第7話 覚悟
また始まった程度にしか思っていなかった。
しかし、今回は違った。
電話が鳴る。
「もしもし」
ちょっと不機嫌そうに私は言った。
「もしもし」
深刻そうなしっかりとした声。
「どうかしたの?」
「実はさぁ〜…。」
「うん」
「好きな人ができたんや。」
「…。」
「おまえには嘘つきたくなくて…」
「…」
「適当なヤツとかやったら適当に嘘ついて
騙しとくんやけど…。」
「俺、おまえにはそんな事したくなくて…。」
「…。」
「もしもし?聞いてる?」
「あっ!うん♪
聞いてるよぉ〜」
「おめでと」
「お!ありがとう」
「あ〜緊張したー
おまえが泣いたり、怒ったりしたらどうしようって思ったけど
ゆーてよかったわ。」
「私も騙されないで教えてもらってよかった!。」
「そら、おまえは特別やもん♪」
「ごめん。ちょっと用事があって
後でかけ直してもいい?」
「あっ、全然いーで。」
「じゃ後で。」
プッ!
限界だった。
後、2秒電話をきるのが遅かったら泣いているのが
ばれていただろう。
たくさんの事が一気に頭を過ぎる。
次の瞬間、私は携帯の電源を落とし
携帯を机の引き出しに入れてしまった。
涙が止まらない。
泣きたくないのに止まらない…。
彼への思いが涙となって溢れてくる。
私は少しずつ彼から自立している。
とんでもない!!
全く自立なんてできていない。
どうしたらいいのか?
彼が欲しい。
どれくらいの時間がたったのか
気が付いた時には部屋の中は真っ暗になっていた。
結論を付けさせてくれない私の心と頭。
数日がすぎ、
携帯に電源を入れた。
そう私は覚悟を決めた。