37
あの後三人捕まえた。
うち二人は、最初に殺した男と同じ答えが返ってきた。
残った一人は終始無言を通した。
なかなかやる。
でも、根性があるのはこいつだけだった。
時刻は夕暮れ。
場所は丘の上。
夕陽が沈んでいく。
海がオレンジ色に染められて、町はオレンジと影の黒でなんとも言えない哀愁が漂っている。
夕暮れの風景ももなかなかオツなものがあるなぁ。
……死体で台無しになっているけど。
四つの死体をここに放置するのも何と無く忍びなかったので、適当な木の近くに埋める事にした。
強化を使い、ザックザックと穴を掘る。
あぁ、メンドクセ。
でも善良な一般人に死体を発見させるのも可哀想なので仕方がない。
ひたすらザックザックと穴を掘る。
適当な大きさの穴が掘れたところで、死体を穴に蹴り入れる。
土を被せる頃にはすっかり日が落ちていた。
作業がひと段落したところで、煙草に火をつける。
決行はもう少し遅くなってから。
一般人が寝静まった頃が良いだろう。
無闇に騒ぎを荒立てる事もないしな。
穴を掘りながら、おっさんにも付いてきて貰えば良かったと思った。
そうすれば、死体の後処理に時間を取られることもなかったのに。
遠くから、くわえ煙草のおっさんが「お前ごと燃やすぞー」と、いつも通りの気の抜けた声で言った気がした。
真夜中、町中を走る。
今は未だ、隠密行動。
体が光るのはまずい為、魔法はお預け。
目指すは奴らのアジト。
路地裏の、更に奥にある娼館。
その中が奴らのアジトとして使われているらしい。
汚いすえた臭いの道中、怪しい輩を発見。
こちらと目が合うと、急旋回して走って逃げていく。
だがそうは問屋が卸さない。
何より普段からの鍛え方が違う。
すぐに追いつき口を塞ぐ。
「サマエルの奴だよな?」
そう聞くと、肯定も否定もしなかった。
まぁ、沈黙は肯定なのだが。
男の肩に右手を置き、左手を口元に、優しく早く、首をゴキリとへし折る。
ドサリと、思っていたよりも大きな音で男が倒れた。
これで二人目、トータル六人。
目標まであと五十人か……。
そんな事を思いながら奴等のアジトへと足を運ぶ。
道中は思ったより発見できていない。
と、いうことは、奴等はとっくに逃げてしまったか、もしくは固まって俺と事を構えようとしているのか。
おそらくは後者だろうと思う。
武闘派集団が死ぬのが怖くて逃げました、じゃあしめしがつかない。
残り五十人、みんな固まっていたら楽なんだけどな。
そんな事を思いながら走っていると、薄汚れた路地の四つ角に、目的の場所を見つけた。
外観は薄汚れた酒場。
でも明らかに今は雰囲気がおかしい。
窓には布が被せられており、夜だというのに騒ぎ声が聞こえない。
待ち伏せされてるなぁ、こりゃ。
まぁいいか、と思いノックする。
罠だろうが関係無い。
いつも通りに戦うだけだ。
一瞬で体に筋力増強、身体硬化、ついでに自動回復も重ねがけする。
ガチャリとドアを開ける。
中に一歩踏み出すと、両側から襲撃。
あえて避けない。
避ける必要も無い。
パキィンと硬質な音が発生。
俺の体に当たった剣がへし折れてクルクルと回りながら宙を飛ぶ。
「……舐めてんのか?」
トスッ、と床に剣が突き刺さる。
周りを見渡すと、狭い室内に男が沢山。
俺に刃物が効かなかったのを見たせいか、皆驚きで固まっている様だった。
……固まっているところ悪いが、動き出すのを待ってやらねぇぞ?
「さてと……楽しい楽しい鬼ごっこの始まりだ。ヨーイドン」




