25.閑話、娼婦が出来るまで
今更違う道で生活する事なんて出来ない。
きっと産まれた時から不幸であれと、運命づけられていたのだろう。
一番古い記憶は、父に抱っこをされていた記憶。
小さい頃は幸せだった。
両親は優しかったし、質素ではあるが飢える事は無かった。
でも、幸せな記憶はそんなに多くは無い。
人生の大部分を、辛い記憶が占めている。
そして幸せな記憶の所為で、余計に辛い記憶を際立たせていた。
六歳の頃に家族は居なくなった。
正確に言うなら死んでしまった。
更に正確に言うならば、殺された。
犯人は皆覆面をしていたので分からない。
殺された理由はあの男から聞いた。
金品が無かったから、おそらくは強盗だろうと。
この時から、私の人生はおかしくなっていった。
身寄りが居なかった私は施設に入る予定だった。
しかし、私の事を気の毒に思った貴族が、横から私を引き取った。
表向きは幼女として。実際はオモチャとして。
男の名前はヘンリー=ダルハウジー伯爵。
年は当時四十代前半、口ひげを蓄え、引き締まった体をした、ぱっと見は貴族のお手本のような人物だった。
領地は表向きは治安が良く、誰も飢えていないし、活気がある。
まるで非の打ち所の無い、完璧な男。
その完璧な男の本性は、幼女趣味の嗜虐嗜好という、おおよそ皆の想像とは真逆のような男だった。
当時の生活は今でも思い出したくない。
あの男の館に住むようになって、私は一つの仕事を任せられることになる。
私は三歳年上の少女から、性技を教わった。
初めは実際に少女とあの男がヤっている所を見せられた。
翌日には少女の指導が始まった。
何故このような事をしなけらばならないのかわからなかった。
でもやらなければ鞭で叩かれた。
ちゃんと出来るまで、食事も取らせてもらえなかった。
泣いたりすれば、眠る事も許されなかった。
食事も取らせてもらえず、寝る事も許されず、極限の状態で、私は生きる為に考える事を放棄した。
そして出来上がった娼婦としての私は、あの男の下へと出荷された。




