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キーナの魔法~外伝~  作者: 小笠原慎二
始まりの赤の賢者
8/15

仲間

若かりし頃のおじいさんのお話しです。

若かりし? なんとなく表現が違う気が・・・。

おじいさんの、昔の、お話です。

いくつものテントが張られている。

そこかしこで兵士達が体を休めたり、武器を点検したりしている。

そんな中を、戦場には到底似つかわしくない、少女が歩いていた。

黄色がかったオレンジの髪、澄み渡った空のような瞳。

必要最小限しか隠されていないその肢体はとても魅力的なもので、周りの兵士達が喉を鳴らしながら彼女が通り過ぎるのを見ている。

だが誰も手を出そうとはしない。

一つには、彼女が周りの兵士達を瞬殺できるほどの魔導士であることもあるが、もう一つ、彼女が向かっている先にいる男が彼女の男であるのだが、その男を怒らせたら、死ぬよりも酷い目にあわされることが分かっているからである。

あの赤い死神が。

周りのテントより幾分か立派なテントの入り口の布をめくって、少女が中に入って行った。


「レ~オちゃん」


その男は机に向かい、何やら文献を調べているようであった。


「ま~た本読んでるの?」


またかい、といった苦笑交じりの顔で少女が笑う。


「ん? シャオか」


今気づいたといった風で男、レオナルド・ラオシャス、通称レオが顔をあげた。


「ああ、もう少しで分かりそうなんだ」


そういうとまた本に目を落とした。


「ふ~ん」


シャオも本に目を向けるが、その本には古代の言葉が羅列してあり、それなりに頭を働かせないと解読は難しいと判断する。

一応魔導士なのでそれなりに時間をかければシャオにも読めるであろうけれども、そんなことをしにレオの元に来たわけではない。

だが当のレオはそんなことそっちのけで文献と格闘している。

一旦集中しだすと何時間でも没頭してしまうレオを横目で見ながら、面白くないシャオはレオのベッドにゴロンと横になる。


「酒飲んでなきゃ本読んでるし、本読んでなきゃ女抱いてるし、あたしってレオちゃんの何?」


拗ねた瞳でレオを見つめると、レオがそんな彼女をみてニヤリと笑う。

パタンと本を閉じると、彼女の上に覆いかぶさった。


「なんだ? 相手にしてほしいのか?」


シャオが視線を逸らす。

拗ねたような甘えたようなその表情は、レオの言葉を肯定している。

レオはシャオの唇を優しくその唇で塞ぐ。


「ん…」


シャオの口から甘い吐息が漏れた。

レオの手はシャオの体をなぞるように動き、胸の膨らみを優しく揉みしだく。

舌先でシャオの敏感な部分を優しくなぞる。


「…っ」


シャオが激しく息を吸う。

最小限に隠されていた衣服をレオの手が剥ぎ取っていく。

顕わになっていく白い肌を、その舌でなぞっていく。


「あ…」


胸の敏感なところを舌先で擦られ、シャオが官能的な声を発した。

その時。


「お取込み中失礼」


テントの骨組み部分をコンコンと軽くたたき、深緑の髪色の男がテントの入り口に立っていた。

慌てて前を隠すシャオ。

興を削がれ、身を起こしたレオが、


「本当に失礼な奴だなブルーマン」


と言って男を睨む。

ブルーマンはにっこりとした顔のまま、


「仕方ないでしょう。大使の方々が来ちゃったんですから」


と答えた。

今の戦争で味方に付いている国の大使が、またなんやかんやと条件を提示しに来たらしい。


「面倒くさいがしゃーない」


さすがに、しばらくお待ちください、というわけにもいかず、レオが身支度を整え、テントから出ていく。


「レオちゃん!」

「ん?」

「早く帰ってきて…」


シャオが寂しそうな顔をする。


「ああ。お前の××××に××××するために早く終わらせて来る」


ブルーマンがずっこける。

シャオも顔を赤らめた。

とそこへ、


メキョ……


レオの顔の真ん中に、長い棒のようなものがクリーンヒットした。

鼻血を吹き出し倒れるレオ。


「下品!!」


濃紺の長い髪の女性が棒を振りかざして立っていた。

女性が気を抜くと、その棒は空気中へ霧散していった。


「大使の方々がお待ちよ、レオ」


何事もなかったかのように女性がレオをせきたてる。


「カイリ、この顔で会えと?」


横一線にできた赤い筋、時が経てば立派な青あざになるだろう打撲痕と、垂れ流れ続ける鼻血…。

交渉場にこんな顔で行ったら、相手が引くこと間違いなしであろう。

だがしかし、


「あなたのことだから、またどこぞの女と何かあったくらいにしか思われないでしょ」


カイリは冷たく言い放った。

ずっこけるレオ。

ある意味当たっている。


「今のどう思う? 酷くない?」

「正論だと思う…」


助け舟を願ったレオだったが、ブルーマンはそうやすやすと彼を助けてはくれなかったのだった。


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