征服世界のサバイバル~新宇宙戦争~
20XX年、地球は異星人に征服された。
空に巨大な影が現れ、人類は抵抗する間もなく降伏した。
彼らは全身を毛で覆われ鋭い牙と爪をもち、跳躍すれば屋根を越え、頭脳も科学力も人類をはるかに凌駕していた。
抗うという選択肢は、最初から存在しなかった。
地上に降り立つと次々と各国の主要都市を制圧していった。
1年もたたないうちに地球は異星人に降伏宣言を行った。
こうして人類は異星人の奴隷となった。
仕事は、彼らの住居を整え、朝晩の食事を用意し、ときどき毛皮をブラッシングし、遊び相手になること。
異星人は肉食で、魚や動物のタンパク質を好み、動くものを追って運動不足を解消する習性があった。
その他、望まれることはすべて人類の役目だった。
人間はその生活を支えるために働き続けた。電力を生み、食品を加工し、異星人の快適さのためだけに生きた。
その間、異星人はほとんど眠っていた。
仕事を終え、わたしは今日も異星人の待つ部屋に帰る。
疲れているが、休むわけにはいかない。
生き残るためには、これからやらなければならないことがある。
奴隷としての仕事だ。
まずトイレを掃除し、水と食事を用意する。
固形化した魚肉――通称"カリカリ"を器に盛りつけると、自然に声が出る。
「ドラちゃん、ごはんでちゅよ」
異星人に話しかけるときだけ、なぜか赤ちゃん言葉になる。
顔を見ればさらにひどくなる。
「どうしたんでちゅか」などと、無意識に口が動くのだ。
部屋の隅の"異星人タワー"から、丸い顔がぴょこんと出る。
軽やかな足取りで降りてくると、尻尾をぴんと立て、まっすぐこちらへ。
足元で見上げたその瞳は、宇宙の深淵のようにまん丸い。
「ニャー」
短く鳴くと、カリカリと食事を始めた。
その後ろ姿を見つめながら、わたしは今日も目を細める。
――人類は征服された。奴隷になった。
なのに、なぜか以前より少しだけ幸せになったのだった。




