黒死鳥が世界を黒く染める刻炎の鳥が世界を救う
ファンタ詩ーです。
青空広がる或日の午後。
白い雲がゆったりと空を泳ぐ。
その下では、人々が日常を生きている。
刹那の時間を楽しむ人。
仕事に追われる人。
退屈でため息を吐いている人。
みな、当たり前の日々を生きていた。
そんな時だった。
黒い炎を纏うものが、大空に現れた。
飛行機よりも大きい翼。
ちりちりと黒く燃えた体。
鼓膜が千切れんばかりの、鳴き声。
黒死鳥だ。
黒死鳥は巨大な翼を羽ばたかせながら、空を舞う。
すると青空が闇に覆われていく。
あっという間に、世界が闇に包まれた。
黒死鳥が舞うと、闇が訪れる。
闇に包まれると、世界は魔物の巣窟と化した。
あっという間に、人々の日常が奪われた。
混乱する人々。
闇に、魔物に怯える日々。
震える世界の人々。
そんな時、星ひとつない闇の空に大きくて真っ赤な炎が舞う。
炎を纏った鳥が、果てしない闇に翼を広げる。
闇を照らす大きな炎…炎の鳥だ。
その炎を纏った巨鳥は、闇の世界を舞う。
黒死鳥と激しくぶつかり合う炎の鳥。
黒い炎と赤い炎が、ぶつかり燃え合う。
炎の鳥が、黒死鳥の首に噛みつく。
炎の鳥の体の炎が、黒死鳥の黒い炎を赤く燃やす。
鼓膜が千切れんばかりの黒死鳥の声が、深い闇に響く。
すると。
黒死鳥の体が、弾けた。
同時に、深い闇の世界に眩い光が零れ広がった。
世界が、白い光に包まれていく。
天上には白い雲泳ぐ青空。
光降り注ぐ、眩しくて暑い太陽。
光溢れる世界。
いつか人々が当たり前のように生きていた世界が広がる。
世界を救いし、炎の鳥。
炎纏う、炎の鳥の君。
炎の鳥は、人々の笑顔を見ると。
陽の光を昇るように、太陽へと羽ばたいていった。
燃え上がる翼羽ばたかせ。
炎の鳥は宇宙へ還っていく──