夏休みが明けて
夏休みが明けた。島護が卓球部に戻ってきたのは、今からちょうど1か月前位である。事情を知った先生方からこっぴどく叱られ、ちゃんとキャプテンらしく(?)なって戻ってきた。だが、1年生からの信頼は未だに薄く、田沢湖が部を仕切っている面もあるのだが。
くそ暑い9月のある日のこと。新人戦が近づき、さらに文化祭が新人戦の1週間後にあるので、相当忙しい時期である。田沢湖は委員長ということもあり、部活が少し後回しになってしまっていた。
『文化祭の準備や練習では、あの白髪が紅く輝く…。』そういう伝説があるほどの熱血教師が、田沢湖達のクラスの担任である。そんな熱血教師の元で仕事してるのだから、部活に遅れるのは当たり前である。
田沢湖には高田凌祐という親友がいて、その凌祐も副委員長をしている。田沢湖と凌祐の2人のテストの点数は常にどちらも460点越えで学級でトップを争っている。(ちなみに学年全体を見ると490点台という化け物がおり、凌祐も田沢湖もギリギリトップ10くらいである。)凌祐の正確な計算能力と理科関係の知識、さらに深々と相手の心に沈みこんでいくような歌声。田沢湖の豊富な語彙・巧みな文章力と音楽的センス、広い分野に及ぶ様々な知識。こんな2人が同じクラスなのだ。頼り無いと言う人は誰もおらず、生徒からの信頼は分厚い。(ただし、田沢湖の先生からの評判は悪い。)だから、文化祭では新聞・合唱の2大コンクールの賞は田沢湖達のクラスが総ナメにすると下馬評では考えられている。
田沢湖には、その親友と家族にしか知られていない秘密が1つだけあった。その「秘密」が、部活での田沢湖の行動に大きな影響を及ぼしていたのだ。
島護が戻ってきた部活。だいぶ活気が戻ってきた。これなら、新人戦は県大会行けるかもしれない…。そう思わせてくれるような雰囲気だった。
田沢湖が見夜と夢々子のダブルスの指導をしていると、見夜が誘惑するように動き始めた。(あれ、どうしたんだ?てか、なんか動きがセクシーな気がしないでもない…。)そして、体育着の襟を指で下に押し下げて…(て、おい!それ以上襟を下げるな!む、胸が…見えてしまうぞ…!!)
「なんかですね…鎖骨のあたりがかゆいんですよ…。蚊に刺されたのかな…。」
「大したことねぇだろ…。つうか、鎖骨わざわざ刺すか?」
「なんか、その蚊すごくエロいですね。わざわざ胸の近く刺すなんて。」
夢々子が言う。
「む、夢々子ちゃん?」
「え…?」
(えー…こういう時男子はどういう反応すればいいんですかね…。見夜の胸を見ながら男子の欲丸出しで反応すればいいの?それとも…えー、どうすればいいのマジで!?)
心底迷う田沢湖の前で、女子2人は未だにエロい話をしていた…。




