表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
43/45

「田沢湖さんしかいません」

 手術は入院1日目の夜に行われる。ボルトを取り出した後の3日間は、術後観察のような感じだ。

 (あーあ、麻酔かけられんのか…。あんま好きじゃないんだよな。つうか、この手術で本当にあの痛みが来なくなるのか…?)疑問を抱きながらも、手術室に担ぎ込まれた。


 次の日。包帯を取って見ると、縫い目の傷が少し広がっていた。あまりちゃんとはくっついてないようだったので、急いでまた巻き直した。(少し身軽になったかな…?…大して変わんないか。)

 エントランスまで行って、さえりにメールを送る。

『To:さえり

 Title:入院したw

 本文:僕、昨日から入院した。3週間くらい前から右腕が急に痛むようになって、原因が分からないからとりあえず折れた骨固定してたボルト外すって話なって、昨日の夜とった。一応報告ですw』

『To:田沢湖

 Re:入院したw

 本文:マジで!?てか、今大丈夫なの?もう手術は終わったんでしょ?とりあえず、体は大事にしてね\(^_^)/』

(やっぱり、さえりと話してると安心するな。何と言うか、慣れてるんだろうね、多分。)もう一度返信してから、病室に戻った。


 午後になって、外を眺めながらのんびり過ごしていた。(ゆっくり流れる川…雪が川に張り出していて、踏んだらきれいに崩れそうだ…。あ、また雪降ってきた。きれいだなぁ…。)感傷に浸っていた田沢湖に、看護師さんが声をかける。

「田沢湖さん…お見舞いの方が来ております。」

「あ、はい。」

(誰だろ?来そうな人もう全員来たけど…?)

「失礼します。」

聞き覚えのある声と共に、カーテンが開く。

「む、夢々子?あ、紀友も…。」

「来ちゃいました。」

「病院着いた途端に雪降ってきたから驚きましたよぉ。」

「えと…どうやってここまで来たの?」

「2人でバスで来ました。」

「夏浜より雪多くてびっくりしましたぁ。」

「というか…何の目的で来たの?」

「お見舞いですよぉ!」

「一応名目上はお見舞いですけど…」

「名目上?」

「あの、その…あのぉ…ですねぇ……。田沢湖さんに言いたいことがありまして…。」

(この流れ…もう3回目だし慣れてもうた…。紀友も一緒ってことは夢々子も僕に複数いても気にしませんってことだよな…。)

「えと、田沢湖さんに初めて会った日…私いきなり助けてもらったじゃないですか。」

(んと…あぁ、全校委員会の時か。)

「あの時から、私田沢湖さんを好きだったんですよ。それで…その恩返しと言ってはアレですが、あの…田沢湖さんの側で田沢湖さんを助けてあげたいなと思って…。そういう事しても…いいですか…?」

目を逸らさずに、真っ直ぐ田沢湖を見つめる夢々子。

「そういう事ってどういう事ぉ!?夜の計画!?」

前の方の会話を聞いていなかった(と思われる)紀友がとんでもないボケをかます。

「な…!?」

「ん、んな訳無いだろアホ!!!」

夢々子が必死に突っ込む。そして、恥ずかしそうに田沢湖を見つめてくる。(そ、そんな目で見つめるなよ…ドキドキする…。)しばらく考えてから、田沢湖はこう答えた。

「僕は、色んな人から助けられる予定みたいだな。僕も、夢々子が助けが欲しい時なら、いつでも力になるよ。」

この時ほど夢々子の顔が笑顔で弾けるように輝いたのは、見たことが無かった。紀友も優しく笑っていた。

「よかったね。」

「うん…!これからも、よろしくお願いします!!」

「うん、もちろん!」

 この後、なぜか恋話で盛り上がった(主に1年男子の)。そして帰り際。

「田沢湖さんにさえりさんがいようが、他の人もいようが、やっぱり私には田沢湖さんしかいませんでした。」

照れ気味に言う夢々子。(やべぇ…。脅威的な程かわいい…。)

 2人が帰った後、なんだかふわふわした気分だった。(ハーレムが浮かれてるのって、こういう気分だからなのか…?)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ