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世界のためなら何度でも  作者: 社長
物語の終わり
447/455

家族との時間

極夜「わぁぁぁぁ!!遊園地だ!!」


聖夜「おいおい、そんなはしゃいでも遊園地は逃げないぞ。」


聖夜、極夜、そして結衣の三人の家族は今日、魔国にある遊園地へ足を運んでいた。


天気は晴れており、絶好の遊び日和だ。


極夜は十数年父親に会ったことがなかった。


埋め合わせと言えば聞こえが悪いが、過ごすことのできなかった家族の時間を取っているのだった。


ヨルムン「ようこそいらっしゃったな聖夜。今日は貸し切りとはいかないがゆっくり楽しんでいってくれ。」


聖夜「悪いな委員長。まぁ客がいっぱいいてこその遊園地だしな。」


皆が忘れているであろうこの男はヨルムン。


無印第七章にて聖夜と一線交えた転生前の小学校の委員長である。


そしてここを逃せばおそらく一生いうことがないので言っておくが『ゼルディアが初めて殺した相手、ストレングスの転生先である!!


結衣「それにしても元気ね。世界を救った人物とは思えないくらい。」


世界を救った人物とはいえ極夜はまだ20歳にもならない子供だ。


今日くらいはしゃいでも罰は当たらないだろう。


聖夜「そういや俺も遊園地なんて初めて来たな。存在は知ってたけど。」


結衣「忙しかったからね・・・。聖夜も一緒に遊んで来たら?」


聖夜「俺が?バカ言うな、俺は大人だぜ。子供向けに作られた遊び場で俺が楽しめるわけ・・・。」




聖夜「うひゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!すげぇぇぇぇぇぇ!!!!」


極夜「父さん見てこれ!!コーヒーのカップが廻ってるよ!!」


聖夜「よっしゃ、次あそこ行くぞ!!」


極夜「うん!!」


めちゃめちゃ楽しんでいた。


魔国の王子として日々研鑽にいそしんでいた極夜と魔国の発展のために仕事をこなしていた二人は娯楽に疎かった。


それゆえにテーマパークという未知の娯楽を心行くまで楽しんでいた。


結衣「ほんと、親子って感じね。」


同じようにはしゃぐ二人を見て結衣は楽しそうに笑う。


聖夜「おい結衣!!あのレールの上走ってるアレはなんだ!!」


結衣「あれはジェットコースターよ。急降下とかのスリルを楽しむものね。」


極夜「ねぇ母さんも一緒に乗ろうよ、絶対楽しいよ!」


結衣「私も?いいけど・・・・・・かなり怖いわよアレ。」


極夜「何言ってんだよ母さん、僕はゼルディアと戦った男だよ。あれくらいじゃ怖くないよ。」


聖夜「へっ、言うじゃねえか。それじゃあいっちょ度胸試しと行こうか。」


結衣「・・・・・・二人ともどうなっても知らないわよ?」




結衣「た~のしぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!」


極夜「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ母さぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!!」


聖夜「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!助けてくれ結衣ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!」


結衣は最後まで笑っていたが二人は・・・。


聖夜「俺もう絶対アレ乗らないから・・・・・・。」


極夜「僕も・・・・・・・・・・・。」


結衣「なによ二人ともへばっちゃって。」


聖夜「い、いや!!アレが苦手なだけだから!!俺に怖いものなんてねぇし!!」


極夜「ぼ、僕もそうだし!!戦える相手なら怖くないもん!!」


二人をからかう結衣の眼に、怪しげな館が映る。


結衣はにやりと笑い、二人を挑発した。


結衣「本当にほかには怖いものないの?」


聖夜「当たり前だ、俺を誰だと思ってる!!」


極夜「僕も高いとこ以外なら怖くないもん!!」


挑発に乗ってしまった二人は結衣に連れられ、館の前へとやってくる。


雰囲気のあるボロボロの館に入ると一人のメイドが出迎える。


メイド「ようこそお越しくださいました。ここはボーンデッドハウス、この館には99999体の幽霊がおり、あなた方を100000体目の幽霊にするために待ち構えています。どうか置きお付けください・・・・・・。」


聖夜「ゆ、ゆゆゆゆゆゆゆ幽霊!?」


極夜「聞いてないよ母さん!!」


結衣「あら、怖いものはないって言ったのはあなたたちでしょ?」


メイド「それでは神成様御一行、行ってらっしゃいませ・・・・・・。」


ばたんと扉が閉まる。


その音にびっくりして三人は暗い廊下に取り残された。


極夜「と、父さんごめん・・・。見栄はっちゃったけど僕・・・怖い系の大嫌いなんだよぉぉ!!」


聖夜「そ、そうなのか!?ままままままま任せろ!!俺が・・・お前ら二人を無事に出してやる!!」


聖夜は震える足を抑え、先頭を行く。


そういう聖夜も、怖いものが大嫌いなのである。


転生前に見てしまったホラー特集番組が怖すぎて一週間家を出れなかったくらいだ。


しかし、息子の前でかっこつけたい気持ちが勝ってしまい、大見栄をはってしまった。


しばらく廊下を進むと、、声が聞こえる。


???「うらめしぃ、うらめしぃ・・・。」


結衣「きゃぁぁぁ!幽霊出たよ聖夜!!たすけてぇぇぇぇ!!」


いち早くそれを見つけた結衣は今がチャンスだと言わんばかりに聖夜に抱き着く。


打算的な女、結衣はせっかくのお化け屋敷で夫に甘えられなかった数十年を取り戻すため甘え始める。


しかし、聖夜の返事はない。


結衣「聖夜?・・・・・・・・・し、死んでる・・・。」


聖夜は呼吸すらも忘れて立ちながら気を失った。


いくら強かろうと怖いものは怖い。


聖夜「はっ!!気を失ってた・・・・・・。」


極夜「父さんしっかりしてよ!こんな魔術見たことない、解析するなら今だよ!!」


聖夜「俺の息子がしっかりしすぎてる・・・。」


聖夜と打って変わり、極夜は浮いている火の玉を観察し始める。


聖夜「たしかによく考えてみればこれら全部魔術か。だったらなんも問題ないな!!」


結衣「え~つまんない。」


聖夜「術者は近くにいるはず・・・・・・ここだ!!」


???「いやこれそういう遊びじゃないんすよ!!」


居場所がばれたスタッフは思わずつっこんでしまう。


聖夜「お前・・・・・・、クロムウェルじゃねぇか。」


クロムウェル「ん?・・・・・・あぁ、誰かと思えば王様じゃん!」


ヴァン=クロムウェル。


かつてアレイスター一派に所属し最終局面で聖夜と戦ったメンバーの一人である。


クロムウェル「ってことはリンにもあったんじゃないっすか?」


聖夜「あぁ、受付のメイドか。なんで名前知ってんだと思ったけど知り合いかよ。」


リン=ナターシャ。


クロムウェルと同じくアレイスター一派として聖夜達と戦った人物だ。


聖夜「こんなとこで働いてたんだな。」


クロムウェル「そうっすよ、俺のエクストラスキルがお化け屋敷とマッチしてますからね。」


聖夜「・・・・・・・・・、エクストラスキル?」


クロムウェル「うっす、俺の【希望の楽園(ユートピア)】は死者の魂を現世に持ってくるスキルですから。」


聖夜「つまり?」


クロムウェル「このお化け本物です。」


聖夜「ほんものじゃねぇぇぇぇぇぇぇかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」


結衣「きゃっ!!聖夜早いって!!待ってってば~!!」


風のような速さで聖夜は結衣の手を引っ張り走り去っていった。


極夜だけが館に取り残される。


極夜「二人だけでいっちゃった・・・。まぁギミックを知っちゃえば怖くないな、もしかして僕ってもう怖いモノないんじゃない?」


極夜が調子に乗っていると目の前の井戸から勢いよく骸骨が出てくる。


骸骨「・・・キ・・・・・・・・・ヤ・・・・・・。」


骸骨の言葉に思わず背筋がゾクッとする。


骸骨「キョクヤ・・・・・・スブリ1万回ダ・・・・・・。」


キョクヤ「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!師匠のお化けだぁぁぁァァァァァァァァ!!!!」


骸骨「まだ死んどらんわ!!あ・・・、すでに死んでいたか。」


骸骨のお化けに過酷な修行を思い出し、極夜も風のように去っていった。


クロムウェル「ちょっとバイトさん!!想定以上に怖がらせすぎですって。」


ミルド「む、すまん。『あるばいと』とはなかなかに難しいな・・・。」


骸骨ことバイトに来ていたミルドはクロムウェルに怒られた。




聖夜「遊園地怖い・・・。」


極夜「師匠怖い・・・。」


二人はぐったりと休憩スペースで疲れ果てていた。

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