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新入部員

 (うげぇ…。先週1週間は何だったんだ。おじさん死ぬし部活には行けないし。けど、けどだ!今週ついに、部活だぁ!!!)

 後輩がどんな人達なのか、楽しみにしながら部活へ。


 夏浜中の卓球部は、人数が少ないので現在は男女合同で練習する。大会では予選1回戦突破すらたまーーにしかできない弱小卓球部である。さらに、現在3年生がおらず、2年生7人で今まで部活していた。男子6人、女子はよりによって1人である。今現在、男子は団体戦・個人戦両方に出られるが、女子は個人戦しか出られない。監督は、男子が日村正吉(ひむら まさよし)先生、女子が今年採用された若い先生で、龍山純子(たつやま すみこ)先生。

 

 田沢湖が楽しみにしていた新入部員は、男子2人に女子4人の計6人だった。新入部員の自己紹介は、先生が来てから行うのが毎年のこの部のルールだ。

 「集合!!」

キャプテンの佐佐木島護(ささき とうご)の、声変わりしたかどうかわからない男子にしては高めの声が響く。

 40代後半の日村先生と20代前半の龍山先生が並んで入ってくる。まるで親子。

「はい、んじゃ自己紹介だね。3-4の教室さ入って。」

秋田なまりのある言葉がしゃがれた声から発せられる。

 そして、自己紹介の現場。

「んじゃ、まず俺からな。えー、日村正吉です。40代です。よろしく。んーと、そいじゃ次、龍山先生。」

「あ、はい。龍山純子です。23歳です。よろしくお願いします。」

「いいなー。素直に本当の年齢言えるのは。」

フッ、と笑いがこぼれる。龍山先生赤面。

「じゃ、次は2年生。総合キャプテンから。」

「えー、佐佐木島護です。よろしくお願いします。」

「おめよ、なんか他に趣味とか何か言えよぉ。」

「えぇ!?ん…趣味は釣りです。よろしくお願いします。」

「はい次。男子副キャプテン。どうぞ。」

(あ、次僕か。副キャプテンだったな、そういえば。)

「はい。中崎田沢湖です。んー、愛してる事は音楽を聴く事です。よろしくお願いします。」

「次、女子キャプテン。」

「はい!三浦(みうら)さえりです。好きな食べものはレモンです!よろしくお願いします!」

「次、山田。」

「はい。山田漢(やまだ から)です。好きな教科は歴史です。よろしくお願いします。」

「はい、由斗。」

「えーと、佐藤由斗(さとう ゆうと)です。趣味は花を育てる…まぁいわゆるガーデニングです。よろしくお願いします…と。」

「次は、祝。」

墓谷祝(はかたに しゅう)です。好きな場所は林の中。よろしくお願いします。」

「最後、滝中。」

滝中今日太郎(たきなか きいたろう)です。好きな教科は英語です。よろしくお願いします!」

「よーし、次は新入部員だな。」

その時、田沢湖は気付いた。(あ。代表委員会の時イスの山から引っ張り出して助けようとしたらスカートめくれてた子だ。)その時あっちも気付いたらしく、キラキラ輝く瞳でちょこん、と会釈してきた。(目の大きいきれいな瞳の子だよな…。輝いてるというか。)

 その輝きが田沢湖への好意からくるものだということに、まだ田沢湖は未だに気付いていなかった。

 自己紹介は続く。

「男子から、どうぞ。」

「え、んじゃ…田無代祐(たなし だいすけ)です。好きな食べ物はハンバーガーです。よろしくお願いします。」

(すんげぇ肥満児。これで動けるのか?)

「はい、次。」

田邊鷹海(たなべ たかみ)…です。好きな食べ物は…は…うどんです。よろしくお願いします。」

(代祐に比べてこっちはすんげぇガリガリだなぁ…。こっちもこっちで心配だ…。)

「じゃあ、次女子だな。どうぞ。」

「えと…じゃあ私から…。大島見夜(おおしま みよ)です。好きな教科は音楽です。よろしくお願いします。」

(長めの黒髪を後ろで1つに結んでいる…足は普通、胸は…て、変態かよ。)

「うん、次。」

(あ、代表委員会でイスに突っ込んだ子か。)

「高橋夢々(たかはし むむこ)です。趣味は散歩です。よろしくお願いします。」

(しかし、ほんと細い子だよな…。叩けば折れそう。)

「うん、次。」

「えと…横夜魔紀友(よこやま きゆう)です。好きなことは寝ることです。よろしくお願いします。」

(眼鏡かけてショートカット…いかにも勉強できそうだよな…。)

「じゃ、最後どうぞ。」

加藤(かとう)みいさです。好きな食べ物は甘いものです。よろしくお願いします。」

(ひょろっと背高い子だな…。ていうか、全体的に背高い子多いか。ん…なんか皆胸小さい…。女子は大丈夫そうだけど、問題は男子…。超肥満児とガリ男か。どっちも運動神経悪そ…。ま、僕が言える事でも無いか。)


 その日の帰り。チャリにまたがって校庭をふらりと出ていく。今日の曲はB'zの『衝動』。その、ふらりと出ていく姿も、夢々子は大きな目を輝かせながら見ていた…。

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