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男達が動き出すよりも早く、左へ踏み込む。
折れた剣を持っている男へ、抜手で鳩尾に一発、胴体を貫通する。
まずは一人目。
次に右足を踏み込み右フック一発。
二人目の頭が吹っ飛ぶ。
フックの勢いのまま左の後ろ回し蹴り。
これで三人。
……あれ?何でこいつら動かんのかな?
所詮はチンピラ、素人共の集まりか?
「……動かないのならドンドン行かせてもらうぞ」
チンピラどもが、雄叫びとも悲鳴ともとれる声をあげて向かってきた。
そうこなくっちゃ。
反抗してくれないと、こっちが悪モンみたいじゃないか。
頭を狙って両手剣が横に振り抜かれる。
ダッキングでかわす。
右のボディブロー一発。
後ろに気配、左脚で相手の顎を蹴り上げる。
その勢いのまま、後ろにいる奴らに右の水面蹴り、三人程倒れる。
起き上がる前にストンピング。
四人、五人、まとめて八人。
「どうしたチンピラそんなモンかァ?」
チンピラ共がいきり立つ。
でも大した脅威にはなりそうも無い。
こんだけいたら適当に攻撃しても当たりそうだ。
近くにいた奴一人、足を掴んで振り回す。
十七、十八、十九、あ、足が千切れた。
武器交換、また一人掴んで振り回す。
あ、逃げようとしてやがる。
「ニゲテンジャネェゾゴラァ!」
これじゃあどっちがチンピラかわからない。
武器を投げつけると、ドゴンとグシャリが混ざった音が上がった。
武器は男共ごと、壁にぶち当たり挽肉に変わった。
三十一、三十二、三十三。
「あとナンボだアァア?!」
敵の集団にまとめてタックル、そしてぶちかまし。
相撲舐めたらいかんよ?
四十七、四十八、四十九。
……粗方片付いたか。
「……お前で終いだよなぁ?」
意外と呆気なかったな。
胸元からゴソゴソと煙草を取り出し火をつける。
辺りは血の海、血肉と糞尿と煙草が混じった、なんとも言えない臭いが漂っている。
店の奥には男が尻餅をついていた。
へたり込んで震えているのは金髪の男。
鼻水とよだれと涙を垂れ流している。
ついでに失禁も。
冷たい目つきは見る影もない。
武闘派っつってもこの程度かい。
そう思って近づくと、急に発狂した様に喋り出した。
「……か、かか勘べべ……弁しっししし……」
勘弁するわけねぇじゃねぇか。
こっちは殺しに来ているのに。
「お前は今まで命乞いした奴を見逃したことがあるのか?」
返答無し。
というか、意味不明な叫び声をあげている。
そしてそれが終わると只々震えているだけ。
まったく……、これでも支部支部長かよ。
……という事は課長クラスか?
まぁいいや。
「悪モンなら最後までワルぶって見せろャコラァ!」
ぐしゃり。
右の足を踏み砕く。
絶叫。
次は左足。
また絶叫。
まだまだこれから。
ユリアの復讐代行だからこんなもんじゃ済まさない。
右手、左手。
手加減して肋骨が内蔵に刺さらない程度に折る。
ドンボキグシャと、楽器の様に音が鳴る。
流石に息も絶え絶えか。
「……もう……勘弁してくれ……。ウォル、グリーン……からは手を……引くように……頭に言うから……」
……なんか認識に齟齬があるな。
「何勘違いしてんの?」
「……え?」
場違いな、少し気の抜けた声がした。
「俺が殺しに来た理由、彼女に頼まれたからだぞ?」
「……え?」
また男が気の抜けた声をあげた。
「だから俺の女の復讐の為。閣下は関係ねーの」
男が信じられない物を見る目で見てくる。
やっぱり少し異常かな?
でも悪りぃけど、そんだけあいつに惚れてんだわ。
「……じゃあな」
ぐしゃり。
煙草の吸い終わり、一息に紫煙を吸い込み、細く吐き出す。
投げ捨てた吸い殻は、男の血だまりの中で、ジュゥと音を立てて消えていった。
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