表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/13

エキ La stacio




 なかなか来ない地下鉄を待っている。


 このホームでよいのか、どうもわからない。駅員が脚立きゃたつを持ってきて上り、天井からぶら下げられた黒板に何時何分と時刻だけ書く。


 わたしは彼に行き先を告げて、ここでよいのか尋ねる。


 駅員は言う、あなたはこのように移動すべきである。


 わたしは言われたまま、長いホームの端まで歩き、身をかがめなければ入れない通路を進む。


 別のホームに出てそこで地下鉄を待つ。しかし来ないので心配になり、時刻を記入する駅員に訊く。


 彼は言う、あなたはこのように移動すべきである。


 わたしは言われた通りに梯子はしごを使い下の階層に移る。


 地下鉄は来ない。駅員にく。


 そんなことをくり返した果てに、わたしは自分の手足が枯枝のように細くなったのを知った。老いたのである。


 わたしが通ってきたどのホームにも、何度でも地下鉄は来て出発しただろう。世の人々は何の困難もなく乗り下りをくり返して日々を暮らしただろう。


 だがわたしだけは、いまだにやってこない地下鉄を待っている。





 Fino





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ