#90 偽物!?
「マスターおはようございます。」
ゼロがグラトニーに話しかける。
「あぁ、おはよう。」
ここまではいつも通りだった。
「ゼロってさぁ、可愛いよね。」
「!?」
いきなりグラトニーがゼロを口説き始めたのだ。
そこに居合わせたミルドも口をアングリとかけている。
「どどどどどどど、どうしたのですかマスター?いつもはそ、そんな冗談は言わないはずですが……。」
ゼロは表情は変えないものの口ぶりで動揺している。
「まぁいいや。ミルド、お前はいつも思うがいい筋肉してるなぁ。」
「あの、私はスケルトンなので筋肉はないのですが。」
ミルドは目をパチクリと見開いてしばらく固まっている。
「きょ、今日のマスター何か変じゃないですか?」
「私もそう思う。いつになく冗談を言っているような。」
「それは私が可愛くないって言ってるのですか?」
ミルドとゼロがヒソヒソと話していると扉が開く。
「みんなおはよ〜って……。」
扉から出てきたのはグラトニーであった。
「お、ようやく起きたか。」
さっきまで冗談を言いまくっていたグラトニーが扉から出てきたグラトニーに話しかける。
「お、俺がもう一人!?」
朝起きると目の前に俺がいた。
そいつはイケメンな顔立ちも服装もそっくりそのまま俺なのだ。
ただ違うことといえば目の色が紅い色だったことだ。
「どっちが本物なのですか?」
「あ、俺が偽物。」
「素直に認めるんだ……。」
俺は呆然とした。
「なぁ、お前は何者なんだ?どうして俺そっくりなんだ?もしかしてドッペルゲンガー?俺死ぬの?」
「あー、そう一気に質問すんなって。頭脳もお前なんだから覚えらんねぇよ。」
「あ?馬鹿にしてんのか?」
「馬鹿にしてる。」
「てめぇぶち殺すぞ。」
そう言って俺は偽物に殴りかかる。
しばらく殴り合ったところで二人は疲れて寝転がった。
体力も俺並みなんだな。
「結局お前はなんなんだよ。」
「俺か?俺はなぁ。」
偽物はむくりと起き上がり、机の上に飛び乗る。
「俺は……そうだな、ダークグラトニーとでも名乗っておくか。お前の完全複製として作られた生物だ。」
「コピー?」
「あぁ、お前の思考回路、肉体、記憶などのほとんどをコピーされたドッペルゲンガーみたいなもんだな。」