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煙草と魔法と格闘技〜固茹で卵気取りの転生譚〜  作者: ラーク
三章 太陽堕としと過去のしがらみ
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六日目 深夜

六日目、深夜


「うぃー、酔っぱらっちまったよー」


「まったく……、何やってんだか」


コツコツ、ではなくズルズルと足音に類する物音を立てて道路を歩く。

フラフラとした覚束ない足取りの俺を、ロイドが傍で腕を持って連行している。


「いや!俺ぁ酔ってないですよ!」


「はいはい、酔ってない酔ってない」


角を曲がったところで、ロイドが俺を一瞬で解毒した。

あの後結局敵を騙すならば本気でやらねばと、調子に乗っていつも以上に飲んでしまった。

だが此処までは段取り通り。


「付いてきてるか?」


「来てます。二手に別れました」


予想通り。

酒場の中でも追跡者は何も行動を起こす事はなかった。

あくまで監視が目的なのか、若しくは酔っ払って油断した所を狙っているのか。

どうやら目的は後者だった様だ。

おそらく人気の無い場所で仕掛けて来るつもりなのだろう。


「三人中二人が前に、一人が後ろです。次の角で俺たちも二手に別れますか?」


「そうだなぁ、まぁ各個撃破でも大丈夫か。あまり派手にはやるなよ?」


「了解です」


ロイドにズルズルと引きずられながら角を曲がる。

そして角を曲がってすぐに、俺は建物の間のゴミの陰に隠れた。

俺を引きずっていたロイドは一瞬で先行し、先回りしているであろう二人を相手にしに行った。

相変わらず荒事となると頼もしい。

そんな感想を抱いた直後、追跡者が歩いて来た。

暗い路地、物陰に隠れて息を潜める。


追跡者が通り過ぎた所を見計らって背後から急襲してやる。


後三歩。


二歩。


一歩。


止まった。


……すっげーやな予感。


一瞬で辺りが赤く染まった。


やっぱりぃ!


辺りが一瞬で赤く染まったと同時に、周囲の気温がグンと上がる。


素肌を晒している顔がひりつく。


多分、火炎放射だ。


やっべぇなぁクソ!


火球を一つ投げつけて相殺し、慌てて物陰から、殆ど転がるように走り出た。


襲撃者とすれ違って三歩走る。


三歩目で振り返りざまに火球を投擲。


相手も同じく振り返りざまに火炎放射。


威力は互角。


相手もなかなかやる。


でもまだまだ。


火魔法で俺に勝とうなんざ百年早い。


更に火槍を五つ作る。


襲撃者の目が見開かれた。


行け、貫け、焼き尽くせ。


五つの槍が一瞬で襲撃者に向かっていく。


一つは相殺された。


しかし残りの四つは襲撃者の両肘両膝を貫き、関節ごと手足を焼き尽くした。


ほんの少し、魔法の炎が消えて辺りの温度が下がった頃、煙草を咥えて火を点けて近づいていく。


襲撃者は女だった。


ありゃ……、生きてっかな?


胸に手を当ててみる。


胸は上下に動いている様で、意識は無いが死んでもいない様だ。


「まぁまぁだ。でもまだまだだったな」


咥えていた煙草を右手に持ち、フウ、と紫煙を吐き出す。


……結構胸、デカかったな。


紫煙は一瞬で夜風に混ざって消えて行った。


最低な事を考えているとロイドが戻って来た。

肩には二人、担がれている。

おそらく戦いは一方的だったのだろう、くわえ煙草をしているロイドの顔は何処かつまらなさそうで、その表情を見る限り何処も怪我はしていない様だ。

此奴が人間相手に血を流すところなんて想像できないが。


「殺ったか?」


「生きてますよ」


「そうかい」


随分と余裕だった様で、襲撃者二人も大きな怪我を負わせてはいない様だ。


「そちらはギリギリですね。……あら、お相手は女でしたか。悪さはしてませんよね?」


「加減は苦手でな。まぁ、丁度いい。拷問するぞ。此奴を担いで外まで連れてけ。ついでに悪さはしてねぇよ不可抗力だ。」


「了解です」















外の森の中。

辺りはじっとりと湿っており、何かの生き物の鳴き声が響いている。

木の根元に女を下ろし、顔を叩き無理矢理目を覚まさせる。


「さてロイド、お前は欠損の治療が出来るか?」


「できますよ?」


「じゃあ足でいいか。左足を治せ」


「……了解です」


徐々に女の左膝から、欠損した足が再生される。

そして再生されている足に向けて熱線を撃つ。

辺りに絶叫が響き渡った。

再生と焼却の同時進行はさぞ辛かろう。


「ロイド、一旦止めろ」


「……はい」


返事に間があったのでロイドの顔を見てみると、随分と情けない顔をしていた。


……此奴は拷問されるのは我慢できるがするのは我慢できない奴か。


相変わらず変な所で優しさが溢れている。


「という訳でだ、これ以上痛い思いはしたくないし、手足は元どおりにして欲しいよな?じゃあ俺の質問に答えろ」


女の目は虚ろだ。


……ちっとやり過ぎたか。


もう一度顔を叩き意識をこちらに向けさせる。

死ぬよりきつい目に合った所為か、随分と従順にお話を聞き出す事が出来た。

先ずはメルヒオルのお話。


「見た目は?どんな奴だ?どんな魔法を使う?」


女はポツポツと、口から言葉が溢れる様に話し出した。

どうやらメルヒオルという人物、光魔法の達人らしい。

そして向上心の塊で、誰彼構わず練習と言っては回復、治療をしているらしい。

話を聞く限りでは悪い奴ではなさそうだ。

但し頭は悪そうだが。

あくまで話通りの人物ならば、だが。

普通好き勝手に治療をしていたら、魔法医師が食いっ逸れることになる筈だ。


……此奴らは何を考えているんだろうか?


そして次の質問をして、その答えを聞いた時、益々今回の騒動の目的がわからなくなってしまった。


「今回の塩湖への遠征、誰の差し金だ?」


「……陛下自らの指示だ。」


……どういう事だ?


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