#79 堕天使降臨
「ほう。これが身体の感覚か、心地いいな。」
そう言ってルシファーは俺の体で少し動き回る。
「それがお前の魔剣の力か。でもな、千本の剣には勝てないだろうよ!!!」
そう言ってデュノワは数百の剣を飛ばしてくる。
「ふん。」
だがルシファーが鼻で笑うと剣はルシファーに届く前に地面に落ちていった。
「つまらん。虫でも飛んでるのか?」
「……!!なめんな!!!!!!」
デュノワは負けじと剣を飛ばしてくる。
「感情に任せて攻撃するとは愚かな奴め。」
そう言ってルシファーはデュノワに近づいていく。
そして大剣となった魔剣を振りかざす。
「くっ!!残りの剣で防ぐ!!」
「愚か。」
ルシファーが振り下ろした魔剣はガードした複製魔剣を貫いてデュノワを切り裂いた。
「!?」
「俺の真の力、『傲慢なる魔力』で俺の魔力の前では他のものの魔力なんぞ無いに等しい。」
そう言ってルシファーは剣を地面に突き刺し、ポーズを取る。
「カッコつけてるとこ悪いけどとどめ刺さなくて大丈夫なの?」
「奴には俺の魔力を注いでいる。だから時期に死ぬであろう。」
「魔力ってそんな使い方もできるのか。」
そうしてしばらく時間が経つとレヴァティンから光が溢れ、消えていった。
「これは魔剣の所持者が死んだ時に出る光だな。それじゃあ一回体を戻すとしよう。」
ルシファーはがそういうと身体の所有権が俺に移り、魔剣も元の太刀の姿に戻った。
「さて、そろそろ宝の鑑定が終わった頃だろうし行くか。」
「そうですね。」
そう言ってさっきまでずっとナゲット食ってたミルドと共にアレイスターの店に向かった。
「はい、5兆ルピア。」
「?」
俺は渡された金額に唖然としていた。
確かに殆どの財宝を売ったよ。
でも5兆は桁違いすぎないか?
「これでも正規の値段だよ。気付いてないかもだけど竜の素材とかも入ってたし。」
「ま、まじか。」
5兆有れば国の再建に充分だろう。
「じゃあ一応もらって帰るよ。」
そう言って俺は空間魔術で金を詰め込む。
「そういえばアレイスター、お前この世界の真理を知ってるんだってな。」
「……、どこで聞いたんだい?」
「この世界の世界神からだよ。前世にくれた石のこと言ったらアレイスターのことを教えてくれたんだよ。」
「あいつにどこまで聞いたんだ。」
さっきまでのいつものアレイスターの顔ではなく、いつにもなく真剣な顔で聞いてくる。
「別にお前が世界の真理を知ってるってだけって聞いただけだけど。」
「ならいいさ。」
アレイスターはいつものような優しい笑みを浮かべた。
「それで聞きたいんだけど世界の真理ってなんなんだ?」
「それは答えられない。」
即答された。
まぁ今の神王にも自分でたどり着けって言われたしな。
「それじゃあまたくるよ。」
「うん、またいつでもおいで。」
アレイスターはグラトニーが遠くに行ったことを確認するとレジの椅子にドスンと座る。
「ユイの奴、余計な真似しやがって。」
そう言って深くため息をつく。
「グラトニー、今は君に世界の真理を教えることはできない。世界は残酷なんだよ。」
そう言ってアレイスターは歯をギリギリと食いしばる。
まるで自分も同じような目に合ったように。
「君には僕の計画のためにも神王になってもらわないといけないんだ。」