第4話 距離
今日も、彼から電話がこない。
半年たってもまだ私は彼から抜け出せていなかった。
もう連絡がとれなくなって1週間。
さすがにこんな事が今までなかった。
私が嫌で電話に出ないのか?
着信拒否?
嫌の事だけは頭をよぎる。
このまま彼の声さえ聞けなくなったらどうしよう…。
それだけで涙が溢れた。
今までの罰なのか?
私は彼に出会うまで恋愛・結婚において私はどこか他人事で
どうでもよかった。
父と母の冷め切った関係に幼い頃から
家の中が嫌いだった。
度重なる父の暴力。
泣く母…。
他人が外から見ただけでは決して想像もつかない現状だった。
家が怖かった。
だから幼いとき
{結婚なんてするものか!}
{好きになったら負けだ!}
と思って生きていたのだ。
今の私は完全に負けている。
私の壁をどんどん破る彼。
その日の夜11時。
私の携帯がピンクに光った。
「もしもし!」
勢いよく電話を取る。
「おぅ!」
拍子抜けする慎太郎の声。
私は張り詰めたこもが切れたように泣いた。
「どうしてん!!」
驚く彼の声。
「私は一日のほとんどがシン君で出来てるの。
だから、慎君にとってはなんともない時間でも私は不安で
生きた心地がしなかった。」
「私みたいに一日中じゃなくても私の事は全然どうでもいいの?」
「私の事が慎君の頭に浮かぶ事はないの?」
私が初めて彼に自分の意見を言った気がした。
それと同時に{俺はないな。}
と私を離して欲しかった。
でも彼は時間を置いてから
「浮かぶよ。」
と言った。
離れようとしても、しても
彼から抜け出さないバカな私…。