代表委員会
ガラガラ。田沢湖が生徒会室の引き戸を開けると、真ん前に超個性的な生徒会長の顔。
「ピンポンパンポーーーーン。代表委員会が始まりまぁす。」
「遅れてすいませんね、会長。」
(つうか、放送じゃなくて目の前で話してんだからピンポンパンポーン要らねぇだろ。)
会長とは、小学校で同じスポ少に入っていた。しかし、田沢湖が中学で今までしてきたものではなく卓球を選んだため、今は違う部である。けど、今でも先輩後輩としては仲がいいため、会うとよく話す。どちらも軽めのノリで。
「まぁ、まだ来てない人いるからいいんだけどさ。早く座って座って。」
その時。痩せた女の子が扉をぶち開けて駆け込んでくる。
「お、遅れてすいません~~~!!!!」
「あ、ちょ、そこは…」
ガラッどどーーーーン。
効果音だけでは説明できないので状況を説明しよう。駆け込んできた扉の前方にはイスがたくさん置いてあり、その女子生徒が突っ込んで現状。
「だ、大丈夫ですか?」
田沢湖がたくさんのイスを寄せながら女子生徒の元へ。(つうか、扉の前にこんなに多くイス放置すんなよ…。)
「うわぁ…。ありがとうございますぅ。」
「ケガとかは?どっか打ってない?」
「なんとか…。大丈夫です。」
(ちょ、待て。制服のスカートめくれて太もも結構奥まで見えてますよ!?つうか、足つまようじやん細すぎだろ。ん、意外と筋肉質だな。)
「迷惑かけてごめんなさい。」
思考の世界から急に現実に引き戻される。
「あぁ、うん。気にしないで。」
会長が話しかける。
「あぁ…。んじゃ…1年だよね。こっちに座って。」
田沢湖自身も座りながら、今の会長の言動に疑問を覚える。(ん…?会長って、いつもしゃべり方どちらかと言うとスローだけど、あんだけ間を取ってしゃべる人だっけ?ま、最近話してないし時が経ってそうなったのかな。)
会長は気付いていたが、田沢湖が気付かなかった事が1つ。それは、その女子生徒が輝く瞳でしばらく田沢湖を見つめ続けていたこと。そう、好意を寄せるような目線で…。
代表委員会を終え、教室へ戻りカバンを持って部活へ行こうかとしていた頃。教室に会長が駆け込んできた。
「あ、田沢湖いたよかったぁ~~!んとね、まだ話し合う議題1つ残ってて、忘れてたから今すぐ話し合うごめん生徒会室に戻って!!」
「ええ~~~!?」
(聞いてねぇよ。部活行かせろよ…。)
会長と共に生徒会室へ向かう。
「あー、1-4と2-4と2-1の代表が部活行っちゃったから、探してきてくんね?1-4は俺探してくるから、2-4と2-1、探して連れてきて?」
「あぁ、いいですよ。どっちもバレーでしたっけ?」
「うん。頼んだ!!」
(はぁぁ…。今日は部活に行けなそうだ。はぁぁぁぁ………。なんていうう事だ。)
田沢湖がこんなに部活に行きたがるのはなぜかというと、最初のうちから後輩にかなーーり優しく接してやって、手なずけようとしているのである。なんという黒い魂胆。最悪ゲス野郎である。
(やっと終わったーーーーーー!!!!!)代表委員会が終わり、現在午後7:10。もう部活は終わっている。
チャリにまたがり、FUNの『WE ARE YOUNG』を聴きながら帰宅中、爆音を轟かせながら後ろから迫ってくる車がいた。(うわ、シャコタン黒塗りクラウンとか。ヤンキーじゃねぇか。ん?佐賀ナンバーか。珍しいな。も、もしや!隣の市の暴力団と抗争!?てんな訳ねぇか…(笑)。ったく、サビ聴き逃したじゃねぇか。)
サビの手前まで巻き戻してから、夜風に吹かれてのんびり帰る。(そうだ!僕は若い。明日から部活に行けない訳ではない!明日行けばいいんだ♪)
結局、次の日は休んでいた時にあったテストを3教科やって、その次の日はクラスの仕事を任された。今週、部活には行くことができなかった。
悲しみ(?)に沈んだ田沢湖の週末。父親の、ローダウン&アンダースポイラー&テールゲートスポイラー&ツインマフラーというチューンが施されたステップワゴンで市内のワインディングを父親にドライブしてもらって、気を紛らわして月曜を迎えた。