水か?


そんな思考をよそに光っている地面から逃れる様に横に跳ぶ。


案の定巨大な剣山が飛び出してきた。


着地し女達を探す間も無く更に地面が光る。


三度ほど剣山から飛び退く様に移動すると、突然攻撃が止んだ。


魔力切れか?


辺りを見回す。


女達はいない。


上を見上げる。


女達は負傷した男を肩に担いで、宙に浮いていた。


風の力を使っているのだろう、随分と荒っぽい風が吹いている。


そして女に担がれている男を見遣ると、薄っすら白く光っていた。


……誰か治療も出来るのか。……厄介だな。……どいつだ?


俺の治癒と比べると流石にスピードは遅いが、それでも光魔法を使われるのは厄介だ。


そんな事を考えていると、女がこちらに向かって声を上げた。


「ここは引かせてもらう」


……態々律儀な事で。だがよ……。


「……テメェらから仕掛けてきたんだろうが」


「もっとすんなりと殺せるはずだったんだがな。負傷したまま戦う様な馬鹿な真似はしないさ」


「そーかい。次、会ったら覚悟しておけよ。ぶっ殺してやる」


俺の煙草と一張羅ボロボロにしやがって。


一際強く風が吹いた。


そして一瞬だけ、フードの中身が見えた。


犬耳をつけた女は挑戦的な目で此方を睨み、不敵な笑みを浮かべていた。


「やれるものならばやってみろ」


「上等だ」


負けじと不敵な笑みを浮かべてやった。


「……テメェ、ぶっ殺してやる」


死にそうな顔をして、此方を睨みつけながら男が何かほざいてやがる。


「雑魚は後ろで震えてろよ」


男の目つきが更に凶悪な物になった。


「絶対ぶっ殺してやる!」


「馬鹿が。いちいち挑発に乗るな」


最後に名前を知らない女が男を罵倒した後、暴風に乗って襲撃者は立ち去っていった。


なんだったんだクソ。あー煙草吸いてぇ。


一つ溜息を吐いて歩き出す。


さて、閣下を探さねぇとなー。……やだなー。……怒ってなきゃいいけど。……兄貴に告げ口されたらどうしよう。


いつもならば溜息がわりに紫煙を吐くのだが煙草が無い。

仕方無しに本物の溜息を零した。





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