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追放令嬢の友達

作者: 椎名正
掲載日:2026/06/05

 伯爵令嬢は、王子に婚約破棄を宣言され追放処分を告げられる。

 「お前のような病気で顔が醜くなった女など、あの荒れ地グリオカに追放だ」

 王子の新たな婚約者が高笑いする。

 「あんたなんかは辺境地がお似合いですわ」




 翌日、追放された伯爵令嬢の元に、王子と婚約者がやってくる。

 「敗北者の顔を見にきたぞ」

 「みじめな顔ですね。おほほほほ」

 「その小汚い顔を、ここの温泉で洗ってこい。すこしはましになるだろう」

 「ここの温泉は病気に良く効くそうですわ」




 その翌日も、王子と婚約者はやってくる。

 「負け犬のお前にふさわしい仕事をもってきてやったぞ。毒見役だ。俺達の食べる予定の料理を、先に食べて危険を引き受ける役だ」

 「ほほほほほ。かつて王子の婚約者だった人間が落ちぶれたものですね。それじゃあ、まずこのスタミナ料理を食べなさい。一口かじるだけじゃ駄目よ、完食しなさい」




 さらに次の日にも、王子と婚約者は、辺境領にやってくる。

 「王子の僕が来てやったんだ。観光案内をしろ。この土地のいろんなところに連れていけ」

 「私は空気のいいところに行きたいですわ。あなたが案内するにきまっているでしょう」




 一か月後。

 「城にいた時よりだいぶましになったな。ろくに食事もしないで閉じこもっていた頃に比べたら、健康的だ。お前に仕事を与える。この辺境地を観光名所にしろ。お前の得意分野だろう」

 「成功したら、私がその功績をもらってあげますわよ」




 一年後。

 「さっぱりしたぞ。いい湯だった。だが、観光客が多くて、隠れ家的温泉地の風情が無くなったのだけは残念だ」

 「それじゃあ、この辺境地の発展の功績は私がもらってあげるわ。あなたはこの辺境地から追放よ」

 「さっさと荷物をまとめろ」

 「あんたなんか王子の婚約者がお似合いよ」


   おわり


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