昼休み
超長期戦を終えて、控え所まで戻る。女子が涙の混じった笑顔で待っていた。
「田沢湖、あれめっちゃハラハラしたじゃん。涙も飛んでっちゃった。」
さえりが見つめて言ってくる。
「いや、ほんと、疲れるね。精神的に。」
「ま、ほんとお前が勝てて良かったよ。センキュ、田沢湖。」
「そういや島護、結局試合出なかったね。」
「午後の部のために体力貯めといてやるよ。大暴れしてやる。」
「アハハハ。」
「「「アハハハハハハ。」」」
皆の笑顔が弾けている。この笑顔が、いつまでも続けばいいと思った。けれど、明後日にはここから3人いなくなる。残念だけど、それが現実だ。今最善の方法は、きっと、この瞬間をとにかく楽しむ事だと思う。そう考え、田沢湖も笑った。
「さ、昼飯食って午後の部に備えるぞ!」
「「いぇーーーい!!」」
「いただきます!!」
「「「いただきまーす!!」」」
昼食を食い終わった頃、1年の女子たちが田沢湖の隣にたかってきてちょこんと座ってきた。
「田沢湖さん、疲れました?」
みいさが聞いてくる。
「疲れねぇわけねぇだろ…。」
「ハラハラし過ぎて、そこの手すりから落っこちそうでしたよぉ。」
紀友が、おどけた調子で言ってくる。
「危ねぇだろ…。」
「でもさ、きぃなら落ちても笑いながら何事も無かったように戻ってきそう!」
夢々子がそう言い放つと、皆が笑い出す。紀友も笑う。田沢湖も笑う。
「でもさ、落ちたら私死ぬよ?」
「「当たり前でしょ!!」」
紀友の天然っぷりに突っ込みながら、また笑い合った。そこに、さえりが入ってくる。
「みんなー、差し入れだよー!!」
「「いぇーーーーい!!」」
「田沢湖も、食べて食べて!」
「お、ありがとう。」
差し入れをいただく。チョコクッキーだった。とてもおいしかった。
「どう?おいしい?」
「うん、すごく。」
その一言で、一気にさえりの顔が笑顔で包まれる。
「ほんとに!ありがとう!!自分で作ったからどうかな、て不安だったんだよ。良かったーーー!」
午後の部の試合が始まる時刻になった。田沢湖たちは、準備してフロアに降りていこうとした。その途中、田沢湖が見夜に呼び止められる。
「あの…田沢湖さん。私たちダブルスしてた時、頑張れって声掛けてくれてありがとうございます。あれ、ほんとに嬉しかったですよ。田沢湖さんも、頑張ってくださいね。」
「ああ、頑張るよ。んじゃ、行ってくるよ。」
そして、決戦の時がやってくる。相手は、山奥にある小さな集落の小規模な中学校、皆峰中。
全県出場25回、全国制覇1回という強豪校である。今も、少数精鋭の強いチームであることは変わらない。田沢湖たちは、気を引き締めて勝負に臨んだ。




