神聖魔法
クルトの故郷のマルベ村を目指して俺の新たな旅が始まった
道中に立ち寄った町や村では俺の捜索クエストが出ている
俺にとっては最低ランクのクエストになるわけだが、とりあえず無視することにした
幸い、仮面のおかげで俺に気づく人はいなかった
道中、魔物にも出会ったんだが、フレイの持っていた剣はとんでもない切れ味だ
ほとんどの魔物は一撃で倒せる
そこそこ太い木の幹だって斬れる
これを日本で売れば大金持ちになれそうだ
マルベ村は少し辺境の場所にあるようだ
なんでも多くの魔法使いが育つ村らしい
しかし、その道中、俺は勇者フレイが立ち寄ったというダンジョンの情報を聞き、赴いてみることにした
なんでもフレイはそこで勇者の剣を手に入れたとのことだった
こんな剣がまだいっぱいあるのか?
そんなことを考えてしまったのだ
ダンジョンを進むと、巨大なドラゴンに遭遇した
これはヤバイやつなのかもしれない
逃げようとしたところ声をかけられた
「フレイなのか?」
腹に響くような声だ
言葉を話せるのか?
「ああ、そうだ」
「そうか、久しいな」
以前会ったのって何年前でしたっけ?
「魔王を倒したそうだな。勝てるとは思っていなかったんだがな」
回避不能の即死攻撃だもんな
「まあ、ちょっとした裏技を使ったようで・・・」
「ところでなぜ仮面を付けているのだ?」
ええと、これは・・・
ん?もしかしてこの長生きしていそうなドラゴンであれば何か知っているかもしれない
「ちょっとしたことがあって、呪いの仮面を付けてしまった。これの外し方を知らないか?」
「知らん」
なんとも冷たい反応
やはりクルトに会いに行くしかないか
その前に・・・
「勇者の剣はもう無いのか?」
「お前が持っているそれで充分だろう」
「いや、念のために予備とか」
「そんなものがあるわけがなかろう。それはお前がエルフの国で手に入れた伝説の金属を我が魔法によって加工したものだ」
そうだったのか
もう1本作るのはそれなりに苦労しそうだ
「わかった。じゃあ、元気でな」
俺はそう言って立ち去ろうとする
「待て」
呼び止められた
俺が振り返るとドラゴンが続ける
「魔王が倒されたようだが、どこからか何か別の力を感じる。近いうちに再び危機が訪れるかもしれない。十分に気を付けることだ」
フラグを立てやがった
一応、礼を言って俺はその場を去った
マルベ村が見えてきた
村人にクルトの家を尋ねるとすぐに場所がわかった
村の様子はなんというか魔法使いの村というのがなんとなくわかる
怪しい装飾品が多い
大きな壺で何かを混ぜている三角帽子のおばあさんもいる
クルトの家の扉をノックすると女性が出てきた
クルトの奥さんとのことだ
そういやクルトは俺より年上の29歳だと言っていた
前の俺と同い年とも言える
クルトはもうすぐ帰ってくるとのことで、俺は家に通された
こんな怪しい仮面を付けている人物をよく家に入れるなとも思う
何やら湯気の出ている真っ黒な液体を出された
これはコーヒー・・・ではなさそうだ
匂いが違う
これは飲んでもいいものなのだろうか
もしかして、さっきのおばあさんが壺で作ってた何かとか
その謎の液体をガン見しながらいろいろ考えているとクルトが帰ってきた
「やあ、フレイ」
よく俺だとわかったな
どうやらパーティーメンバーには正体がバレバレのようだ
「いきなり訪ねてきて、どうしたんだ?」
クルトが尋ねてくる
仮面には突っ込まないのか
「実はこの仮面のことで相談があるんだ」
「ああ、そいつは呪われているな。外せなくなったのか?」
「その通りだよ」
「そんなのどこで手に入れたんだ?」
「道具屋で。銅貨3枚で買った」
「だからあれほど怪しげなアイテムには注意しろと言っていただろうに」
そんなの初めて聞いたぞ
「これを外す方法を知っているか?」
「うーん」
クルトは考え込んでいる
それでも「知らん」と言われなかったのは初めてだ
「呪いを解くのは神聖魔法と相場が決まっているんだが・・・・」
クルトはそう答えた
「神聖魔法?」
「ああ、神の祝福を受けた人物だけが使える魔法でな。この国全体でも使える者はそう何人もいないぞ」
「誰か使える人物を知っているか?」
「知らん」
「・・・・・・・・」
俺の冒険はここで終わってしまった
というわけにはいかない
クルトは少し考えた後
「少なくともこの村にはいない。誰かこの国の事情に詳しい人物に聞けば・・・」
そう言って考え込む
「国王様に聞けばどうだ?」
「いや、なんか今はあの城に行きたい気分じゃないんだ。他に誰かいないか?」
「となれば・・・・エカテリーナはどうだ?彼女は107歳だろ。いろいろ知っていると思う」
なるほど、パーティーメンバーのあのエルフか
「わかった。エカテリーナを訪ねてみる」
エルフの国に行くには険しい山を越えていかなくてはいけないらしい
それでもエルフの国というのを一度見てみたいという好奇心はある
次の目的地はエルフの国だ
とはいえ念のため、またあのドラゴンのところにも行き、神聖魔法の使い手について知っているか聞いてみた
「知らん」
とのことだった




