【神の盾】ゼロとの時間
ゼルディアとの戦闘から一日が経った。
聖夜の提案で聖夜はみんなと時間を過ごすため休暇をもらった。
その間の国の管理は結衣と、極夜が勉強のために頑張ってくれている。
ゼロ「さぁマスター!!今日は遊びますよ!!」
聖夜「おい待ってくれよ、そんな急いでも開園時間はまだだぞ。」
極夜はゼロと一緒に動物園へやってきていた。
ゼルディアの侵攻は城の近くだけに壊滅的な被害を与えたため、リゾートや住宅街は被害が出なかったのだ。
聖夜「すげぇ列だな、初めて来たがまさかここまで繁盛してるのか・・・。」
列はかなり並んでおり、受付だけでも一苦労だ。
聖夜達の番になると受付のバジリスクがどのチケットを買うか聞いてくる。
聖夜「バジリスクが受付・・・、時代が変わったんだな。」
ゼロ「ここはかつてバジ砂漠と呼ばれる場所で荒廃が進んでいたところでした。それを解決するため、近くの村と理性のあるバジリスクが協定を結びこの動物園が生まれたんです。」
ゼロと聖夜は大人用チケットを二枚会、中に入る。
中に入るといきなり大きな虎や狼が檻の中で暴れていた。
聖夜「これ魔獣じゃねぇか!!大丈夫なのか、子供もいるんだぞ!!」
ゼロ「心配ないですよ、日常茶飯事ですから。」
狼たち「ぐるぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
聖夜「明らかに威嚇してるけど!?」
オオカミが大きな口を開け、聖夜に突進する。
???「やめんかバカオオカミ!!」
大きな声に狼がびくっと驚き、そのまま檻の奥へ引っ込んでいく。
聖夜「迫力あったけど子供には危ないぞ・・・すまん、助かった。」
聖夜が助けてくれた人の方を向くと巨大な筋肉が視界を占領する。
白い肌、筋肉!!、長い耳、筋肉!!、筋肉!!、筋肉!!
聖夜「お前・・・、まさかクルシュ村のセリスか!?」
セリス「誰かと思えば暴食の少年!!いや、今は国王陛下か!!」
白く艶めく筋肉を見せるのはかつて聖夜が初めて訪れた村、クルシュ村で出会った筋骨隆々の雰囲気ぶち壊しエルフのセリスだった。
クルシュ村は聖夜がこの世界に来て初めて人の優しさに触れた思い出の村だ。
聖夜「ってことはこのバジ砂漠をリゾートに変えた村って・・・。」
クルシュ「久しいな、国王よ。」
聖夜「・・・っ、クルシュさん!!」
美人なエルフ、クルシュが聖夜を呼んだ。
その見た目は初めて会った時から変わらず、聖夜も思わず喚起した。
クルシュ「ほっほっほ、それともグラトニーと呼んだ方がよいか?」
聖夜「い、いや。あれはその・・・若気の至りというか・・・・・・中二病というか・・・。」
クルシュ「よいよい、そちらのゼロさんから話は聞いている。其方の命が短いこともな。じゃから、今日は気のすむまで遊んでいくとよい。其方と久方ぶりに相まみえてよかったぞ。」
クルシュはそう言って聖夜の肩をポンポンとたたき去っていった。
聖夜「・・・・・・ゼロ、ありがとうな。」
聖夜は初めてこの世界に来た時のような、まるで少年のような笑顔をゼロに見せる。
ゼロ「今日という日を私が独占したい気持ちもありましたが・・・マスターのうれしそうな顔が視れて私は幸せです。」
それから二人は動物園を見て回り、楽しい時間を過ごした。
楽しい時間はあっという間に過ぎていき、気が付くともう夜だ。
二人はベンチに腰をかけ、ゆっくりと休憩している。
聖夜「ふれあいコーナーがバジリスクオンリーってのには驚いたけど・・・、いいところだったな。」
ゼロ「楽しそうなマスターもしっかりと記録していますよ。」
ゼロは自身のメモリーを確認し、微笑んだ。
二人は沈黙しながら星空を眺める。
キラキラと光る星が夜空に映っている。
ゼロ「・・・私はたくさん楽しい時間を過ごしてきました。」
ゼロが沈黙を破り、話し出す。
ゼロ「最初、私が召喚されたとき私は驚きました。小さな少年が私を呼び出せた才能を、それと同時に私が守り切れるかどうかの不安を。ですが、貴方は誰よりも強かった。私は・・・・・・。」
夜空を反射するゼロの瞳から星が流れる。
どこまでも、どこまでも澄んだ一等星。
ゼロ「私は・・・・・・マスターの傍で過ごせて、とても幸せでした。大好きです、ずっと、ずっと・・・・・・。この幸せがなくなるだなんて思ったことがありませんでした、いなくなってもいつか帰ってくると信じていました。ですが・・・・・・本当におしまいなんですね・・・。」
夜空を流星群が埋め尽くす。
聖夜「・・・ごめんな。」
ゼロ「・・・謝らないでください。謝られてしまったら・・・・・・、もっと悲しくなっちゃうじゃないですか・・・。」
ゼロの涙を聖夜がそっとぬぐう。
聖夜「俺が死んでも、お前のメモリーには俺がいる。俺が死んでも、仲間たちがいる。そうだろ?死は確かに哀しいかもしれない、でも俺は必ずお前たちを見守ってる。」
ゼロ「マスター・・・・・・、聖夜様ぁ!!私、絶対に貴方のことを忘れません。絶対に、絶対に!!私が死んでも絶対に忘れません、だからどうか見守ってください。私たちのこれからも!!」
聖夜「あぁ、もちろんだ。いつも守ってくれてありがとうな、ゼロ。」
ゼロ「聖夜様ぁぁぁぁぁぁぁ!!やっぱり哀しいですぅぅぅぅぅぅ!!!!うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!」
聖夜「まったく、ゴーレムなのに泣き虫なのは相変わらずだな。」
聖夜は泣きじゃくるゼロを抱えて城へ帰っていった。
聖夜の背中は涙と鼻水でぐしょぐしょになっており、極夜から心配された。




