卒業アルバム
明日はついに卒業式。
そんな卒業生に渡されたのは卒業アルバム。
入学式から宿泊学習。
体育祭、文化祭。
そして普段の生活が写った写真。
一番後ろのページには真っ白な空間があった。
皆からのメッセージを入れる空間だ。
皆で廻して、廻して。
書いて、描いてって。
『卒業おめでとう』『たまには連絡とろう』
色とりどりのペンで埋められるページ。
そして
書いてって言った君。
だからこっちもお願いって言って渡した。
この真っ白い空間に想いをうち明けてもいいかな?
『ずっと前から、好きでした』
そう書きたい。
ずっと、ずっと。
君が好きだった。
でも最後まで想いを伝えることはなかった。
だから書きたい。
どうせ口では言えないから。
…けど、結局書けなかった。
君はまだ、他の人にもアルバムを渡して書いてもらうよね?
それじゃ、みんなに見られてしまう。
それはちょっと恥ずかしい。
それに、この想いは全部、
卒業が近づくに連れ諦めていったんだ。
違う道へ行く。
違う道を行く。
『お互いこれからも頑張ろう』
そう書いた。
その言葉は、他のみんなともあまり変わらない。
だけど、君には
強く想いを込めて。
そして君からの言葉は
『今までありがとう。また逢おう!』
道は違うけれど
交わった道で君と逢えることを信じて。
思い出をここに閉じこめて
新たな風と共に
新たな道を突き進む。
また、逢おう。