第8話 時間と気持ち
私の心は、決して慎太郎への思いに嘘を付かせてくれない。
私は彼を好きでいる事にした。
誰にも言わずに自分こ心の中でひっそりと。
それしか方法がなかった。
彼は無神経に彼女との事をよく私に相談した。
彼女とは慎太郎より5つ年上のバツイチ子持ちの女だった。
まるでその女は慎太郎そのものだった。
そうだ!
私達は似たもの同士だったのだ。
私が慎太郎にされていた事を今度は慎太郎がその彼女にされていた。
私たちは同じものを求めていたのだ。
私はその時悟った。
私たちは決して結ばれない。
そして、慎太郎もまた、彼女と結ばれる事はないのだと。
彼は強く彼女を求め、裏切られ傷つきどんどんボロボロになってきた。
私はただ彼を励まし支えた。
どこか無責任に思えた。
結果を知ってならそー言って彼を救うべきだろう。
自分がイイ例だと。
でも私はそうはしなかった。
私と彼は似ているならなおさら
自分が傷つき気が付かなければ分からない。
それが私であり彼のやり方なのだ。
不器用なまでに純粋な「好き」と言う思い。
彼はその穴に落ちてしまった。
その光景はまさに私そのものだった。
彼が私ばかり頼るのはきっと周りの誰にも気づいてはもらえない
思いを理解してくれたのが私だけだったのであろう。
「30歳になってお互いに結婚してなかったら
結婚しよな?」
最近の彼の口癖である。
あれから2年の月日が流れていた。
私達は相変わらずたまに会っている。
でも男友達や女友達と言う単純な関係ではなく
もっと強い絆がそこにあるような気がしていた。
彼女が出来てからも私達の関係は変化していった。
私は慎太郎にとってなくてはならない存在となっていた。
しかし、私には…