WHITESIDE 1-1
「久しぶりだな、何年ぶりだ?10年?いや、13年ぶりかな」
「あぁ、そうだな、大体それぐらいだな、しっかし感動の再会がこんな形とは、運命も皮肉だとは思わないか?なぁ?お前もそう思うだろ鬼島」
「ほんとだよ、---、せっかくお前に会えたって言うのにな、最悪だよ。」
一体ここはどこだ?パッと見どこかの貨物倉庫のようだ。しかもこの倉庫燃えてるのか。それに、この男誰だ?僕の名前を呼んだところを見ると、こいつは俺のことを知ってるようだ。
それに、爆発音で聞こえなかったが、僕は目の前の男の名前を呼んだような気がする。
いや、確かにこの男の名前を呼んだ。
「さて、そろそろ始めようか、時間がもったいない」
「そうだな、始めよう」
そう言うと僕の体と、目の前の白い長髪の男は、机に置いてあるワインを入れた二つのグラスをそれぞれ持ち、燃え盛る倉庫の中央に移動した。
「じゃぁ、我ら二人の武運を願って・・・」
白い髪の男が言う
二人はグラスを持った手を高く上げ
「「乾杯」」
二人の乾杯の合図と同時に、僕は夢から覚めた。
2015年4月17日午前8時25分
「はっ!!・・・なんだ夢か、そういえば、今は一体何時だ?」
ふと壁にかけてあった時計を見ると短針は8時を指していた。
「やっ、やばい!!完全に遅刻だ!!なんでこんな時間まで寝てたんだ!!」
目覚まし時計に目をやると、時計は7時で止まっていた。
「ちくしょ~、電池入れ替えるの忘れてた!」
僕は急いで着替えて、バイクを走らせた。
バイクを走らせてる途中思った。
「初出勤で遅刻って、これあとで殴られるかもな、いや、絶対殴られる」
そんなことを考えているうちに目的の場所についた。
「ここが、警視庁か・・・って関心してる場合じゃない!!急がなきゃ!!!」
鬼島は急いで階段を駆け上がり、刑事課のドアの前にたどり着いた。
ゴクリ、僕は唾を飲み込んだ。
ドアノブに手をかけようとした時、
ガチャ、ドアが開く音がした。
目の前に赤いネクタイとリボルバー銃のグリップが見えたと思ったら「ん?見慣れない顔だな、もしかして新人君?」少し上のほうから声がした。
「はっ、はい!」僕は無意識に返事した。
「よし、こっちに来な、案内してやる。ちなみに、遅刻は大目に見てやる。今後は遅刻しないようにな、あと、俺の名前は氷川だよろしく。」
僕に話しかけてきた、氷川と名乗る人に案内され、僕は奥のほうに連れていかれた。
上のほう吊るされてる、看板には、
[捜査第一課]と書かれていた。
「よし、みんな、新人の紹介だ。ちゃんと全員いるよな」
「あの、三姉妹がまだ戻っていません。」
右の奥から2つ目の席に座っている。小太りの男がそう言った。
「まったく、しゃーねぇな、またあとで紹介しといてくれ」
「わかりました。」
「よし、じゃぁ、紹介しよう、こいつの名前はえ~と・・・なんだっけ?」
「鬼島です。鬼島翔」
「そうだ、そうだこの新人君の名前は鬼島翔だ。皆、仲良くしてやってくれ」
「よろしくお願いします」
僕は深々とお辞儀をした。
「俺の紹介は終わったからあとは頼む、急ぎの用があるから、じゃぁな」そういうと、氷川はいそいで、部屋を出た。
「さて、それじゃぁ、今度は俺らの番だな」
僕の目の前の席に座っている男が言った。
「俺の名前は、犬養大典、元爆弾処理班だ。よろしくな、ここからは俺が一課の全員を紹介しようで、俺の隣の席に座ってるのは亀島だ。」
指さしたほうには先ほどの小太りの男が座っていた。よく見ると、上も下も緑できめている。
まるで、ミドリガメのようだ。
「僕、亀島省吾、よろしくね。僕、鑑識に知り合いたくさんいるから何か、調査したいことがあったら気軽に言ってね。」
「そんなことはねぇほうが、いいだろが」
後ろのほうから誰かの手が亀島さんの頭を優しく何度も叩いた。
「あわわわ、浦嶌君やめてよ」
「ごめん、ごめん、俺は浦嶌、浦嶌真ってんだよろしくところで、君釣りは好きか?」
「はい、昔祖父とよく海釣りに行ってました。でも、まったく釣れなくて」
「よし、今度、俺と釣りに行こうぜ!!いい釣り掘りがあるんだよ」
「はっ、はい」
「よし、約束な」
「わかりました。覚えておきます。」
僕の肩から何かが落ちた気がした。自分の予想の斜め上だった、
刑事課というと、何かと重い空気が立ち込めてる物と思ってた。
でも全然違う、周りが明るい、これ程温かい感じになったのは久しぶりだ。
「でこいつが・・・って聞いてるか鬼島?」
「えっ、あっ、はい大丈夫です。ちゃんと聞いてます。」
「そうか、ならいいが、でこいつがお前とコンビを組む」
「秋山龍二だ。よろしく頼むぜ。新人」
浦嶌の向かいの席に座ってる見覚えがある男が名乗った。
「こいつは口は悪いがいいやつだ。わからないことがあるなら、警部か、こいつに聞くといい」
「まぁ、そういうことだ。俺とコンビを組むんだ。失敗は許さないぜ。」
「わかりました。胆に命じておきます。秋山さん」
「かったるい言い方はやめとけよ。そいつは建前だってのが丸わかりだぜ」
「おい?どういう事だ。秋山?」
「鬼島お前嘘ついてるだろ?」
その言葉が放たれたとき僕はハッとした。
「お前の本音は違うんだろ?わかるぜ、お前の左手の小指がさっきからピクピク動いてるのはな」
すごい、この人は人を見抜く天才だ。僕には、昔から嘘をついたときにしか起きない癖がある。それが左手の小指だ。
何故か、僕は決まって嘘をつくと、小指がピクピクと動く癖がある。しかしそれを短時間でしかも、わずか15分程度で見抜くとは、やはりこの人侮れない。
「ですよね。やっぱり嘘は付かないほうがいいですね。お久しぶりです。秋山さん」
「おいどうしたんだ鬼島?さっきと全然感じが違うじゃないか?それに、秋山の事を知ってるのか?」
「そりゃ知ってて当然だ。何せ、この男、昔、暴走族に居たんだからよ。俺はよく知ってるぜ。高2の時にこの俺の顔に拳をめり込んだ奴だってな。」
「機動隊から移動したって聞きましたが、まさか、刑事課とはあの時はほんとにすいませんでした。」
「いいって、いいってそれより、俺を呼ぶときは龍二か、秋「秋山さんって呼ばせてもらいます」
秋山が言い切る前に、僕は言い切った。
「そうか、なら俺は翔って呼ばせてもらおうか」
「どうぞ、お構いなく」
秋山の紹介が終わると、犬塚は考え込むように自分の椅子に座った。
「さて、残るは三姉妹か・・・」
「さっきから気になってたんですがその三姉妹って何ですか?」
「ん?まぁ、俺たち一課の仲間で、まるで姉妹みたいに仲がいいから三姉妹って呼ばれてるんだ」
「はい」
「海原音姫、月村輝夜、そして氷川さんと同期の天上織姫この三人のことを言うんだが・・・」
「また、こいつらのキャラが濃いんだよ」
話に割り込んで来たのは、浦嶌だった。
「輝夜嬢は根暗だし、織姫先輩はもうババアってレベルだし、あぁ、特に気を付けたらいいのが、音姫だな、あいつ何かと五月蠅いやつだしな気を付けなよ、これ先輩からの忠告だから」
「はっ、はぁでもそんなに悪く言うのもどうかと僕は思いますよ、ね?犬塚さん?」
僕は浦嶌の後ろにいる誰かに気づき、密かに犬塚にアイコンタクトをした。
「あっ、あぁそうだぞ、浦嶌、人を悪く言うのは良くないぞ」
犬塚も、浦嶌のほうを向くとアイコンタクトの意味がわかり、フォローした。しかし、犬塚のフォローも意味なく砕けた。
「なんだ、なんだ大の男が二人して、もしかして俺の後ろに何かいたりして」
浦嶌が振り向いた先には、怒りが頂点に達したと思われる三人の女性が立っていた。この三人が犬塚達が言っていた。三姉妹だと思う。中央に立っていた女性が浦嶌の胸ぐらをつかんだ
「う~ら~し~ま~、あんた、好き勝手私たちのこと言ってくれたわね。そんなこと言うってことは覚悟、できてるんでしょうね」
中央に立っていた。茶髪でショートカットの女性が、浦嶌をつかみながらニコリと嗤いながらそう言った。
だが、彼女の笑いからは、昔の自分や、秋山とは全く違う凄みを感じた。
「おっ、おいやめろよ、後輩の前なんだぜ」
そう言うと、浦嶌は左手で僕のほうを指さした。
「あっほんとだ。あたしは音姫、海原音姫って言うのよろしくね、新人さん」
音姫と名乗る、茶髪でショートカットの女性が話しかけてきた。
「鬼島です。鬼島翔」
「それじゃぁ、鬼島君よろしく、でもなんか後輩って感じしないね」「多分、鬼島君、貴方たちと同い年よ。」
音姫の後ろに立っていた。金髪の女性が言った。
「あなた、大体、26か、27くらいでしょ、」
「えぇ、僕は、27ですけど。」
「私と、音ちゃんと、浦くんと、鬼島君は同い年?」
急に自分の左側から声がしたと思い振り向いたら、そこには黒髪の女性が椅子に座っていた。
「えっと、貴方は?」
一様、名前を聞いてみた、まぁ、多分この人が、輝夜さんだとは思う。
「私は、輝夜、月村輝夜、人は輝夜嬢とか言う。不快」
やっぱりだ。ということは、こっちの金髪の女性が、織姫さんだろう。「君、その顔は見たところ、私の名前がわかったみたいね。よろしく」
「えぇ、よろしくお願いします。織姫先輩」
「織姫でいいわよ。先輩ってつけると固いでしょ」
「なら、そう呼ばせてもらいます」
「さて、全員の自己紹介が終わってるみたいだし、あとはこいつを料理するだけね。」
音姫からは依然変わりなく凄みを感じる。浦嶌の胸ぐらを掴んだ手に力がこもる
「救いはねぇのかよ!!」
「誰も助けに来ないわよ。大馬鹿野郎が、今日という今日は、その口、一生開けなくして「馬鹿やってる場合じゃねぇぞこの、スットコどっこいどもが」
叫んだのは、氷川だった。
「お前らなぁ、馬鹿やってないで、パトロールやらなんやら、仕事始めろ。あと、浦嶌」
「なっ、なんですか、警部」
「女を馬鹿にすると殺されるぞ。主にこのババアに」
氷川が指さしたのは織姫だった。
「だっ、誰がババアなのよ!!大体あんたもあんたで、いい年だろうがこのクソ親父!!」
「うっ、うっせぇ!!俺はまだ、51だ!!」
「51っていい年じゃないのよ。お じ さ ん」
「てめぇ、もう許さねぇ!!ぶっとばしてやる!!」
「キャー助けて~親父に殴られる~」
完全な、棒読みだ。しかし、氷川さんと織姫さんは同期と聞いたが、まるで夫婦だなこれは・・・
「おい、鬼島、行くぞ」
「えっ?いいんですか二人を止めなくて。」
「いいんだよ、二人はあれで楽しいみたいでよ」
秋山に見ているほうを見ると、二人の顔が笑ってるように見えた。
「そいじゃ、俺たちパトロール行ってきま~す。」
秋山がドアのほうに歩いて行きながら言った。
「あぁ、行ってこい、それと鬼島、秋山の言うことはできるだけ聞いとけ」
出る前に犬塚さんが忠告してくれた。
「はい、それじゃぁ、行ってきます」
僕は秋山の後を追い、刑事課を後にした。
~午前10時20分、渋谷区~
「ここも、以上はないな」
「秋山さん、いいんですか?こんなとこ歩いてて」
僕たちは今、ある裏路地を歩いている。ここは「花道」と名前が付けられているところだ。
ここには、いろんなやつらがいる。
ヤクザや、ストリートギャングなどがいる。「花道」という名前は不向きだと思うが、
まぁ、ラブホテルや、キャバクラなどの看板も見えるから、そうなるのも無理もないと思う。
秋山さんの話を聞くと、たまにここでヤクの密売などが行われるそうだ。
「いくら危険地帯だとしても、大丈夫だと思いますが」
「そう思った時がアウトなんだよ。奴らは、何時何処で悪事を働くかわからないんだよ。つまり、ん?ちょっと待て電話だ。」
秋山はポケットから携帯を取り出し、電話に出た。
「はい、こちら秋山」
ーおう、秋山、そっちはどうだ?
「誰かと思えば氷川か、こっちのほうは問題ないで、何かあったか?」
ー無けりゃ、電話なんて掛けないっての、さっき、通報があったから、向かってくれ
「わかった、で、場所と状況は?」
ー場所は、宇田川町のクロースマンションの504号室、状況は、一言で言うなら、かなりやばいぞ
「わかった、すぐ行く」
秋山の電話の内容は声が少し漏れてたのでわかった。
秋山は電話を切ると、「よし、事件だ。行くぞ翔」
「わかりましたよ。場所はクロースマンションの504でしょ」
「なら、急げっての」
「はいはい、わかりましたよ」
これが、あの悪魔と出会うきっかけとなる事件だなんて、この時の僕は全く気づいてはいなかった。
どうも、作者です。今回は「DUAL」WHITEside第1話を見ていただき誠にありがとうございます。今回はここを使って「DUAL」のストーリー構成を大雑把に説明しましょう。この作品は、それぞれ鬼島が主人公のWHITEside,
もう一人の主人公レッドコートがメインのREDside、主人公二人が火花を散らす感じのCROSSsideの三つで構成されています。最後に、この作品の感想、および質問などございましたらジャンジャン書いていってください。
質問は後書きのほうで答えさせていただきますが、中傷コメなどには答える気は微塵もないので、では今後ともよろしくお願いいたします。