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世界のためなら何度でも  作者: 社長
【最終幕・後編2】セカイのためなら何度でも
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T-156 世界のためなら何度でも

極夜「・・・・・・お互い限界だね。」


ゼルディア「・・・そうみたいだな。」


二人はお互いの眼を見る。


ゼルディア「よく俺をここまで追い詰めたな。」


極夜「僕だけじゃない、皆がつないでくれたから僕は立ち向かえたんだ。」


ゼルディアは剣を持ち直す。


ゼルディア「強くなったなと、ガキに伝えてくれ。」


極夜「聞こえてるよ、きっとね。」


極夜の奥底で魔術師は泣いていた。


極夜「・・・・・・これで終わりにしよう。」


ゼルディア「あぁ、これで最後だ。」


極夜も剣を持ち直す。


極夜「行くぞ、ゼルディア!!!!」


ゼルディア「来い、神成極夜!!!!」


二人は満身創痍でお互いをにらみ、そして・・・・・・・・・・・・


ガキィィィィィィィン!!!!!!


二人の剣がぶつかり合った。


最後の勝負は、単純な力の押し合いだった。


ゼルディア「弱ぇ弱ぇ弱ぇ!!!!そんなんじゃ俺をころせねぇぞ!!!!!!」


極夜がじりじりと押され始める。


力に押し負けた方はその刃で切り刻まれる。


至極簡単で、必ず決着がつく勝負。


極夜は時刻ミノ右腕(アルカナディア)を想像しても押される一方だった。


剣と剣がぶつかり、ギリギリと音を立てて火花が散る。


極夜の腕からミシミシと嫌な音が聞こえるがそれでも耐えていた。


痛みなど感じない、この最後の戦いに全てを賭けているのだ。


ゼルディア「こんなものなのか?こんなもんなのかよぉ神成極夜!!お前の仲間がつないでくれた力ってのはよぉ!!」


極夜「・・・・・・・・・・・・まだだ!!!!!まだ終わらない!!!!!!!」


強がってはいるものの極夜の意識はだんだんと薄れていく。


極夜の限界はもう達しきっているのだ。


結衣「・・・・・・極夜!!!!」


極夜の意識が戻る。


また、自分を応援する声が聞こえた。


結衣「あんたなら勝てる、最後の力振り絞りなさい!!!!あんたは私たちの自慢の息子だよ!!!!!!」


自分を一人で育ててくれた母の応援が聞こえた。


その後ろから複数の何かを引きずる音が聞こえる。


それは仲間たちだった。


もう動けないほどの重傷を抱えた彼らが自身の体を引きずりながら極夜のためにやって来たのだ。


セイギ「極夜くん!!私たちはもう戦えない・・・だが!!動けない身体で君がゼルディアに立ち向かう姿を見せてもらった!!」


ハジメ「あぁ、お前はすげぇよ極夜。俺達よりよっぽどすげぇ、だからあと少しだけ頑張ってくれ!!ここで目立たなきゃ後で後悔するぜ!!」


アレイスター「極夜くん、貴方は聖夜君のいいところを受け継いでいる。それは、絶対にあきらめない心です!!さぁ、もうひと踏ん張りです!!」


ゼロ「極夜さま!!私は知能が劣っているのでうまく言えませんが・・・あなたなら勝てると信じています!!」


ベルゼブブ「よぉ極夜!!お前がその剣を選んだ瞬間、俺は運命だと思った!!お前とその剣ならどんな困難でも立ち向かえるはずだ!!気張ってけぇぇぇぇぇぇ!!!!」


父の最大の友人であり、信頼している仲間の五人の声、


アマノガワ「極夜君!!ギリギリだけど僕も応援するためにアマハラを修理したところだ。負けないで!!」


アマハラ『起きたらすごいことになってて混乱してるけど・・・、極夜!!君ならできるよ!!すぐそばでずっと見てた僕が断言する!!」


ずっとそばにいてくれていたアマハラとその製作者アマノガワの声、


ゲッケイジュ「極夜ぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!僕達も・・・・・・、僕達も見てるよ!!!!君が世界を背負って戦ってるところ!!」


オルル「私たちはずっと極夜の傍で見てた!!貴方が戦ってる姿!!絶対に勝つって信じてるからぁぁぁぁぁ!!!!」


学校を共にしたかけがえのない親友二人の声が、


ミルド「必ず勝て!!極夜!!」


僕に剣を教えてくれた、心から尊敬している師匠の声が、


聖夜「信じてるぜ、極夜!!派手にぶちかましてやれ!!!!」


そして、僕の中で一番の英雄。


僕がもうだめだと思ったときに、必ず助けてくれた僕の大切な父さん。


皆の声が届いてるよ。


こんなに応援してもらえて僕は幸せだ。


極夜「絶対に・・・・・・、絶対に負けてたまるかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」


極夜の剣が光り輝く。


黒くない、まるで夜明けを見ているような暖かな日の光。


極夜の創造の力が皆の応援の力と交わり、極夜に力を与えているのだ。


ゼルディア「ぐぉぉぉぉぉぉ!!!!」


極夜はジリジリとゼルディアとの距離を詰める。


ゼルディアの剣がピキピキと音を立て始める。


世界「ゼルディア!!!!!!」


最愛の人の声が聞こえる。


世界「ごめんなさいみんな・・・。でも・・・・・・、私は最後くらい世界で一番大切な人を応援したい。」


世界ワールドのその言葉を誰も否定しない。


その考えが間違いだなんて思えないからだ。


世界「ゼルディア!!!!負けないで!!!!!!!」


その言葉がゼルディアを強くする。


ゼルディア「お前にそんなこと言われたらよぉ・・・・・・、負けるわけにはいかねぇなぁぁぁぁぁ!!!!」


そしてついに二人の力は互角になった。


極夜「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」


ゼルディア「ぬあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」


誰かが泣いている。


極夜の心の中で、誰かが泣いている。


魔術師「頑張って極夜!!!!・・・・・・負けないで父さん!!!!」


流れた血が川を作り、日の光を浴びて光る。


もうすぐ夜明けだ。


ゼルディア「セカイを守るために、俺は負けられねぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」


極夜「世界を守るために、僕は勝つんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」


バキン!!!!!!!!!!!!


剣が折れる音がした。


折れたのは・・・・・・・・・・・・、






極夜「・・・・・・・・・・・くそっ・・・。勝ちたかったなぁ・・・・・・・・・・・。」


折れたのは極夜の剣だった。


極夜は大きく吹き飛ばされ、地面に衝突した。


だが、切り傷はない。


致命傷には至ってなかった。


極夜「な・・・・・・、なんで・・・。」


ゼルディア「・・・・・・刃こぼれ・・・か。」


ゼルディアの剣に、人を傷つける刃が残っていなかった。


数多の戦いですり減ったその剣は、斬撃を与えることなく極夜を切った。


ゼルディア「・・・奴らがいなければ・・・・・・、なんてただの言い訳か。」


ゼルディアは剣を放り投げ、膝をついた。


ゼルディア「・・・くくっ、ぎゃははははははははは!!!!どうやら俺はここまでみたいだな。」


ゼルディアの体がゆっくりと砂のようになっていく。


再生がもうできず、限界を迎えた体が崩れているのだ。


極夜は動けない身体を無理やり動かし、ゼルディアのもとへ向かう。


ゼルディアは満足そうな顔をしていた。


ゼルディア「俺がお前を殺せなかったのは『運』だ。俺は本気でお前を殺そうとしていた、だが世界の運命はお前に死んでほしくなかったみたいだな。」


血を噴き出しながら笑うゼルディアのもとへ世界ワールドが走り寄る。


世界「ゼルディア!!!!」


ゼルディア「すまねぇなセカイ、どうしても俺は決着をつけたかった。」


世界「ほんと・・・・・・バカな人・・・。」


世界は泣きながらゼルディアの頭を膝に乗せる。


ゼルディア「神成極夜、コレだけは覚えておけ。俺はお前に勝った、つまりこの世界で一番強いのは俺だ。」


極夜「・・・・・・自分が死ぬってのに、最後に言うのがそれかよ。」


極夜は涙を流す。


ゼルディア「俺は世界で一番になった。これでセカイもガキも安心して暮らせるだろ?それを証明したかった。」


ゼルディアは足元まで砂のようになりながら満足そうに笑っている。


ゼルディア「なぁセカイ、願いがかなったんだ。最後にもう一度だけあの言葉を言ってくれねぇか?」


その質問に世界は涙を流し、笑いながら告げた。


セカイ「貴方のためなら何度だって言ってあげるわ。大切な・・・、大切な夫なんだから。」


セカイはゼルディアの頭をなでる。


セカイ「もう・・・、戦わなくていいんですよ。」


あぁ。


ゼルディア「俺はずっと・・・ずっと・・・・・・その言葉が欲しかったんだ。」


ゼルディアの眼に涙が滲む。


ゼルディア「もう戦いたくない。恨まれるのも殴られるのもずっとつらかった・・・。でももう戦わなくていい、お前たちが安心して暮らせるんだからな・・・・・・。」


極夜も涙を流しながらゼルディアの手を握った。


極夜「さようなら、もう一人の父さん。」


腕が砂のように崩れていく。


ゼルディア「あばよクソガキ・・・。それと、魔術師マジシャン・・・・・俺の・・・大切な・・・・・・・・・息子・・・。」


ゼルディアの涙が小さな雫となり地面に落ちた瞬間、


パキリ


戦場には生々しい血液と、砂の山だけが残っていた。


人間たちは神に勝ったのだ。


極夜「帰ろう。僕たちが守った、ゼルディアが守ってくれた世界に。」


夜はもう明け、太陽が顔をのぞかせていた。

これにて『世界のためなら何度でも』戦闘描写は終了です。

しかし、まだ続きがあります。

次回からは神成聖夜に待ち受けていた運命と最後の刻です

次回投稿日は2月5日19時からです。

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