二日目 夜
二日目、夜
あぁ……イライラする。
結局あの後、ロイドの計画性無き強制人外動作体験のせいで、暗くなったのに街に辿り着けずに野宿する羽目になった。
外は大雨。
場所はどっかの森。
詳しい場所はわかる筈もない。
今俺達は崖的な所をロイドが正拳突きで穴を開けて作った人口洞窟で、雨宿りしながら火をかこんでいる。
「どーすんだよこれ」
お互い真っ裸である。
着ていた服は雨でびしょ濡れになってしまった。
時期的に夜は結構冷える。
濡れた服なんぞ着ていたら、凍死してしまうかもしれない。
お互いに火に向かって手を差し出して、凍えた身体を温める様に沸かした豆茶を啜っていた。
「いやぁ、……ちょっと計算違いでした」
「なぁにが計算違いだよ。何も考えていないの間違いじゃねーか?」
「いやまぁ、そこは気にしないでください」
「ったくもー」
「今日結構飛ばしたんで、明日にはきっと着いてますよ」
はぁ、と溜息を一つ吐く。
最近溜息が増えたと思う。
荷物からゴソゴソと煙草を取り出して、焚き火で火をつける。
今度のは苦味が強くて匂いもキリッとしている。
しけた洞窟の空気が少し軽くなった気がした。
暫く無言の時が過ぎて、豆茶をすする音だけが響いた。
一度パチィンと、焚き火の木が音を立てた。
何となくロイドと目が合い、そのロイドの視線がスルスルと下に行き、俺のの股間に行って、一瞬フッ、と笑った。
ブチィ!!
殺してやる。
「なんだそのバカにしたような笑いは!!」
「あっぶねぇ!熱線掠ったァ?!」
割と本気の熱線をロイドに向けて放つがなかなか当たらない。
ひょいひょいと、人間離れした動きで熱線を躱される。
「避けんじゃねぇよコンクソガキァ!!立派なもんツケヤガッテェ!!」
どうせ当たっても死なねぇだろうが。
そう思い熱線ではなく火炎放射に切り替える。
「いやだってつい!」
そう言ってロイドは洞窟の外へと逃げ出した。
「ツイジャネェヨコンボケガァ!!」
追いかけて、頭上にどデカイ火球を作り出す。
「待って!太陽堕としは待って!!」
誰が待つかこのボケが!
「だいたいテメェ、謝罪の一言もねぇじゃねえか!!」
「すんませんでしたぁ!!」
「誰が許すかコンクソガァ!!」
「ヒデェ!」
「ウルセェイッペンシンデコイヤァ!!」
「イーヤー!!」
この日、ある領地で森の大規模な火災が発生した。
場所は森の奥深く。
通常は人間が立ち入らない場所であった。
幸いな事に当日は大雨だった事もあり、それ以上火が燃え広がることはなかったが、燃えてしまった場所は雑草一つ残っていなかったそうだ。
見る人が見たら、徐々に燃え広がったものではなく、強力な火魔法使いが意図して燃やし尽くしたのがわかるであろう。
しかし、事件後も犯人は見つからなかった。




