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初投稿です。よろしくお願いします。

気が付いたら真っ白な世界にいた。

周りはよくわからない言葉が飛び交い騒がしく、更に俺を混乱させた。


……はて、俺は一体どうしたんだろう。


直前の記憶を思い出そうとしていると急に浮遊感がし、おしりを何かでバシバシと叩かれる。

衝撃に声をあげようとすると


「おぎゃー!」


と自分の声とは思えない甲高い声が出できた。



俺は転生したらしい。

流石に数年もすると今の自分の状態を把握できる。

前世の事はあまり思い出せないが日本で暮らしていた。

何かの拍子で死に、この世界に生まれ落ちたのだろう。

他に思い出せるのは煙草と酒とコーヒーが好きだった事、人付き合いがあまり得意ではなかった事、格闘技が好きだった事。

他の事は頭に靄がかかっているようで、中々思い出す事が出来ない。


「ロイド、ご飯よ。起きなさい」


ベッドの上でうんうん唸っていると母親が呼びにきた。

母は普段はお淑やかたが怒ると怖いので速やかに食卓へ行く。

食卓には父と兄が既に座っており、俺が着席するのを待っていた。


「おはよう」


朝の挨拶に両親と兄がが返事をし、俺の着席と同時に食事が始まる。

両親は元冒険者、父は拳闘士、母は魔法使いで二人ともそこそこのランクだったが兄を妊娠したことで冒険者を止め、何故か酒屋に転職したらしい。

父の名はアレク、母はエリーゼ、4歳年上の兄がレイド、以上が俺の家族構成である。




俺が魔法を習い始めたのは10歳頃から。

どうせ異世界に転生したのならば魔法を使いたい!と思い母にねだって教えてもらい始めた。

魔法には攻撃一辺倒の火、身体強化等の補助がメインの水、攻守のバランスの良い土と風、回復がメインの光、今は禁忌とされている闇の6種類がある。

また魔法にも適性があり、苦手な属性の魔法は成長が遅く、得意な適性の魔法は成長が早い。

適性は教会で調べる事ができ、俺は水と光に適性があるらしく、また母と全く同じ適正らしい。

思いっきりサポート役な適性だが才能はかなりあるらしく、神父が声をあげてビックリし、両親が小躍りしていた。

後にも先にもこんな両親の姿を見たのはこの時だけだった。

魔法の訓練は初めは魔力を感じることから始め、その後は只管母がやった魔法を真似する、の繰り返しだった。


「魔法は想像力が一番大事なのよ」


しか言わない母を前にして、何度も挫折仕掛けた。


……マニュアル本や教本は無いのかよ。


「教本はあるけど、母さんが言ってる内容と一緒だから」


魔法は感覚的なもが大部分を占めており、その感覚は人それぞれの為、明文化する意味があまり無いらしい。

結局、始めて魔法を使うのに1年かかってしまった。

魔法を学び始めた頃から、父からは拳闘術を仕事の合間に教えてもらった。

初めは体作りから、次に模擬戦。


「体で覚えろ」


只管殴られまくった。

一度兄に一緒に訓練しないか誘ったが、


「興味ない」


の一言で断られた。

同じ血筋のはずなのに、脳筋は俺だけだったらしい。

兄は俺と違って頭が良い。

更に努力家。

本当に兄弟だろうかといつも思う。

成長すると何処ぞの偉いさんの所に出稼ぎに旅立って行った。



数年後、母よりも魔法を使えるようになり、父となんとか互角に渡り合えるようになった頃、この街が魔物の襲撃をうけた。

滞在していた冒険者に緊急依頼が出され、腕に覚えのある住民も冒険者の応援に駆り出された。

俺も駆り出されたが、対魔物の戦闘経験が無い為、持ち場を避難場所の防衛に指定された。

冒険者達が討ち漏らした魔物を殺していくのは、初めは緊張からかぎこちなかったが、数が少なかったのもあり苦戦しながらも負けることはなかった。

坦々と命を刈り取る作業に慣れてきた頃、ごつい鎧を身につけた人物が数人こちらに向かってきた。


「こちらに避難場所があると聞いてきたんだが、君は?」


「ここの防衛を任されたものです」


「冒険者か」


「いいえ、しがない酒屋の息子です」


「…にしてはなかなかの戦果をあげているな」


そう言ってごつい鎧を身につけた人物は辺りを見回した。


「私達はウォルグリーン侯の騎士団に所属している者だ。先程魔物の鎮圧が完了したので、街の様子を見に来た。ここで最後だ」


「……騎士団の方でしたか。大変失礼致しました」


「気にしなくて良い。生存の確認をしたいので全員街の中心にある広場に集まってもらいたい」


そう言って騎士様は建物の中に入り、俺にした説明と同じ事を避難している住民に伝え先導していった。




広場に到着し、騎士団は住民の生存確認をしていく。

住民にはあまり被害は出なかったが、冒険者達、特に新人冒険者に大きな被害が出たらしい。

そんな説明をぼーっとしながら聞いていると、背後から声をかけられた。


「ロイド!生きていたか!」


「兄貴!何で此処に⁈」


「俺がこの街出身だから、道案内に抜擢されたんだ」


侯爵領は広い。

万が一にも道を間違えない様に、兄貴が道案内でついてきたらしい。


……兄貴の就職先は侯爵様の所だったんだな。知らんかった。


俺が新たな発見?と本当に兄弟か?という疑問に頭を悩ませていると、兄貴は笑顔だった表情を急に歪め、泣きそうな顔で言葉を発した。


「親父達が死んだらしい」




俺は両親を失った。

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