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世界のためなら何度でも  作者: 社長
物語の終わり
440/455

みんなとの時間

極夜は力を使い果たし、倒れる。


極夜「はぁ・・・・・・、もう力が出ない。」


極夜は剣を地面に落とし、身体の力を抜く。


剣はゼルディアとの戦いで部品が壊れたのか変形したまま固まり、動かない。


その極夜のもとへ足音が近づいてくる。


オルル「お疲れ様。」


ゲッケイジュ「ちゃんと見てたよ、極夜。」


二人は極夜を起こし、楽な姿勢にしてくれる。


極夜「これでしばらくは平和な暮らしができるね。」


ゼルディアという脅威は去った。


少なくともしばらくは平和を脅かす脅威は訪れないだろう。


極夜は勝利の実感を感じ、腕を握りしめた。


遅れて聖夜がやってくる。


聖夜「よくやった、お前は本当に自慢の息子だ。」


そっと極夜を抱き寄せる。


その腕は力がこもっておらず、少し押すだけで簡単に倒れてしまいそうだ。


極夜「父さん・・・・・・?」


よくみると呼吸が浅い。


目立った外傷は癒えているが様子がおかしい。


まるで衰弱しきっているようだ。


聖夜「・・・・・・これで、次の王は決まったな。」


極夜「・・・・・・・・・え?」


聖夜「次の王はお前だ、極夜。俺の代わりにお前が国をまとめてくれ。お前の強さがあれば国はより大きく、より繁栄するだろうな。」


極夜「なに・・・言ってるの?父さんがいるじゃないか!父さんが帰って来たんだ、また父さんが王様として国にいてくれれば・・・・・・。」


聖夜「極夜、落ち着け。俺は真剣だ。」


極夜「だって・・・・・・、こんな話を急にするのはおかしいよ!まるで・・・・・、父さんが、」


いなくなるみたいじゃないか。


極夜の頭に嫌な想像が駆け巡る。


ミルド「・・・・・・主よ、そろそろ話しても良いでしょう。」


ベルゼブブ「そうだぜ、俺達だけ知ってても仕方がない。別れの時は必ず来るんだからな。」


聖夜「・・・そうだな。」


聖夜はみんなの方を向く。


そして、話した。


聖夜「俺はもうすぐ死ぬ。俺は生命力と魔力を使いすぎちまった。」


言ってほしくない最悪の言葉に極夜は絶句する。


ミルド「私達7人を生き返らせた代償、なのですね・・・・・・。」


聖夜「神の生命力でも7人はさすがに応えた。だが、俺は後悔していない。だからお前たちも自分のせいでだなんて絶対に思うな。」


聖夜は極夜に向かって膝をつく。


聖夜「ごめんな極夜、せっかくお前に会えたのにすぐにいなくなっちまって。」


極夜「父さんが望むのだったら僕は・・・これ以上何も言わないよ。でも・・・・・・でもっ・・・・・・・・・。」


極夜は声を殺して泣いた。


極夜はどこか夢見ていたのかもしれない。


この戦いが終わったら父と母、三人で暮らせると。


しかし、現実は残酷だ。


聖夜「・・・・・・みんな、すまないな。そういうわけで俺はもうすぐ死ぬ。だから最後の時までにみんなと楽しく暮らしたいんだ。」


聖夜はそう言って下手な笑顔を作る。


しかし、仲間の誰も笑えなかった。


一人を除いて。


ベルゼブブ「泣くなお前ら!人はいつか死ぬ。悪魔でも、人間でも、エルフでも、神でもだ。いつか終わっちまうならそれまでに思い出を作ればいい、死んでも聖夜を思い出すような思い出をな。」


聖夜「ベルゼブブ・・・。」


ベルゼブブ「お前らがそんな暗い顔じゃ聖夜だって寂しく死んじまうぜ。おら、極夜もシャキッとしやがれ!!」


極夜「・・・・・・・・・そうだね。僕らがしんみりしてたら父さんも哀しいよ!落ち込んでても父さんの運命に変わりはない、だから楽しく送ってあげようよ!!」


極夜は哀しみを押し殺して立ち上がる。


身体は痛むが前へ歩き出す。


ベルゼブブ「へっ、父親のいいところが遺伝したな。」


聖夜「・・・お前には助けられてばかりだな。」


極夜「みんな、帰ろう!!僕たちの育った国へ、僕らの思い出が詰まった国へ!!」

ここからはできるだけ2日に一回19時に投稿いたします。

次回更新日は2月7日19時です。

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